作詞家・及川眠子&作曲家・中崎英也の全面プロデュースによる、新宿二丁目発ドラァグクィーン3人の本格ディーヴァ・ユニット「八方不美人」。昨年12月にミニアルバム「八方不美人」でデビューし、今年7月にははやくもセカンドミニアルバム「二枚目」をリリース。個性のまったく異なる3人のディーヴァたちは、エンタメ性だけではなく社会的ムーブメントを起こす存在になろうとしている。そんな彼女たちのデビュー経緯や今作の曲に込めた想いなどを伺った。
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―― 八方不美人を結成することになった経緯を教えてください。
●エスムラルダ(以下エスム)/まず、わたしが仕事でご一緒した及川眠子さんと仲良くなり、よく通っているお店にお連れしたんです。そこで、眠子さんがたまたまドリアンの歌声を聴き、酔った勢いで「1曲あげるわよ!」と仰って。
●ちあきホイみ(以下ホイみ)/後日、眠子さんが作曲家の中崎英也さんを連れてお店にいらっしゃったのですが、ドリアンさんが仕事で遅れていて、お店の常連だったわたしが前座として歌を披露することになったんです。そうしたら、同席していたエスムさんも併せて「3人でユニット組めば」と言っていただき、結成が決まりました。
●ドリアン・ロロブリジーダ(以下ドリアン)/そう、つまり始まりは酒場の会話! そんな感じだったのですが、眠子さんと中崎さんが色々と手配してくださって、どんどん現実味を増していったんです。夏から秋にかけてレコーディングとMV撮影を終え、昨年の12月19日にデビューミニアルバムをリリースしました。
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――バラバラに見えるお三方ですが、ユニットを組んだ後の互いの印象を教えてください。
●エスム/陸上競技にたとえると、ドリアンが短距離走、私が長距離走、ホイみが競歩って感じ。ホイみは、細かい事務作業を頼むときっちりやってくれるので、助かります。一方で、超マイペースで感情がわかりやすいので、ツッコミどころ満載で面白いですね。
●ドリアン/そうそう。あと、ホイみさんの愛らしいところはすぐに調子に乗るところですね。でも歌は圧倒的に上手くて、人の心をグッと掴む歌唱力は常に嫉妬しているくらいです。
●エスム/ドリアンは、歌声はパワフルだし、背が高くて衣装やメイクも派手なので、場が華やかになります。あと、迷ったときに相談すると、スパッと答えてくれるので、心強いです。
●ドリアン/心強いといえばエスムさんよ!ベテランさんなのでその場にいるだけで空気が安定するんです。エスムさんは精神的支柱なんですよ!なので、今のままで!
●ホイみ/二人とも本当に善人で、大先輩とこうしてユニットを組むことにプレッシャーもあったのですが、新人の私にも本当に優しくしてくれて…。
●ドリアン/善人というか、私たちってある意味、小心者なんです。敵を作りたくないっていうか、八方美人なんですよね~(笑)。
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――セカンドミニアルバム「二枚目」に収録されている「罰をくらえ愛で」はどんな曲でしょうか?
●エスム/デビュー曲の「愛なんてジャンク!」の世界観を進化させたような曲です。
●ドリアン/前作も充分アクの強い曲だったのですが、さらにそれを煮詰めた感じですね。
●エスム/まず、1番や2番のラストの言葉が、前作は「やめて」「嫌い」だったのが、今回は「死んで」「消えて」と、より激しく強烈になってる(笑)。
●ドリアン/曲自体はラテンなノリもあるのですが、前回とは違って、みんながずっと歌っている。だから今回は、サボれるパートがないんです…(笑)。
●ホイみ/それに、前作はエスムさんの「捨てなさい!」っていうのがキメ台詞だったんですけど、今回はそれぞれにキメ台詞があるのがポイントですよね!
●ドリアン/サビのハモりもいいのよね。三声でハモるのでたまにバランスが取れなくなってしまうので注意しなくていはいけないけど、きれいにハマるとこれまた気持ちがいい!!
●ホイみ/掛け合いが本当複雑に絡み合っているから、それぞれの声に意識してたくさん聞いていただきたいですね。
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――デビューしてから今回の第二弾発売までに、それぞれに意識の変化はありましたか?
