写真家レスリー・キーがアメリカ人英語教師と婚約! 運命を変えた出会いとこれから描く未来をロングインタビュー!!

婚約したレスリーキーとジョシュアのインタビュー

「ふたりでできることは絶対ひとりより多いし、幸せになれるんだってこと」

世界に愛と勇気と希望を与え続ける写真家のレスリー・キー。
今年5月にパートナーとの婚約をきっかけに、今までの人生観が大きく変わったと話す。

そんなレスリー(Leslie Kee)とパートナーのジョシュア(Joshua Vincent Ogg)に、ふたりの出会いからこれからの未来、そして日本に届けたい希望に満ちたメッセージを伺った。

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ゲイカップルのレスリーとパートナーのジョシュア
レスリー&ジョシュア宅からの眺め。お気に入りだというお揃いのユニコーンのTシャツでインタビュー。

恋の始まりは突然に。
レスリーとジョシュアの運命が動き出した日

ふたりの出会いは、今から2年前、レスリーが手がける「OUT IN JAPAN」の撮影がきっかけだった。ひとめ見た瞬間、心を奪われたのはレスリーの方だった。

レスリー:私たちが初めて出会ったのは2017年12月3日の広島で開催されたOUT IN JAPANの撮影会です。

ジョシュア:僕はアメリカの大学の卒業を控え、岡山の大学にインターンシップとして来日していました。撮影の直前くらいに撮影会のことを知って、岡山から広島に行ったんです。僕はレスリーのキャリアも、このプロジェクトのことも詳しくは知らなかった。ただ、日本の同性婚を応援したいと思って参加しました。

レスリー:その日の参加者は50名くらいで、撮影待ちで並んでいる人の列に目を向けたらジョシュアがいて、見た瞬間「オー・マイ・ゴット!笑顔が美しくて目が天使!」って緊張しました。まるでアメリカの人気俳優やモデルさんみたいで、人生初の一目惚れでした。映画やドラマみたいな体験が本当にあったんですよ! それが周りの人たちにも伝わったみたいで「OK、レスリーはこの人に時間かけたいのね」って、ジョシュアの撮影のときだけ位置直しをしたり、時間がかかるフリをしてくれて(笑)。

ジョシュア:そこで、撮影が終わったタイミングでレスリーから「連絡先を交換しよう」って言われて、そのときは彼の気持ちを知らなくて何気なくラインを交換しました。

レスリー:撮影後すぐに私は東京に戻るスケジュールだったので、ジョシュアに「一緒に東京に来ない?案内するよ」って連絡したんだけど、ジョシュアも岡山に帰らなくてはいけなかったんだ。

ジョシュア:そう、その9日後にはオハイオに帰って、あと1年間は大学に通わなくちゃいけなかったんだ。

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ゲイ当事者のレスリーキーとジョシュア
ふたりの婚約祝いにアメリカにいるいとこのBrandonとAmberとその子供たちが作ったギターを背に正座。

フェイスブックで交流はあったものの
進展のないまま流れゆく月日

ジョシュアのフェイスブックの投稿やコメントに心を動かされていくレスリー。しかし、そのリプライがいいねだけだったその理由とは…!?

レスリー:それからは直接会う機会はなかったんだ。ジョシュアは卒業までの約1年は大学に通うためにオハイオに戻らなくてはいけなかったし。でも、もっとジョシュアのことを知りたいと思ってフェイスブックでは繋がっていたんだ。

ジョシュア:おかげさまで、2018年12月で大学を卒業しました!

レスリー:私のフェイスブックで繋がってる友達の9割がクリエイターだから、私を含めてみんな仕事の話をメインにアップしていて、普段はプライベートのことをあまり話さないんだ。そのなかで、ジョシュアは家族のことを中心にアップしていて、それがとても羨ましく見えた。「もしこんな人になれたら最高だな、こんな家族がいてこんな風に人生を楽しく送れたら」って感動したり、感心したりしたのは事実です。

ジョシュア:レスリーもシンガポールに家族がいるけど、お父さんやお母さんがそばにいるわけじゃないもんね。

レスリー:離れている1年間、ジョシュアは私のフェイスブックにときどきコメントをくれたんだけど、私はそこに対して「いいね!」を返すだけで返信コメントをしないようにしていたんだ。本当はとても嬉しかったんだけど、どこかで「広島で会っただけだし、ジョシュアは私に特別な感情は持っていない」と思っていたからね。だから、気になるのにあえて素っ気なくしていたのかもしれない。

