1月23日(月)ヒューマントラストシネマ渋谷にて、映画「エゴイスト」松永大司監督&ドリアン・ロロブリジーダトークショー付き特別試写会が行われた。松永監督やドラァグクイーンのドリアン・ロロブリジーダさんをはじめ、鈴木亮平さん演じる浩輔の友人として出演した、コータさん、シュウヘイさん、ヤスさん、ヨウさん、ジュンさんが登壇。
会場には約200人の観客が足を運び、キャストらと同じくゲイコミュニティに属する人たちの姿も多く見られた。最初は緊張した面持ちだったキャスト陣も会場の温かな空気もあり、リラックスした雰囲気で作品への出演経緯やメイキングエピソードをたっぷりと語った。
またトークショーの冒頭では、鈴木亮平さんからのビデオレターがスクリーンに映し出され「仕事の都合上、お伺いできず申し訳ございません。僕の友人役を務めてくれたみんなのおかげで今、すごく会場は盛り上がっているんじゃないかと思います。彼らとはクランクインの前から、食事の機会を設けていただき、共演者として関係性を築かせていただきました。その関係性があったからこそ、本番である飲み会シーンも自然なものに仕上がったと思っています」と、共演シーンを振り返った。
続けて「僕は『エゴイスト』をクィア映画として確立させたい。何よりゲイコミュニティに属する多くの方々に観てもらい、その上で自分たちの物語として感じ取ってもらえたら嬉しいです。壇上の皆さん、リラックスして楽しんでください。そしてまた、どこかでお会いできることを楽しみにしています。会場の皆さんもどうか、温かく見守ってください」と、本作への想いを寄せつつ、壇上のキャスト陣へエールを送った。
トークショー本編では松永監督が進行。ヤスさんは「観る方それぞれが共感するシーンが散りばめられている本作は鑑賞するタイミングで、印象が大きく変わると思います」と、自身が複数回観賞した上での感想を述べた。また宮沢氷魚さん演じる龍太の客役として濡れ場を演じたジュンさんは「誰がどの役で出演するかわからない状態でのキャスティングだったんですけど、ゲイコミュニティの一助となるならばと出演を決めました」と出演経緯を話した。
出演にあたって自身へ与えた影響を聞かれたシュウヘイさんは昨年の夏、母親へセクシュアリティを打ち明けたエピソードを展開。親子関係に前向きな進展を与えてくれたことを涙ながらに語り、会場からは大きな拍手が上がった。
松永監督はこれを受け「ゲイ当事者に、ゲイの役を演じてもらいたくて、ミヤタ廉さん、そしてドリアンさんにキャスティングを手伝ってもらった結果、集結したのが彼ら。自らのセクシュアリティが公になることを了承した上で、出演を決めてくれて感謝しています」と述べた。
ダンサーとして活躍するヨウさんは「LGBTQという言葉は僕達のようなセクシュアルマイノリティを守るために作られた言葉。ただ、まだこの言葉による括りがある社会というのが現実です。LGBTQであろうとヘテロセクシュアルであろうと、人と人が繋がる社会へ近づくきっかけを与える映画になれば嬉しいです」と力強い想いを語った。
コータさんは主な出演シーンとなる飲み会シーンを回想。「あのシーン、実は25分間ずっと僕たちがリアルなエピソードを交えて話しているのをただただ撮るということを4、5回繰り返して完成したものなんです。僕はずっとエッチな話しかしてないんですけど(笑)」と実生活で起きた出来事を話していたことを打ち明けた。
最後にドリアン・ロロブリジーダさんは「昨今、ゲイというセクシュアリティが、エンタテイメント的に消費されているなと思う瞬間にたくさん直面してきました。ただ『エゴイスト』はそうではありません。製作開始から監督や亮平さんをはじめ、全員がセクシュアルマイノリティへのリスペクトで溢れていました。そんな本作が、多くの当事者に届くよう、ぜひ感想を口コミやSNSで拡げてください。地方の方にも届けたい。観ていただく機会を作ることが大切なんです」と全国各地での上映を願い、観客へ熱い想いを伝えた。
終盤には観客からの質問タイムも設けられ、訪れていたドラァグクイーンのテマンダさんからはゲイコミュニティでも高い人気を誇る鈴木亮平さんと実際に会った感想を聞かれるほか、松永監督へは演者の役作りや撮影技法に関する質問がされるなど、終始和やかなムードで試写会は終了。
『エゴイスト』はいよいよ来月、2月10日(金)から全国ロードショーがスタートする。
■エゴイスト
2023年2月10日(金)より全国ロードショー
https://egoist-movie.com/
Twitter@egoist_movie
出演:鈴木亮平 宮沢氷魚 原作:高山真「エゴイスト」(小学館刊) 監督・脚本:松永大司 脚本:狗飼恭子 LGBTQ+inclusive director:ミヤタ廉 制作プロダクション:ROBOT 製作幹事・配給:東京テアトル 製作:「エゴイスト」製作委員会(東京テアトル/日活/ライツキューブ/ROBOT) <R-15> © 2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会
記事制作/newTOKYO
写真・取材/芳賀たかし