クローズドのゲイ・バイセクシュアル向けとなる当事者コミュニティ『オムライス』が立ち上がった。毎月1回当事者の交流イベントが開催されるコミュニティを運営するのが、バイセクシュアルで現役大学生の杉雄大さん。
杉さんはなぜ、クローズドに限定したコミュニティを作ったのか? そして、今この瞬間もクローズドとして生きている若い当事者に届けたいメッセージとは何のなのか?
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「セクシュアリティを理由に未来を狭めて欲しくない」。クローズドコミュニティだからできること。
ーークローズドのゲイ・バイセクシュアルに限定したコミュニティ「オムライス」の運営をスタートさせた経緯を教えてください。
バイセクシュアルだと自認してから10年以上経った昨年の10月、初めて同じセクシュアリティの友達ができたことが大きく影響していると思います。偶然にも彼とは同じ大学に通っていて、たくさん話をする時間があったのですが、その度にLGBT当事者として抱える将来への不安が薄まっていったんです。
そして自身の将来像を具体的に描けるようにまで心が成長したとき、改めて同じセクシュアリティ同士の繋がりの重要性に気づかされ、『オムライス』を立ち上げることにしました。
ーーゲイ・バイセクシュアルコミュニティは現在ではSNSでのコミュニケーションが活発だと思うのですが、その中でオフラインに特化したコミュニティを作ろうと思ったのはなぜですか?
SNSに馴染めなかったり、始めようと思っているものの一歩が踏み出せない人って一定数いますよね。セクシュアリティと顔をオープンにした場合、望んではいないアウティングに繋がってしまうこともありますし、一人ひとり理由は違えどハードルが高いと感じていることがあると思うんです。
そういったクローズドのゲイ・バイセクシュアルの方たちが、プロフィールをオープンにしつつ安心して交流できる場所やコミュニティがなかったので、ないのなら作ってしまおうという気持ち、何より必要性を感じたからです。
ーー具体的に交流会ではどのようなことが行われるのでしょうか?
元々はBBQに行ったり、海に行ったり、オフラインで一緒に遊びにいくような、気軽なスタンスを想定してスタートしたプロジェクトです。現在はコロナ禍ということもあって、ミニゲームやフリートークタイムなどを設けたオンラインイベントでの交流となっています。
過去2回行われたオンラインイベントに参加した方の中には共通の趣味で繋がり、継続的に交友関係が続いている方もいるようで嬉しいです。
ーー最後にこの記事を読んで「オムライス」を知ったクローズドのゲイ・バイセクシュアルの方に、メッセージをお願いします。
まずは『オムライス』のイベントを通して、一人じゃないということを知ってほしいです。何かあれば助けてくれる人が周りにいるし、同じような辛い経験をしている人もいるかもしれない。僕が同じセクシュアリティの友人に出会えた時と同じ安心感を感じてもらえるはずです。
セクシュアリティを理由に自分の未来を狭めるのではなくて、『オムライス』というファーストステップを経てコミュニティと可能性を広げていってほしいなと思います。
■ オムライス
株式会社releysが運営する、クローズドのゲイ・バイセクシュアル向けコミュニティ。現在は当事者同士の繋がりが生まれるきっかけとして、オンラインイベントを中心に実施している。
Twitter@omurice_releys
Twitter@ud_rainbow
取材/芳賀たかし
記事制作/newTOKYO