笑顔が生まれる美容室でありたい/ジブンヒストリー05/これまでの自分、これからの自分~ #シャギー

“人生の選択に正解はない”。なんてことをたま~に見聞きするけれど、自分の選択が100%合っている、と胸を張って言える人は…そうそういないはず。ただ、正解・不正解は置いといて、今を楽しんで生きている人ってやっぱり素敵!「ジブンヒストリー」は、そんなエネルギッシュに生きる彼らの日常や歴史にフォーカスして、自分らしく生きるヒントを見つける企画♪

今回はゲイバーのスタッフやゴーゴーボーイなどをしながら美容師としてのキャリアを積んできたシャギーさんのジブンヒストリー。忙しなく過ぎる毎日だけどちょっと立ち止まり、彼の生き方を通して“これまでのジブン”を整理すれば、ワクワクするような“これからのジブン”像に出会えるかも。

――「ゲイいうことが罪になる訳ないんやし…」シャギーさんの“らしさ”を受け入れてくれた妹の言葉と笑顔。

日本有数の祭『岸和田だんじり祭り』が開催される大阪府・岸和田市で生まれた僕は街の活気づいた様子とは裏腹に、引っ込み思案でいつも親の後ろに隠れているような子どもでした。ちなみに初恋は、幼稚園の時。女性の先生を好きになりました。その後、進学した中高一貫校で所属していた水泳部の高等部の先輩から告白をされ、恋心を抱いたことではっきりとゲイであることを自認しました。確か僕が中等部だった時の出来事だったはず。

初めてセクシュアリティをオープンにしたのは、26、27歳の冬。当時はゲイの方が多く足を運ぶ美容室に勤務していたのですが、そこへ妹が来て。休憩がてら二人で食事に行った際に「ゲイのお客さんが多いいうことは、お兄もそうなん?」と言ってきたので、「うん。ゲイ」と話をしたら「大体分かってたから驚かない。それに罪を犯した訳やないんやし、いいんやない?」って笑って受け入れてくれたんですよ(笑)。その言葉がすごく嬉しかったし、今でも一番の理解者は妹かな。

――美容業界とゲイコミュニティ…二足の草鞋で働いていたものの体調を崩し、考え始めた自分の将来。

20代はゲイバーのスタッフやゴーゴーボーイ、時にはドラァグクイーンとしてゲイライフを楽しみつつ、姉が経営している美容室の手伝いをしていたのですが、専門学校卒業間近になってから「美容師を目指してみたらどう?」と誘われて、そのまま美容師へ。それに小さい頃から姉のマネばかりして、それが意外にすんなり出来ていたので、試しにお手伝いをしたら楽しくて続けてます。「私、失敗しないので!」が座右の銘かな(笑)。

20代半ばまでは美容師とゲイコミュニティでのお仕事と二足の草鞋で働いていたものの、その後体調を崩して一ヶ月間の入院生活を余儀なくされて…色々考えました。いつ復帰できるか分からないのにお休みをするのは申し訳ないなという気持ち、そしてこのままお仕事の両立をしていけば全てが中途半端になって終わる気がしたんです。

――今、楽しいと思えることを全力で。美容師として20年目を迎えたシャギーさんの夢。

そういうこともあってゲイバーやゴーゴーボーイなどゲイコミュニティでのお仕事は一度辞めることにして、美容師としての仕事に専念することを決めました。お客さんが「こういう髪型にして下さい」って持ってくる写真のヘアスタイルを忠実に再現するのって簡単に見えて、実はすごくスキルが必要なことで。本業である美容師としてのスキルを磨くための選択でしたね。

その選択から十数年たった今、美容師としての技量や心構えにも多少なりとも自信がついてきたのもあって、再びバースタッフとしても働き始めました。なんせ、一度しか無い人生ならその時にやりたい事をやれる人でいたいなと思う人間なので(笑)。自分が楽しいと思える気持ち、空間が周囲の人をハッピーにするきっかけにもなると思うんです。20年間、美容師として働いてきて一つのことをやり抜くのは簡単なことではないと思うんですけれど、これからも美容室に足を運んでくださる方たちが笑顔になれる場所を作り続けられたら良いなと思ってます。

■ プロフィール
名前:シャギー/年齢:41歳/誕生日:124日/職業:美容師、バースタッフ/身長:172cm/体重:69kg/出身地:大阪府/最近ハマっていること:ストレッチ/好きな食べ物:肉/好きな場所:映画館/一度は訪れてみたい場所:アラスカ

企画・取材・撮影/天野ヒカリ
編集/芳賀たかし
記事制作/newTOKYO