実話をもとにした短編映画「誰も悪くないのにね」公開中。同性パートナーの存在をカミングアウトする息子と家族を描く

結婚の平等(同性婚の法制化)の実現を目指す「公益社団法人 Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人に」(以下、マリフォー)が特別協力した短編映画「誰も悪くないのにね」が4月10日(木)正午より公開中。本作では同性婚の啓発に向けて、同性パートナーがいることをカミングアウトした息子と、カミングアウトを受けた家族それぞれのリアルを描いている。

また公開当日に合わせて行われた記者会見では、制作チームやマリフォー共同代表が登壇し、作品に込めた想いや同性婚訴訟の直近の状況や今後の動きについても語られた。

ーー全国から届いた実話をもとに脚本・制作。当事者の周囲の人たちの葛藤を通じて自分ごと化へ

記者会見では本作上映後には、米国アカデミー国際長編賞にノミネートされた映画『PERFECT DAYS』で脚本・プロデュースを担当し本作の企画・原案者でもある高崎卓馬さん、そして監督・脚本の大森歩さんが登壇。

高崎さんは「映画は他人の世界を想像する装置だと思っています。それを前提としながら本作の登場人物を通して、カミングアウトによってもたらされる感情を良い悪いで判断するのではなく、そこをスタート地点として皆が幸せになる道を模索して歩いていけばいいということを伝えたかったんです。自らがカミングアウトする立場、される立場に都度立ちながら制作に臨みました」と、他人を思いやる気持ちを皆が持ち寄ることで優しい世界が作られると語った。

また、大森さんは「主人公が生まれ育った家族を離れ、人と出会い、新しい家族を作っていく過程を通して未来を感じられる作品を作ることを意識しました」と、本作に込めた思いを語った。

ーー「注視するということは、性的マイノリティが人権侵害され続けることを放置することと同義」。

その後、マリフォー共同代表で東京・関西各訴訟弁護団の寺原真希子さんは、今年3月に同性婚訴訟の高裁違憲判決が5つ全て出揃ったことについて「憲法史上において極めて稀なことであり、来年にも出るであろう最高裁判決においても違憲との判断が下されるであることは、ほぼ確実。しかしながら、政府は未だに状況を注視するばかりで法改正に向けた検討を開始する気配すらみせない。これも極めて異常な事態であり、同性間の婚姻を認めないのが人権侵害であると明らかになった今でも、注視するだけに留まることは放置していることと同義です」とし、日本中に暮らしている同性カップルないし性的マイノリティの婚姻の自由、平等権、幸福追求権、個人の尊厳を侵害し続けているとした。

続けて「本作でも描かれているように、性的マイノリティ当事者、家族など誰も悪くないのにも関わらず苦しまなければいけないのは、日本社会に根強く残る性的マイノリティへの差別・偏見、また性的マイノリティを排除している婚姻制度にあります。法制度が人々に与える影響は大きく、法制度が性的マイノリティを差別し続けている社会の中で、差別・偏見を無くすことは不可能。短編映画を通して現状の法制度が、どれだけ性的マイノリティに影響を与えているのかを知ってもらい、具体的なアクションを起こしてもらいたいです」と思いを語った。

ーーなお、マリフォー理事の松中権さんは本作の公開期間について同性婚が実現するまでとしている。上映時間10分という短いながらも、異なる立場の人々の思いが丁寧に描かれている本作。性的マイノリティだけに留まることなく、一人でも多くの人にとって、考え、行動する一歩となることを願う。

ーー短編映画『誰も悪くないのにね』(本編)

◆「誰も悪くないのにね」4月10日(木)正午よりマリフォーチャンネル(YouTube)にて公開中。
ストーリー/大学を卒業する前に、両親に伝えておこうと息子は思った。両親がそれをどう受け止めるかは わからなかったから、いつにもまして緊張する。とくに父がどう思うか。何と言うか。意を決した カミングアウトは拍子抜けするほどあっけなく終わる。だがはりつめたその空気のせいか、 小さな言葉がトゲのように痛い。そして穏やかな顔の裏で波紋のように広がる気持ちを カミングアウトする側も、される側も止められなかった。カミングアウトする側の気持ちを描くだけでなく 、される側の気持ちを描き、その痛みはやがて家族のあたらしい関係のはじまりに変わっていくーー。

出演:杉田雷麟、服部樹咲、河井青葉、赤堀雅秋/企画・原案:高崎卓馬/監督・脚本:大森歩/音楽林正樹/プロデューサー:小林祐介/撮影監督:安藤広樹/照明技師:土屋昌己/美術:佐藤彩/助監督:李潤秀/制作担当:大友俊平、神谷諒/ロケーションコーディネーター、パートナー役:川畑航大/スタイリスト:立花文乃/ヘアメイク:大上あづさ/音楽プロデューサー:福島節/編集:対馬天伸/録音:吉川貴人/カラリスト:長谷川ましろ/本編集:宮本武瑠/制作:株式会社スプーン:特別協力:公益社団法人Marriage For All Japan -結婚の自由をすべての人に/結婚の平等にYES!全国連携団体のみなさま

記事制作/newTOKYO

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