クィアを切り口に「性」をテーマにした映像作品を上映する『第16回関西クィア映画祭2023』が、今年9月15日(金)〜18日(月・祝)に大阪(すてっぷ)、9月22日(金)〜24日(日)に京都(ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川)で開催される。
今年は16の国から全36作品(日本初上映15作品、関西初上映作品9作品)が上映され、国内のセクシュアルマイノリティ系映画祭では最大の作品数となっている。今回は特に、レズビアンや女性同士の関係性、女性の生き方を描いた作品が充実。この映画祭でしか観れない作品が勢揃いするので、ぜひこの機会にお見逃しなく。
●日本作品プログラム(長編5作品・短編2作品)
・ 「Aセクシュアルの映画」として話題になった『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』は、それに留まらず、日本のジェンダーやセクシュアリティについての取組みをちゃんと踏まえて作られた最先端の作品の一つ。今年の関西クィア映画祭オープニング作品。
・ 昨年の関西クィア映画祭の国内コンペで“クローゼットのレズビアンを主人公にした物語”を描いた伊藤梢監督の『私たちの、』が最優秀賞を受賞。その伊藤さんが俳優として出演した『Anonymous Gods』を上映。
・ YouTubeで10万回以上再生された『ポリエチレンテレフタレート』や、大阪アジアン映画祭でプレミアだった『ボクらのホームパーティー』、全国で劇場公開された『老ナルキソス』は、それぞれ独自の角度から、日本の今を描くゲイ作品。
●海外作品プログラム(長編7作品・短編2作品)
・ アカデミー賞受賞のフィンランド映画『ガール・ピクチャー』は、今の時代を生きる3人の女の子の物語。今年の関西クィア映画祭クロージング作品。
・ベルリン国際映画祭やサンダンス映画祭でも受賞したトランス女性監督の米国作品『ココモ・シティ』は、7月のレインボーリール東京でも大好評だった作品。
・英国でのゲイのトランス男性の出産を記録した『出産したパパ(原題 タツノオトシゴ)』や、インドのトランス女性の家探しの物語『私たちの場所』は、トランスジェンダーの多様性を教えてくれる。
・いつも無いことにされがちなレズビアンの歴史と経験を描いた『レスボスーレズビアンの居場所』は韓国作品。ぜひ韓国短編集とあわせてご覧ください。
・ブラジルの先住民でノンバイナリーな主人公を描いた『ウイラ:湧き上がる熱帯雨林』や、性別二元論の仕組みに敏感なフェミニストたち10人が自分を愛することについて語った『ナルシシズムー私を愛すること』は、クィア映画祭ならではの作品。
●国内作品コンペティション(短編6作品+海外短編1作品)
応募総数48作品の中から選ばれた6作品(駆け抜けたら、海。Salty Blue/私の愛を疑うな/カゾクノキョリ Sayaka and Ayumi/ふたつの遺影/冷めたコーヒーとアイスコーヒー/あなたが言うなら If You Say)が上映。あなたの投票で最優秀観客賞が決まる。大阪・京都の両会場とも、上映に加えて監督のトークやQ&Aがあります。投票は両会場で行われます。
●海外短編集(短編7作品)
関西クィア映画祭のミニチュア版のような短編集。様々な傾向と問題意識の作品を一度に見れる貴重な短編集。ドラマからドキュメンタリーまで、盛りだくさん。映画的にも質の高い作品をぜひこの機会に。
●韓国短編集(短編4作品)
「女性・セクマイ」をテーマとした韓国の作品を集めた短編集。中年のレズビアンカップル、若い二人のラブストーリー、かつての恩師との思い出と今、レズビアンの娘を持つ母親の物語、の4作品を上映。
●特別上映プログラム(短編1作品)
日本のトランスジェンダー女性が作成する、トランスジェンダーのリアルを表現する作品『鏡をのぞけば~押された背中~』(監督 河上リサ/30分/2023年/日本)を上映。映画祭実行委員会の中で、強く上映を推す者と、強く上映に反対する者の両方がいたため、上映後に監督へのカンパを募る上映形態に。
●特別企画:戦時下の性暴力としての、日木軍「慰安婦」問題(長編1作品+展示)
戦争が話題になる今、忘れてはいけない戦時の性暴力としての、日本軍「慰安婦」問題を考える特別企画。中国で空前の大ヒットを記録した『二十二』(監督 郭柯/99分/2017年/中国)を上映し、wamの「中学生のための『慰安婦』展」パネルが展示される。
■第16回関西クィア映画祭2023
[大阪]2023年9月15日(金)〜18日(月・祝)@すてっぷ(とよなか男女共同参画推進センター)
[京都]2023年9月22日(金)〜24日(日)@ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川
※23日(土)はオールナイト上映あり
https://kansai-qff.org
記事制作/newTOKYO