チヒロックん家の、コンドームでも見てく? コレクションNo.16 NYC

コンドーム収集家のチヒロックの顔

10代の頃からコツコツと集めていたら、自分でも整理がつかなくなってしまったというチヒロックさんのコンドームコレクション。
優に数百種類はありそうなコンドーム、さてさてどうしたものか。このまま実家に眠らせておくのももったいないし、どうせだったら見てもらおう!!

ーーそんな感じで、元コンドーム専門店勤務でコンドームのエキスパートであるチヒロックさんに、コレクションの中でも特に思い入れが深いコンドームを解説してもらうこの企画。

第16回目は、バレンタイン限定で無料配布されているNYCのコンドームでも見てく?

コンドームマニアのチヒロックのNYC Condom
NYC Condom/ニューヨーク市保健精神衛生局/Lifestyles

NYCコンドームは2007年のバレンタインから無料配布されているもので、現在は医療機関や地元企業・組織などに提供され、3500以上の場所で配布されているコンドームです。

2007年、「ニューヨーク市がオリジナルのコンドームを製作して街で無料配布します」というネット記事を見かけた時、NYまで行こうか、でも実際どこで配布しているか分からないし、それだと現地に住んでる友人にも頼めないし…と考えあぐねながら店番をしていた私に、外国人カップルがニコニコとNYCコンドームを差し出してきました。

「あーーーーー! これは私が今一番欲しかったやつです! 貰っていいですか?! ありがとうございます!」と、一切通じない日本語で大喜びして受け取りました。これの何がすごいかと言うと観光客がくれたこと自体、もちろん奇跡的ですごいことなのですが、それ以上にNY市主体で製作されているというところ!

日本でもエイズデーに合わせてコンドームを配布しますが、そのほとんどがエイズデー限定のメーカーやエイズ予防財団などが主体の企画。それに対してこちらはニューヨーク市保健精神衛生局が主体となり、性感染症の感染を減らすことを目的とした啓蒙活動なのです。素敵!

「コンドーム=エロ」として見る人が大多数の日本からしたら、このような取り組みを行っている自治体はほとんど見受けられないのでは?

厚生労働省がエイズデーのイベントを開催するほか、東京都では福祉保健局が「(性感染症等の)予防月間」などにあわせてポスターを作成したり、HIV検査および性病検査を無料で行っていたりはしますが、大々的にPRしたくても協力が仰げる場所が少ないというのが現状なのではないかと思います。

以前紹介したaktaデリバリーヘルスプロジェクトは、NY市の取り組みに近しいですが、結局のところ法人主体なのか自治体主体なのかというこの微妙な違いが、大きな認識の差に感じています。

さてこのコンドーム、私が所持している2パターンは、どちらもLifestylesという海外メーカーのもので、1つは先程挙げた通り観光客から貰ったものです。もう一つは友人がその数年後に「絶対持ってないと思う!」と自信満々にお土産でくれたものですが「ごめん持ってる…でもデザインが変わってる! こういう変化が私の喜びだから!!」と焦りながら受け取りました。

現在のNYCコンドームはLifestyle製からOne Condom製となっているよう。ただ配布して終わり、ではなくデザインをアップデートしたり、コンドームや性感染症に関することを学べる機会を提供していたりと啓蒙活動自体もしっかりと継続していて、「だけじゃない」がとても素敵です。

【チヒロックのコンドーム通信簿】
デザイン:★★★★★
>>>NY市発行ということよりもまずこのデザインに惚れた!
レアリティ:★★★☆☆
>>>配っている場所は公開されています。配られている場所も多いので手に入るチャンスは多いかも?!
セックスの時に使える感:★★★★★
>>>使ってもらうための配布。使いましょう!
ゴムの特性:★★★★☆
特性は不明ですが、海外製はゼリーたっぷりが多いのできっと良し◎
思い出深さ:★★★★★
「コンドーム屋で働いていてよかったー!」と心底思った瞬間でした。

ーービビビッ!ときた“推しコンドーム”との出会いは、もっと楽しい、もっと気持ちいい、もっと安全なセックスライフの幕開け。「ゴムは無いほうが気持ちいい」は、単に自分に合っていないコンドームだからかもしれない。

性感染症の予防はもちろん、自分、そして相手の心の健康を守るためにコンドームを装着した、セーファーセックスを心がけてね♡

■チヒロック
元コンドーム専門店勤務。性教育に熱心な養護教諭の母の影響で、小学校低学年の時に初めてコンドームに触れる。10代からコンドームの収集を始め、コレクションの数は優に数百種類超え。現在の楽しみは、年に数種類しか発売されない国内生産、完全新作のコンドームを開封すること。

文・取材協力/チヒロック
編集/芳賀たかし 写真/新井雄大
記事制作/newTOKYO