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ゲイ当事者の夫夫のレスリーキーとジョシュア
最近は自転車でお出かけすることが多いふたり。いつだってお揃いの格好が仲の良さをうかがえさせてくれる。

本当にやりたいことをしようと思ったとき
再び動き出した運命の歯車

孤独を抱えて迎えた静かなパリのホテルの明け方。ジョシュアから届いたメッセージがレスリーの心を大きく動かした。

レスリー:去年、愛犬のダニーが亡くなったタイミングで、「次は自分自身のことを考えるときなのかな?」と思ったんだ。具体的なアイデアがあったわけではないんだけど、「本当にやりたいことをやろう」とかずっと考えていたんだ。
今年に入って、1月にファッションデザイナー・山本耀司の仕事でパリに行ったんだ。仕事で疲れてホテルで寝ていた明け方。4時45分くらいだったかな。街は静かで凄く寒くて、そして孤独で隣には誰もいない。「新しい1年だな、今年は何をしよう」なんて思いながらフェイスブックを開いたんだ。
そしたら、僕が撮影した中国の歌手のジェイ・チャオに向けて載せた誕生日のお祝いに、ジョシュアがコメントを打っている最中だったんだ。一番最初のコメントだったし、何を書いてくれるのか嬉しくて…。
それをきっかけに、私の方から「ジョシュア元気?」って連絡して。2時間くらい喋ったあとに「君に一目惚れした」って伝えたんだ。そんなこと、初めて誰かに言ったよ(笑)。もし言ったら彼は笑ったりするんだろうなと思ったけど…。

ジョシュア:僕はちゃんとした返事ではなく、「僕もね」って流れで軽く返しました。レスリーは押しが強いからね(笑)。でもなんだかんだその日はトータル4時間くらい話してたんだよね!!

レスリー:もう1年も顔を見ていなかったから、その後FaceTimeでも話したね。話し始めたときには外は静かで暗かったけど、すっかり明るくなって窓から光が差していたんだ。「これから凄く良いことが起こる」ってワクワクする気分になるほど、外には美しい風景が広がっていたのを絶対忘れはしないよ。
それで、ふとインスピレーションが湧いて、テーブルにあった紙とハサミでジョシュアの頭文字の“J”の文字に切って見せたんだ。で、それから毎日、電話でジョシュアとコニュニケーションを取るようになったんだ。

ジョシュア:それから、レスリーはいろんなところで“J”の文字の紙を持ったり、指を“J”の形にした写真を僕に送ってくれたんだ。たぶん、100枚以上になってると思う。
でも実は大学に通っていた1年間、彼の投稿は見ていたけど、僕はレスリーに対して特別な感情は抱いてはいなかったんだ。僕は中国語を習っていたので、ジェイ・チャオの投稿とか中国人の友達の投稿を見て「ワォ、超クールだ」って思っていたけど、エキサイティングな環境にいるレスリーが僕に本気で好意を抱いてるって思えなかったんだ。

ゲイの夫夫のレスリーキーとジョシュア
大好きな渋谷をバックに記念撮影。いつだって笑顔でいられるのはお互いをリスペクトしているから♡

レスリー:本心だって全く気付いてなかったみたい。あんなにアプローチしたけど会ったのは12月の撮影のときだけだったしね。でも印象は強かったみたいで、だから「僕が本気で言ってると思うか遊びで言ってると思うかは君が決めていいよ」って伝えはしたんだ。

ジョシュア:僕は4年間ずっと彼氏がいなかったんだ。過去に3人と付き合ったこともあったけど、心折れるようなエピソードばかり。だからしばらくは愛について考えないようにしていたし、学生で勉強と仕事に集中しなきゃいけなくて就学が最優先だった。ただ、カレッジを卒業した後も仕事をしてお金を貯めていたんだ。日本で再び、英語を教える仕事をしたいと考えていたから。

レスリー:それを聞いたときは「ヤバい!チャンスが来る~!」って思った。「オーマイゴット!これは…可能性のある運命かも。可能性のある未来かも」って(笑)。それから毎日コミュニケーションを欠かさないようにした。ジョシュアの家族のこともたくさん聞いたり、彼はなんでも丁寧に教えてくれて。
それで、ジョシュアに会いたくなって、オハイオに行こうと思っていたんだけど、ちょうど、おじいさんが入院しているタイミングだったんだ。

