日本初上映のドキュメンタリー作を含む、クィア映画が渋谷で特別上映&無料配信ドキュメンタリーも。

4月22日(金)〜24日(日)に実施される「東京レインボープライド2022」にあわせ、渋谷・ユーロライブにて日本初上映のドキュメンタリー「バンビ:ある女性の誕生」を含む、クィア映画の特別上映「Q(WE)R FILMS」(クィアフィルム)が4月26日(火)〜28日(木)の3日間限定で開催。さらに、期間中無料配信のドキュメンタリー映像も公開される。

この特別上映は、映画を通し、様々な歴史や先人たちの苦悩や功績のいくつかを知る機会をつくり、地域や世代を超えた繋がりを作り意識を高めることを目的として、フランス・ドイツ・オランダの大使館が作品を提供。また、上映後に監督や関係者によるアフタートーク・ビデオメッセージも一部実施予定。日本では観られる機会の限られた作品ばかりが集う今回、LGBTQ+の歴史・運動を知るためにも、ぜひ足を運んでみてはいかが?

●怒りを力にーACT UPの歴史
作品解説/1980年代と90年代前半、HIV/AIDSの蔓延を認識しながら対策を怠る政府や、問題を無視するメディアなどに文字通り命をかけて立ち向かった草の根アクティヴィスト集団ACT UP(アクトアップ)。怒りを通し繋がった彼らの活動を当時もその現場にいたジム・ハバードが監督したドキュメンタリー。世界中で繰り広げられた活動の中から主にニューヨーク支部が起こった大胆なアクションなどの映像(運動の一部として記録された)に加え、現在も生きる当時のACT UPのメンバーたちが当時を振り返る。

2022年4月26日(火)20:00〜21:33 + Q&A(22:10終了予定)
ゲスト:ジム・ハバード監督(オンラインLive Q&A)手話通訳つき
協力:FAV 連連影展
(C)Jim Hubbard, James Wentzy

海に向かうローラ
作品解説/ベルギーのシェルターハウスで暮らす18歳のローラは、ある日突然母親を亡くしてしまう。しかし犬猿の仲である父親のフィリップは、彼女を葬儀に参列させようとしない。怒ったローラは遺灰を持ち出してしまうが、フィリップは“砂丘に散骨してほしい”という妻の遺言を叶えるために、遺灰を離さないローラを乗せて車を走らせる。性別適合手術を応援してくれていた母を失い、ローラはやがて父親と向き合いはじめる。演技未経験のミヤ・ボラルスが主役を好演。父親役には歳を重ねたブノワ・マジメル、ローラの親友役は「セックス・エデュケーション」のラヒーム役で注目のサミ・ウタルバリが務めている。

2022年4月27日(水)18:00〜19:30
提供:オランダ王国大使館/オランダ人権映画祭
(C)Les Films du Losange

未来は私たちのもの
作品解説/イラン系移民の両親を持つミレニアル世代の青年パーヴィスは、両親がドイツで築いた安定した快適な環境で育つ。出会い系アプリのデート、レイヴやパーティで暇つぶしをしながら、地方暮らしの退屈さを紛らわせている。ある日、万引きがバレて、社会奉仕活動を命じられたパーヴィスは、難民施設で通訳として働くことになり、そこでイランからやってきたきょうだいバナフシェとアモンに出会う。3人の間に微妙なバランス関係が生まれ、ドイツにおけるそれぞれの未来が平等でないことを彼らも次第に気づき始める。

2022年4月27日(水)20:00〜21:33 + Q&A(22:10終了予定)
ゲスト:ファラズ・シャリアット監督(オンラインLive Q&A)手話通訳つき
提供:ゲーテ・インスティトゥート東京
(C)Juenglinge Film

バンビ:ある女の誕生
作品解説/「リトル・ガール」が近頃日本でも公開されたリフシッツ監督がそれ以前に取り組んでいたのが、このドキュメンタリー。アルジェリアで産まれたマリ=ピエールは、いつもドレスを着ることを夢見、ジャン=ピエールという名前を拒んでいた。そんな彼女に大きな転機が訪れたのは、ドラァグショーを訪れた時だった。17歳だった彼女はバンビとしてそれから数年のうちに有名になり、50〜60年代パリのキャバレー界の伝説に。フランスで初めて活躍したトランスジェンダー女性の一人、マリ=ピエール本人が丁寧に記憶を辿り、美しいフィルムの記録映像と重なりあう。

2022年4月28日(木)18:15〜19:38
ジャパンプレミア上映作品
提供:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
(C)Sébastien Lifshitz; Un Monde Meilleur, 2021

パリ、夜は眠らない。
作品解説/1980年代のニューヨークをアフリカ系アメリカ人やラテン系の若者たちの視点で見つめる画期的で伝説的なドキュメンタリー。ドラマ「ポーズ」のモデルでもある本作には、ウィリー・ニンジャなど“レジェンダリー”なヴォーガーが多数登場し、“ハウス”としてトロフィーのために“ファッション”を競いあう。7年にわたり記録された、きらびやかなドラァグやボールルームの一方、地道にその準備をする姿や、アメリカにおける同性愛やトランスの人々へのヘイト、人種差別、AIDS、貧困など彼らが経験する現実も見え隠れし、コミュニティのしなやかさとたくましさの両方を捉えている。

2022年4月28日(木)20:15〜21:33+ Talk(22:05終了予定)
ゲスト:Koppi Mizrahi(会場でトーク)手話通訳つき
協力:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
(C)Jennie Livingston, Janus Films

●[無料配信]ドクターと嘘と女性:AIDSアクティヴィストの抗議運動
作品解説/1988年1月、ACT UPニューヨークの女性たちがアクションを起こした。大企業の媒体である雑誌コスモポリタンが「異性愛者の一般的な性交渉では、女性はAIDSになる可能性は、ほぼ無い」という医師の文章を掲載したことへの抗議運動だった。カルロムストは、中心メンバーにインタビュー。さらに、女性の命を危険にさらす間違った情報の拡散に怒った彼女たちがテレビのトーク番組に戦略的に乱入する姿などを記録している。

※本プログラム期間中に、ACT UPの映像を記録し、現在もドキュメンタリー作家として活躍するジーン・カルロムストの代表作をオリジナル日本語字幕つきで配信いたします。(公開予定ウェブサイト:http://normalscreen.org

■Q(WE)R FILMS
日程|2022年4月26日(火)〜28日(木)
場所|ユーロライブ(東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 2F)
※Peatixでのチケット販売のため、会場での販売はありませんのでご注意ください。
https://qfilms.peatix.com

記事制作/newTOKYO