2020年に製作をスタートさせた映画「ひみつのなっちゃん。」がコロナ禍を乗り越え、2023年1月13日(金)から全国公開となる。滝藤賢一の映画初主演作としても注目される本作は、ドラァグクイーンたちが“本当の美しさ”を見つけるハートフル・ロードムービー。
ドラァグクイーンのバージン(滝藤賢一)、モリリン(渡部秀)、ズブ子(前野朋哉)が慕っていたクイーン仲間“なっちゃん”が亡くなったことを機に集まった3人は、生前なっちゃんがオネエだったという”ひみつ”を隠し通すために、なっちゃんの自宅へ忍び込み女装道具を運び出そうとする。しかし、そこへなっちゃんの母親が訪ねてきて……。
ーーなっちゃん最期のショー“お葬式”へ参列すべく、3人が向かうは岐阜県・郡上八幡!
ある夏の夜、バージンのもとに掛かってきた一本の電話。それは、かつてパフォーマンスで魅了されドラァグクイーンの道を歩むきっかけとなったクイーン仲間・なっちゃんの訃報だった。なっちゃんが切り盛りする食事処で働くモリリンが待つ病院へ向かったバージン。悲しみに暮れる二人だったが、よくよく考えるとなっちゃんが住んでいる場所も、出身地も知らなかった。そんな中、明確に覚えていたのは、オネエであることを家族にヒミツにしていたこと。
一刻も早くなっちゃんの自宅を探し出しオネエであった痕跡を消し去るため、同じくなっちゃんと交流のあったドラァグクイーン仲間で知名度抜群のズブ子も交えて、なんとか自宅へ侵入するも、そこへなっちゃんの母親が…。
一同は男らしく振る舞いその場を切り抜けるのだが、母親の誘いでなっちゃんの葬儀が行われる岐阜県・郡上八幡へ行くことに。
ステージで踊ることをやめてしまったバージン、働き先を失ったも同然のモリリン、恋愛がうまく行かないズブ子の3人は東京から郡上八幡までの旅で、なっちゃんを失った喪失感やそれぞれが抱える燻った気持ちから脱却し、本当の美しさを見出すための一歩を踏み出せるのかーー。
ーー大切な人の死を経て、平凡な日常の尊さに気づかされたバージンたちからの温かなメッセージ
なっちゃんの死をきっかけに集まった3人の道中は涙に沈むかと思いきや、葬儀へ向かうとは思えないほど通常運転。サービスエリアで硬派なトラック野郎に誘われ焦るモリリン、道半ばで東京へ引き返そうとするズブ子…それぞれがハプニングに見舞われながらもなっちゃんを思う気持ち、そして何気なく立ち寄ったスーパーのイケメン店員のおかげで、誰一人欠けることなく、目的地へと到着する(イケメン店員の件は、ぜひ劇場でチェックして)。
澄んだ空気に夏の西日が射す古屋、雄大な山々、川のせせらぎ、そんな城下町の美しい原風景が残る郡上八幡に辿り着いた3人は、“ふつうのおじさん”として卒なく葬儀へ参列するというミッションを遂行すべくなっちゃんの生家へ赴く。
心一つに香典を受付へ手渡したとき、いよいよなっちゃん最期のショーが幕をあけるーー。
近しい人の死をテーマとしながらコミカルかつ軽やかにドラァグクイーンたちの友情、そしてなっちゃんと母親の深い家族愛を描いた本作。悲しみを東京へ置き去ったかのように軽快なやりとりを交わしながら車を走らせる3人が郡上八幡へ近づくに連れ”なっちゃんが死んだ”、その事実を実感し始めたように心の奥底に閉まっていた気持ちや思い出を吐露し始めていく姿から、なっちゃんへの愛の深さがうかがえる。
故人の死を悼むことは残された人たちにとってはなくてはならない時間。しかし、同様に弔うことがいかに自身のために必要な時間であるのかも痛感させられる。確かに大切な仲間を失ってしまった3人ではあるが生きている以上、お腹は空くし、踊りたくもなる、冗談だって交わしたい。
“今日を終え明日を迎える、その繰り返しが人生ならば、悲しみに暮れるだけ暮れて、またゆっくりと歩き出せばいいじゃない。きっと、ときめく何かとの出会いがあるはずよ”。彼らを見ていると、そんな温かなメッセージを受け取った気持ちになるのだ。何よりなっちゃんを想う母の気持ちを知った時は、感服し心がもう一段階じんわりと温まる作品となっている。
そしてストーリーだけでなく、個性派揃いの俳優陣も本作の魅力の一つ。バージンがかつて踊っていたクラブのママ・山田役にお笑いトリオ・東京03の豊本明長、ワイルド&セクシーなトラック運転手役に「純烈」の新メンバーに加わることが決定している岩永洋昭、本人役でドラァグクイーン・アンジェリカのほか、ゲイコミュニティではお馴染みのGOGO BOYやドラァグクイーンの姿も。
カンニング竹山がどんな役どころで出演するのかは…ひみつ♡ 一挙手一投足がクイーンそのものな3人の演技にも注目、ぜひ劇場へ足を運んでみて!
■ひみつのなっちゃん。
2023年1月13日(金)より 新宿ピカデリーほか 全国ロードショー、1月6日(金)愛知・岐阜先行公開
himitsuno-nacchan.com
Twitter@HimitsuNacchan
ストーリー/ある夏の夜、なっちゃんが死んだ。つまらない冗談を言っては「笑いなさいよ!」と一人でツッコミを入れていた なっちゃんは、新宿二丁目で食事処を営むママ。 その店で働くモリリンはドラァグクイーン仲間のバージンとズブ子を呼び出す。彼らがまず考えたのは、なっちゃんが家族にオネエであることをカミングアウトしていなかったこと。
証拠を隠すためなっちゃんの自宅に侵入した3人は、なっちゃんの母・恵子と出くわしてしまう。何とかその場を取り繕った彼らだが、恵子から岐阜県郡上市の実家で行われる葬儀に誘われてしまい、なっちゃんの“ひみつ”を隠し通すため”普通のおじさん”に扮し、一路郡上八幡へ向かうことになる……。
出演:滝藤賢一 渡部 秀 前野朋哉 カンニング竹山 豊本明長 本多 力 岩永洋昭 永田 薫 市ノ瀬アオ(821) アンジェリカ 生稲晃子 菅原大吉 本田博太郎 松原智恵子 脚本・監督:田中和次朗 主題歌:「ないしょダンス」渋谷すばる 製作:東映ビデオ 丸壱動画 TOKYO MX 岐阜新聞映画部 ロケ協力:岐阜県郡上市 ドラァグクイーン監修:エスムラルダ 配給:ラビットハウス 丸壱動画 ©2023「ひみつのなっちゃん。」製作委員会
画像/©2023「ひみつのなっちゃん。」製作委員会
記事制作/newTOKYO