●エスム/私は今まで、ミュージカルなどお芝居の現場以外では、基本的にはリップシンク(口パク)のショーばかりしてきました。歌うことは好きだったけど、「クラブイベントのお客さんは、自分には歌を求めていないから」とためらっていたんです。でも、八方不美人として人前で歌うようになって、そのためらいがなくなりました。同時に「お金をいただく以上、もっとうまくなりたい」という気持ちが、より強くなっています。
●ドリアン/八方不美人として活動していくうちに、クラブだけでなく、地方のショッピングモールやCDショップなどたくさんの場所で歌を歌わせていただくようになったんですけど、応援してくださる方たちの層が広がっていることを実感しました。八方不美人だから届く、届けられる人たちが確実にいるって。特に、名古屋の上飯田のイオンで歌わせていただいたとき、それを強く感じました。我々の歌を目当てに来ていない人、たまたまそこに居合わせた人たちを含め、老若男女問わず皆さん手を叩いてノリノリで聴いてくださって、その光景がとても印象に残りました!
●エスム/歌詞の意味は、まだあまり分かっていないと思うけど、子どもたちも踊りながら聴いてくれてるよね。
●ドリアン/及川眠子さん、中崎英也さんという日本の歌謡界を作り上げてきた人たちが作ってくれた曲ですからね。
●エスム/ただ、見てくださる方の層が広がったことで、我々ならではの緩さも残しつつ、トークの内容や衣装・ウィッグのクオリティ、仕草などに関して、締めるべきところは締めなきゃ……と思うようになりました。ホイみは変化とか感じたことある?
●ホイみ/わたしは…体調管理? ほら、肩を出したりする衣装が多かったりするのでどうしても冷えてしまって、体調を崩しやすいので…。やっぱりお客さんの前でちゃんとしたコンディションで歌いたいって思うから。日々体力をつけ、免疫を高め、最高の状況でお客さんの前に立てるようにと常に意識するようになりました!
●ドリアン/この質問の主旨ってそういうことなのかしら?(笑) でもちょっとそれ共感するところあるかな。安定してどれくらい高いパフォーマンスができるかっていうところがプロに求められることなのかなって思うんですよね。
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――今後、「八方不美人」はどこを目指していきたいですか?
●エスム/今応援してくださっている方たちを大事にしつつ、もっと裾野を広げたいと思っています。とにかく楽曲が素晴らしいので、たくさんの人に聴いてもらわないともったいない!
●ドリアン/そうですね、これからもモールやイベント出演、そしてメディアにももっと出演して認知度を増やさないとね!
●エスム/屋外でのイベントなど、不特定多数の方が集まる場所で歌ったことが何度かあるんですが、楽曲や見た目、歌声のインパクトのおかげで、足を止めてくださったり、ファンになってくださったりする方が結構いらっしゃるんです。なので、そういう機会はどんどん増やしていきたいですね。
●ホイみ/個人的な願望なんですけど、とりあず日本を飛び越えて、グラミー賞をいただきたいなあと♡
●ドリアン/わたしはミュージカルに進出してトニー賞を♡
●エスム/アカデミー賞…♡
●ドリアン/三人でテレビドラマに出て…
●一同/エミー賞!
●エスム/というのがいつものお決まりなのですが、より現実的なところでいうと、「いつか紅白に出たいな」と、半ば本気で思っています。これを「現実的」というのもなんだけど(笑)。あと、やはり歌番組にも出させていただけるといいなあ。わたしたちだからこそ表現できること、伝えられることは確実にあると思うし、ひとりでも多くの人に、そうしたメッセージを届けることができたら嬉しいですね。
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八方不美人
新宿二丁目を拠点に活動してきたドラァグクイーン(女装パフォーマー)のエスムラルダ、ドリアン・ロロブリジーダ、ちあきホイみの3人によるディーヴァ・ユニット。作詞は、Wink「淋しい熱帯魚」やテレビアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の主題歌「残酷な天使のテーゼ」などを手掛けた及川眠子氏。作曲はアン・ルイス「WOMAN」や小柳ゆき「あなたのキスを数えましょう」などを手掛けた中崎英也氏による共同プロデュース。
初単独ライブ「愛をくらえ有楽町で」開催決定!!
日時:2019年12月15日(日)14:00公演/18:00公演
公演場所:ニッポン放送イマジン・スタジオ(有楽町)
チケット:チケットぴあ(Pコード:168-444)他
インタビュー・撮影/新井雄大 Twitter@you591105
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