ジョシュア:しばらくして、今年の2月におじいちゃんが癌で亡くなったんです。実は姉のアンドレアが癌で亡くなったのも10年前の2月だったので、僕にとってバレンタインデーは好きになれないシーズンだったんだ。

レスリー:私は会いに行く計画は延期して、ジョシュアにではなくおじいさんに宛てて葬儀の日に花を贈りました。

ジョシュア:すごく嬉しかった。なんかレスリーが来てくれているみたいで。

レスリー:でも、ジョシュアにもバレンタインギフトを贈りたかったから、その数日後には30本のバレンタインローズを贈りました(笑)。

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エッフェル塔の前でキス♡はじめてふたりで出かけたパリの思い出写真を大切に飾るふたり。

初めての旅行で深まるふたりの絆
ジョシュアの心が動かされたきっかけとは?

13ヶ月ぶりの再会とジョシュアの家族との交流。不安を抱えていたジョシュアはレスリーの優しさに触れて心が動いた。

レスリー:毎日、4~6時間くらい電話して、お互いに仕事の話、将来の夢、家族のこと、好きな音楽や映画、今日は何をしたとか、いろんな話をした。それでお互いのことを理解し、さらに彼と付き合いたい気持ちが強くなって、ようやく1年以上経って2月の終わりにジョシュアに会いに行けることになったんだ。

ジョシュア:僕は掛け持ちで仕事をしていたんだけど、職場の人たちの厚意もあって9日間の長期休みがもらえたんだ。

レスリー:最初の3泊はオハイオ。ジョシュアの家族と会って、おばのベッキーさんも癌で入院していたのでお見舞いに行ってね。

ジョシュア:僕はおじいちゃんっ子だったんだけどつい最近癌で亡くなって、おばも深刻な乳癌だったから家族も「もうダメかも」って思っていて。病院に行くのが怖かった…もういなくなってしまうのかなって…。

レスリー:家族が大変なときにジョシュアが好きで会いに行くのは私のわがままじゃないかな、とも思ったけれど、実際に会って私のことを好きになってくれたら、側できっと彼の支えになれるんじゃないかと思ったんだ。

ジョシュア:それから、レスリーがパリで仕事だったので僕を一緒に連れて行ってくれて、6日間を一緒に過ごしました。

レスリー:彼とパリに行ってヨウジヤマモトのショウを観てバックステージに連れて行ったりしたんだ。僕がどういう環境にいて何をやってるか、何に影響されているかを、電話口だけでなく、直接知ってほしかったんだ。

ジョシュア:そのとき、おじいちゃんのことやベッキーのことがあったから僕も家族もハッピーではなかった。レスリーとパリで初めて夜を共にして、毎晩たくさんベッドで話して、僕を真剣に考えてくれるレスリーに対して愛情が芽生えるようになったのを覚えているよ。

レスリー:で、初めてベッドを一緒にしたとき、「君と結婚したい」って言ったの(笑)。本気でね。それから一緒に過ごしている毎日、ずっと言いました。

ジョシュア:僕はそのときは「真剣なら僕のお母さんと話して」て答えたんだ(笑)。

レスリー:そうそう。それでジョシュアからはひとつの条件を言われたんだ。それは「お互い何年経っても愛し合い尊敬しあっていくこと。手を繋いで外の街でデートしたい。毎日キスしたい。毎日抱きしめたい。レスリーを守ってあげたい…」その条件を聞いたとき、涙が止まらなかったよ。生まれて初めて真面目に向き合った言葉を言われました。

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ゲイ当事者の夫夫のレスリーキーとジョシュア
写真集「SUPER FAMILY LOVE」/レスリーがジョシュアのために、アメリカの家族32名を撮り下ろした全52ページの作品集(非売品)

ジョシュアの家族を愛しその一員になったレスリー
彼が計画した壮大なプランとは?

