同性パートナーシップ制度は「愛の平等性」を実現する未来へのステップ?LGBTsカップルがパートナーシップを結ぶことについて考えてみた。

2015年に渋谷区と世田谷区を皮切りに始まった同性パートナーシップ制度。あれから約5年の2020年5月15日現在では、日本全国50自治体に居住するLGBTsカップルが同性パートナーシップ制度を利用できることが可能となった。LGBTsを取り巻く環境がまた一歩良い方向に進んだと思う反面、パートナーシップ制度だけで結婚における異性愛者とLGBTsの平等性は保障できるかと考えると…まだまだ首を縦に触れないのが現状。
そんな中で、私の未来予想図はどうなってちゃうの?(現在25歳)とふつふつと考えていたらもう頭の中がパニック。ってことで、今回は同性パートナーシップ制度を実際に利用している人たちの割合を様々な数値と比較した上で、より多くのLGBTsが「愛の平等性」を感じられる社会になるためにはどのような動きが必要になってくるのか…私なりの見解で書いてみることにしたわ♡

* * * * *

――これまでにパートナーシップ制度を利用した同性カップルは945組!これって多いの?少ないの?

「認定NPO法人にじいろダイバーシティ」の調べによると、各自治体が導入した同性カップルを婚姻関係相当と認める「同性パートナーシップ制度」を利用しているカップルは全国47自治体の945組、1890人(2020年4月20日現在)。「こんなにたくさんのLGBTs当事者がパートナーシップ制度を利用したいと思えるほど愛せる運命の人に出会えているのね、羨ましいっ!」と思う一方で、この人数って実際のところ多いのか、少ないのか、気になるところ。

日本におけるLGBTs、性的少数者に該当する人口は10%(「LGBT意識調査2019」LGBT総合研究所調べ)と言われているから単純計算すると、総務省統計局が公開した2020年4月1日段階での人口推計1億2596万人のうち、およそ1259万6千人のLGBTsが存在することになる。そのうちの1890人が同性パートナーシップを結んでいることになるから、どれくらいの割合か計算をしてみると…って、計算するの久しぶりすぎて割合の出し方忘れかけていたけれど、一番苦手だった算数が役に立つ時がきたわ。「算数なんてどうせ役に立たないじゃん」と言っていた私へ、今すごく役に立つ局面に立たされているわ。本題に戻って、式を立てて計算してみると、1,890(同性パートナーシップを結んでいる人口)÷12,596,000(LGBTsの想定人口)=0.00015005×100(パーセンテージ表示にするときに100掛けるの忘れがちだから気をつけて)=0.015005%のLGBTsの方達が同性パートナーシップ を結んでいることになるわね。うーん、やっぱりパッと数字を見ただけでは少ない印象を受けるかも。

一方で、男性・女性間での婚姻数を調べてみると2018年、2019年それぞれ1年間に約60万組、およそ120万人の人が婚姻関係を結んでいるといったことが厚生労働省の調査結果から分かっている。パートナーシップ制度の利用者割合とどれだけの差が生まれているのかを知るために、総人口1億2596万人からLGBTsとされる人口1259万6千人を引いて割合を出してみると、1,200,000(婚姻関係を結んだ人口)÷113,364,000(ストレートの想定人口)=0.01058537×100(しっかりと100を掛けるの)=1.058537%。人口の割合は10倍程度の差の開きであるのに対して、婚姻数とパートナーシップ制度を利用数には100倍程度の開きがあることが分かった。

うーん、やっぱりパートナーシップ制度を利用している人たちはまだまだ少ないと考えても良さそうな数値ね。それにパートナーシップ制度を利用したくても利用できない地域に住んでいる人が多く存在しているということも大きく影響していそう。現在、日本には1,741の市区町村(平成30年10月現在)があるそうだけど、制度を導入している47市区町村を差し引いた1,694市区町村、約95%の場所ではパートナーシップを利用するか否かの選択肢そのものが与えられていないことになる。ちなみに私が生まれ育った東北地方に至っては導入している市区町村がゼロだったわ…(泣)。

* * * * *

――「同性パートナーシップ制度」を利用できない理由がある!? LGBTsが「平等性」を感じられる社会にするために

先ほど、LGBTsが同性パートナーシップ制度を利用できる自治体が圧倒的に少ないゆえに、制度を利用できていないのでは?とお話ししたけれど、それだけの理由で0.015…%という制度利用率になっているわけではなさそうと思うのは私だけ? 個人的にもっと他の理由があると思っていて、例えばLGBTsが「セクシュアリティにおいて自分らしくいること」そして「好きな人に好きと伝えること」が難しいという社会的な背景が影響して、社会活動におけるパートナーとなり得る人との出会いのきっかけが少ないということは一つ考えられそうよね。

例えば日常生活において、好きな子ができたとしても相手のセクシュアリティが目に見える訳ではないし、世の中的にはセクシュアルマイノリティへの理解が進んでいるとは言えど、当事者本人がそう思える環境かどうかと言われたらまだまだなのが現状。男女であれば、好きな人に好きという行動で生まれる結果は「付き合えた」「付き合えない」のどちらかがほとんどだけれど、LGBTsはその結果にプラスアルファで「セクシュアリティのカミングアウト」がどうしても付き纏ってくるから、クローズのLGBTsにとってはなかなか難しい。
仮に運命の人と思える素敵なパートナーに出会えたとしても、パートナーシップを結ぶには役所への本人証明となる運転免許証やパスポート、住民記台帳カードといった公正証書を求められることが多いからそれも一種の「カミングアウト」や何かの弾みで「アウティング」されてしまうかもしれない恐怖も考えると、なかなか制度を利用するに至らないということもあるかもしれない。居住している自治体の役所に両親や親族、友人などがいたら尚更、腰が重いわよね…。自分だったら引っ越しをした方が先決かもと思ってしまう。愛し合っているということは異性愛にせよ同性愛にしても何ら変わりないのに…基本的人権の尊重の一つ「平等権」はどこに行っちゃったのよ、本来は喜ばしいことなのにあれこれ悩みごとが増えちゃうなんて…もう~!

