一生に一度も使わないGAY会話 Lesson2.Wedgieな休日

部署異動により英会話能力の向上を余儀なくされた30代スーツリーマンのゲイ、ジョー。「英語への苦手意識を無くす」という目標を掲げ、アメリカへの留学経験があるドラァグクイーンのニュー子を頼ったものの、教えてくれるのは全く使う機会が無い英文ばかり!

さらにはインバウンド需要を見据えた友人でゲイバーのママであるツバサも加わり、月に一回の英会話教室は、たちまち井戸端会議状態に…。
第2回目は“Wedgie”をキーワードに、生きた英語?を学んでいこう!

ーーカラン、カラァ〜ン♡♡♡(ツバサのお店のドアベルが鳴る音)

ごめんなさぁ〜い、今日はもうクローズな…あら、誰かと思えばジョーじゃない。そういえば、明日から異動先での仕事が始まるそうね、ストーリーズ見たわ。今のお気持ちは(笑)?

お前の店に来るときは大抵、仕事かプライベートのどっちかが上手くいっていないことぐらい分かっているくせに…。ほら、新しい環境に身を置くうえで付きものなのが、自己紹介だろ? 1分にも満たない時間だけど最初が肝心って言うし…でも、何を話せばいいのやらサッパリで。

ーーガチャ、バタン!(トイレの扉が開く音)

アンタ、身体をデカくするのもいいけど気持ちもドンッと構えられるような男になりなさいよ。出会った時から何にも変わってないわね〜。そうだわ、“新しい視点”っていうのが現代ビジネスに求められてるみたいだから、人とは違うジョーらしさ100%のこんなのはどう? ほら、分かりやすいように挿し絵も描いてみるわね。サッサッサっと…。

【今月の一生に一度も使わない例文】
Lately, I’ve been into getting a wedgie from a stranger in a public park late at night.

トイレに入ってたのニュー子さんだったのか! って、今回もまた一目見ただけで役に立たなそうだってことは分かるな。で…その「Wedgie」ってのは、どういう意味なんだ?

すっきりしたわぁ〜♡ ツバサのお店はオールジェンダートイレだから助かるわ。あ、そうそう。「Wedgie」の意味ね。「Wedgie=パンツが食い込んだ状態」というスラングとして使っていて、全体を翻訳すると私が最近ハマっていることは、深夜の公園で知らない人からパンツを食い込まされることですという意味になるわ。

言っておくが俺に野外経験は無いし、こんなフェチもない(わけではないけど…)! 異動初日からなんてこと言わせようとしてるんだよ! 何のために月一で会ってるのやら…来月こそは、ちゃんとした使える英語を教えてくれ〜!

無難な英語での自己紹介よりも、100倍印象に残って良くない? 今度、お客サマに趣味を聞かれたら私が使わせてもらうわ。ありがと、ニュー子さん♡

■プロフィール
ジョー(T179 W85 35yo)
ゲイの鑑と言わんばかりな褐色肌の短髪黒髪ヒゲリーマン。本格的に英語必須なポジションに異動が決まり、本腰に。やめては入会を繰り返していた英会話教室に再び通い始め、ニュー子からもGAY会話を通して英語を学び始めることに。平日はスーツ勤務、休日は万年タンクトップ。

ツバサ(T170 W55 28yo)
新宿二丁目でゲイバーを営むやり手のママ。一見、物腰が柔らかそうな色白今風ノンケだがその実、常連には少々アタリがキツい。元々、大学では英語を専攻。外国人の来店者も見据えて更なる英語力向上を目指し、ジョーとともにニュー子から生きた英語を学ぶことに。

ニュートーキョーコ・トーキョー(通称:ニュー子)(T195 Wヒミツ♡)
学生時代、LGBTQ+への理解が進むカリフォルニア州に留学経験あり。帰国後にドラァグクイーンとして活動をスタート。性別や年齢、国籍などを問わず誰に対しても大らかで、来るもの拒まず、去るもの追わずなスタンス。年齢不詳で素顔も謎だが、普段は英語講師をしているというウワサも…。

イラスト/松本ゆうす
英文監修/Honoka Yamasaki
編集/芳賀たかし
記事制作/newTOKYO