家族の、そして母親の深い愛で繋がったジョシュアの一族。レスリーは彼らのためにハッピーな写真を撮ることを計画する。

レスリー:ジョシュアとの旅行から4週間ほど経った3月末に、ジョシュアのファミリーブックを作るために再びオハイオに行きました。僕の過去の作品にはハローキティが出ているんだけど、収益はアジアの薬が買えないお母さんのために寄付しているんだ。ハローキティは世界中の母の愛を意味しているキャラクターなんだ。それは、私は母親という存在を常にリスペクトしているっていう意味だからね。
ジョシュアのファミリーは女性が多くて、ジョシュアのお母さんはもちろん、お姉さんたちもみんな母親になっていたから、そんな母の日の為に何かしてあげたいと思いました。それに、いつどうなるのかわからないベッキーが元気なうちにハッピーな笑顔を写真に収めたかったっていうのもあって。

ジョシュア:僕のいとこのジェニファーのおじいさんが有名なフォトグラファーなんです。機材やライティングを手配してくれて、ジェニファーが撮影場所などを準備してくれました。撮影は実家の牧場で行いました。

レスリー:事前に、ジョシュアの家族と仲良くなっておく為に彼らの写真やアイデアを送ってもらったり、ビデオで仕事風景を見せてもらったりしてコミュニケーションを取っていたので、行ってすぐに撮影ができました。姉妹4人の写真や32人の家族の集合写真。実はジョシュアのファミリーの中には他にもゲイとレズビアンがいて、家族全体がオープンで、LGBTのサポートをしている素晴らしい一族なんだ!

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ベッドで寝る夫夫のレスリーキーとジョシュア
キスをするゲイ当事者のレスリーキーとジョシュア
今年の5月10日に婚約。婚約指輪は同性カップルを広告キャンペーンに起用したことでも知られるティファニー。写真集には、レスリーがジョシュアにあてたプロポーズの手紙が記されている。

3度目の渡米で運命のサプライズ・プロポーズ!
レスリー人生最大の大作戦!

ジョシュアの家族32人と友人が集まって行われた母の日のパーティー。サプライズプロポーズは家族みんながグルだった!?

レスリー:母の日とベッキーの為に、出来上がった本をスーツケースに詰め込んで、5月にオハイオに行きました。

ジョシュア:母の日のお祝いをメインに、5月に誕生日の僕とレスリー、甥のブランドンのお祝いを兼ねたパーティーをしたんです。家族だけじゃなくて友人も来ていたから総勢70人くらいいたよね!

レスリー:実は家族はみんな、私がこのパーティーでサプライズでプロポースすることを知っていて、その日の為に32人分のお揃いのTシャツまで作ったんだよ。

ジョシュア:パーティー中にブランドンに「タバコ買ってきて」って頼まれて、あまりに不自然だからハッとして。「オーマイゴッド!レスリーが僕にみんなの前でプロポーズする!」ってブランドンに言ったら、とぼけられたんだよ(笑)。それで、タバコを買って帰って来たらやっぱり真ん中に椅子があって座らされたからまた「オーマイゴッド!」って…。それからスペシャルプレゼンテーションがあって、音楽が流れてふたりの思い出写真やビデオが映し出されて…。

レスリー:私が手紙をナレーションで読みながらビデオを見せて、真ん中にジョシュアが座ってみんなで観たんだ。

ジョシュア:すげー恥ずかしかった!なんで僕たちの旅行をみんなで観なきゃいけないんだって(笑)。パーティー中、ずっと「ひとりだけ知らない女性がいるけどあれ誰だろう」って思ってたら雇われたピアニストで、ビデオが終わったらその女性がオルガンで演奏を始めてビックリだよ!!

レスリー:彼女がオルガンを弾き始めて私が歌ったの… ホイットニー・ヒューストン の「Greatest Love Of All」♬

ジョシュア:レスリーの歌に僕がビックリしているうちに、みんながこっそりTシャツに着替えていて。歌い終わったレスリーが僕にティファニーのペアリングを差し出して「Will you marry me?」って。

レスリー:ジョシュアは家族の前で「Yes, I will」って答えてくれたんだ。

ジョシュア:みんなハグして泣いていて、かなり恥ずかしいシチュエーションだったかも。でも凄く感動したんだ。心がピュアで素直で前向き、何よりも僕のことを本気で愛してくれるレスリーに出会えたことに嬉しい気持ちでいっぱいになったんだ。

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ファッション誌「VOGUE」でモデルを務めるジョシュア。レスリーは彼のモデルとしての輝きにも惹かれた。

愛してるからこその婚約期間
結婚式は一度じゃなくても良い!?