とは言うものの、LGBTsが自分らしくいられる・働ける環境づくりをするために民間企業ではLGBTsに向けた福利厚生の適用などに広がりを見せてるわ。本当よ、自分の目と耳でちゃんと確かめてきたんだから!これまでインタビューしてきたLGBTsフレンドリー企業が取り組んでいる施策を例に挙げてみると、多くの企業が結婚休暇や育児・介護休暇に慶弔見舞金、赴任手当といった社内制度を同性パートナーシップ制度を利用している、そしてこれから利用するであろうLGBTsの社員のために拡充しているというお話しをよく耳にした。それと「LGBTsとはなんぞや?」という声に応えて啓蒙活動にも積極的だった印象がある。まだまだパートナーシップ制度を行使した福利厚生の利用者数は日本のLGBTs人口の割合から見ると少ないそうだけれど、LGBTsが自ら声を上げなくても企業もこのような施策を通してセクシュアルマイノリティへの理解を示してくれるというのはとても良いことよね。

今まで私は育ってきた環境、特に学校なんかでは「想定外」の人として生活している認識が強かったから(保体の教科書で異性を好きになるという表記を目にした時からだと思う)、企業が器となってLGBTsを「想定内」の人として受け入れてくれる姿はとっても嬉しいこと! ただ、やっぱり人事の方にお話をしなくてはいけないというのがハードルに感じられてしまうことは多そうね…。そこを第三者の企業が介入してなんとかカバーできないものかしら。まぁ、素直に隠さず自分らしく生きれる社会だったらなんも問題ないんだけどね。

そうそう、「結婚の自由をすべての人に-MARRIAGE FOR ALL JAPAN-」裁判(2019年に全国5都市で一斉に行われた同性婚法制化訴訟)もLGBTsへの認知・理解へ大きな影響をもたらした事柄の一つよね。
今年に入って実際に原告として訴訟を起こした小野春さん、西川麻美さんにお話を聞く機会があったのだけれど、やっぱり同性パートナーシップ制度では補うことができない権利や義務、保障には限界があるということに再認識させられたわ。かといってパートナーシップ制度が何も効力がないのかというとそういう訳でもないのよ。

同性婚法制化訴訟と同じようにLGBTsの認知度向上に大きく貢献していると思っている。それにパートナーシップ制度が導入された自治体では、証明書を持つ同性パートナーとの賃貸契約や病院の面会時、関係性を理由に断られた場合に区が事業者名を公表、是正勧告する場合もある。ゆえに、同性パートナーという理由で断られるといったケースを抑制する効果が期待できるし民間企業に目を向けると、同性パートナー向け生命保険プランへの加入に有利に働くことや携帯会社の家族割引きの適用範囲として認められるといったこともあるの。あ、でもパートナーシップ制度は各自治体で内容が異なるから、今一度確認してみてね。
うーん…でも改めて考えると、やっぱりパートナーシップ制度は各自治体で導入するか否か決定権があることや内容にもバラつきが出てくるから「すべての人に平等な権利」という点ではやっぱり、同性婚法制化について国には前向きに検討していただけると嬉しいな~というのが率直な感想ね。

日本の企業や国民一人ひとりが声を上げることで国が変わっていく民主主義社会であることを、今回のコロナ給付金問題で再認識させられただけに、現代を生きる上で困難に立たされているということを自ら発信していくことがどれだけ大切なのか分かった気がしている。
LGBTsに関していえば、今はまだどうしても都心部がフューチャーされがちだけど都心部だけでもLGBTsへ向けた制度を設けることがスタンダードになれば、地方への波及も期待できそうじじゃない? 同時に地方のLGBTsへの認知力向上にも繋がるはず。企業での取り組みが当たり前になった上で、初めて国も無視できない事案になってくると思うのだけど、どうなのかな。
生きているうち、いや、後10年くらいで高校生や大学生、それに職場恋愛なんかも同性同士でちょくちょく見ることに違和感のない社会になってればいいなぁ♪ そして、10年後は私は35歳…「普通」であれば結婚していて何らおかしくない年齢ね。同性婚できる未来になっているのか、そんな未来に少しでも貢献できるような人間に成長できればと思いつつ、まずは相手を探すことにするわ。

* * * * *

イラスト/ユーカ Instagram@yunyun__gram
コラム/芳賀たかし
記事制作/newTOKYO

※この記事は、「自分らしく生きるプロジェクト」の一環によって制作されました。「自分らしく生きるプロジェクト」は、テレビでの番組放送やYouTubeでのライブ配信、インタビュー記事などを通じてLGBTへの理解を深め、すべての人が当たり前に自然体で生きていけるような社会創生に向けた活動を行っております。
https://jibun-rashiku.jp

あわせて読みたい!

LGBTsという存在の可視化! 小椋ケンイチの明るく前向きな「自分らしく生きる」メッセージ。

自分らしく生きるとは――。そんな長年抱いていたゲイとしての自分にできることとは一体何なのか? LGBTsだけでなく誰もが自然体で生きていける社会づくりを目指し、昨年12月にWe think (SHIBUYA).実行委員会によって始まった「自分らしく生きるプロジェクト」。TOKYO MXでの番組放送や、YouTubeライブ配信などを通じてメッセージを届けているが、そのプロジェクト発起人となったのが、… もっと読む »

続きを読む >