
2026年2月12日、観光の未来をテーマにしたイベント「ジャパントラベル フォーラム2026」が開催された。約200名が参加した本フォーラムでは、観光業界の最新トレンドとともに、多様な人が安心して過ごせる環境づくりが重要なテーマとして共有された。
主催する「ジャパントラベルアワード」は、「観光からより良い社会をつくる」ことを目的とする取り組み。誰もが安心して旅を楽しめること、多様なニーズを尊重すること、地域や環境への配慮といった視点を評価基準として掲げている。

観光は“消費”から“関係性”へ
フォーラム冒頭のパネルディスカッションでは、「応援される観光とは何か」が議論された。共同創設者は、日本の観光が「消費される国」になるのか、それとも「応援される国」であり続けられるのかの分岐点にあると指摘する。
議論を通して共有されたのは、短期的な集客ではなく、地域と訪問者が関係を築き続ける姿勢の重要性だった。観光客数そのものではなく、「どう関わり続けるか」が問われているという。
この視点は、LGBTQ+の人にとっても無関係ではない。単に「来てほしい」と呼びかけるだけではなく、「ここにいてもいい」と感じられるかどうか――その違いが、旅の安心感を大きく左右するからだ。

LGBTQ+フレンドリーが“観光価値”になる時代
フォーラムでは、浅草で着物体験を提供する「InKimono」が紹介された。同事業は「LGBTQ+部門」と「アクセシブル部門」の2部門で評価され、安心して利用できる場所づくりが注目された。
運営者は、旅行者一人ひとりの背景や希望を丁寧に聞き取り、個別に体験を提案していると説明。「ここなら安心して行ける」と感じてもらうことが支持につながると語った。
審査員からも、世界的にLGBTQ+の権利状況が揺れる中、アライ(支援者)としての姿勢を明確に示すことの意義が強調された。

2026年の観光トレンドは「人中心」
フォーラムでは、2026年の観光を象徴する3つのキーワードも発表された。
●トレンドキーワード1:ナラティブ・ツーリズム
(地域の背景や社会的文脈を理解する旅)
●トレンドキーワード2:コレクティブ・ツーリズム
(地域と価値を共有する観光)
●トレンドキーワード3:ウルトラ・パーソナル・トラベル
(個人に寄り添う体験設計)
これらに共通するのは「人を中心に設計された観光」だとされる。つまり、観光の価値は「どこへ行くか」だけでなく、どのように迎えられるかへと変化している。

旅先の“安全”は、情報より感覚で決まる
LGBTQ+の人にとって、旅のハードルは観光地の魅力や交通の便利さだけではない。パートナーとオープンに手をつないで歩けるか、宿泊時に説明を求められないか、性別表記で困らないか……なども視野に入れる人も少なくはない。だからこそ、こうした細部の積み重ねが、「また来たい場所」になるかどうかを決める。
今回のフォーラムが示したのは、観光におけるインクルージョンは“配慮”ではなく“価値”になりつつあるということだ。安心して過ごせる環境は、特定の人のためだけではなく、すべての旅行者の体験を豊かにする。その考え方が、観光の未来を形づくり始めている。

■ジャパントラベルアワード/企画・運営:株式会社しいたけクリエイティブ
「観光からより良い社会をつくる」を目的とした、国内最大級の観光アワード。誰もが安心して旅を楽しめること、多様な視点やニーズを尊重すること、地域や環境への配慮を大切にする取り組みを評価し、日本各地の魅力ある観光地や体験を“感動地”として発掘・表彰している。
2021年の初開催では80件だった応募数は、第4回で196件、本年度は206件へと増加。全国から多くのエントリーが寄せられている。多様な旅行者が存在する時代において、「訪れやすく、居心地のよい場所」をグローバルな視点で審査・発信し、地域や施設の魅力を国内外へ広げることを目指している。
https://japantravelawards.com/
素材提供/ジャパントラベルアワード(株式会社しいたけクリエイティブ)
記事制作/newTOKYO