家族みんなに祝福されたふたりの婚約。これから行う結婚式のプランは壮大なものに!?

ジョシュア:お母さんはレスリーに僕について凄い嘘をついたんだよ。「私の息子を愛してくれるならプロポーズをしなさい。でも私の息子はヤバい奴かもしれないから最低1年は一緒に住んで確かめなさい」ってね(笑)。

レスリー:うん、プロポーズはしたけど今は婚約期間。私は48歳でジョシュアは31歳だから、デートをする関係だけではなく、次の大きなステップに進む準備をしているんだ。
実際に挙式をあげるのは来年の12月を予定しているよ。クリスマスシーズンなのでジョシュアのファミリーや友達を合わせて50人くらいでバスを借りて、観光も兼ねて3日間ニューヨークでってプランかな。

ジョシュア:でも、オハイオのゲイフレンドリーな教会もいいよね。ニューヨークだけじゃなく、オハイオも同性婚OKだから!

レスリー:アメリカでの結婚式の前に京都のお寺で結婚式もしたいんだ。すでにお寺に許可をもらっていて、来年のオリンピックにはジョシュアのお母さんも日本に来るから、7月にそのお寺で初めての同性結婚式を挙げたいと思っている。これは形だけの結婚式だけど、日本に住むふたりの思い出になるし、それだけじゃなく、日本のLGBTのみんながもっとオープンに挙式をあげられるようになってくれたらと思って。

ジョシュア:僕は9月から1年間、英語を教えるために日本語をしっかり勉強します。その間に渋谷区の住民票を取って、まずはパートナーシップを登録しようと思っています。

レスリー:それと、私にはもうひとつ、大きな夢があります。2021年に50歳になるので、思い出に残ることをしたいと考えていて、それが私たちを含めた100組のLGBTカップルを集めて社会全体で行う共同ウエディングパーティーみたいなもの。大きな会場を借りて、LGBTをサポートしているアーティストのコンサートがあって、世界中のセレブの参列もあって、その収益はAIDS基金やお金が必要なゲイのお年寄りに寄付をしたり。
私ができる日本への貢献ってこういうことしかアイデア湧かないんだけど、私のやり方で少しでも社会が変わっていってくれたら嬉しいですね。

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セクシュアルマイノリティのカミングアウトプロジェクト 「OUT IN JAPAN」に自らカップルで参加。
LGBTカップルの可視化に繋がればと、今年2月からは毎日の日常生活と旅行日記をインスタグラム投稿。

写真家レスリー・キーではなく
ひとりの人間として伝えていきたいこととは。

一目惚れしてからお互いを知り愛を育み、プロポーズ。これまでの時間を経て、新しい自分としてレスリーが伝えたいこととは。

レスリー:最初はジョシュアが単純にイケメンだったからルックスから好きになった。でも彼を知るうちに家族の大切さ、愛、様々なことを教えられて、学ぶことができたと思っている。彼の家族を愛するようになったし、その愛を私も表現したいと思っている。お互いの過去は変えられないけど、これからの未来は一緒に作っていくことはできると思うんだ。
そう、ジョシュアと出会って、彼の家族と触れ合い、私の世界観が変わったのは言うまでもないこと。
彼の家族を撮影した「SUPER FAMILY LOVE」を作ったことで、今までの私の作品を比べると今はとてもシンプルになったと自分でも思う。飾らなくて良いフィルターがあることを教えてくれたんだ。
そして、ふたりでできることは絶対ひとりより多いし、幸せになれるんだってことにも気づかされたんだよ。
だから、これまでの私はプライベートをインスタグラムに載せることはしてこなかったけど、これからはもっと自分自身のことを世界中の人に知ってほしいと思っているんだ!

ジョシュア:僕はレスリーが有名な人だから心動かされたわけじゃないんだ。彼の一途な愛と真っ直ぐに物事に向かう姿勢・夢を忘れない心が魅力的だと思えたんだ。僕はずっと隣でレスリーをインスパイアし続けられたらと思ってるよ。

レスリー:今回のインタビューは「写真家レスリー・キー」としてではなく、家族に祝福されて結婚したひとりの男の人生の話なんです。ジョシュアは僕をフォトグラファーだということで優劣をつけなかったし、人と人で関係性を築いてくれました。それがどれほど大切で素晴らしいことか、彼は常に私に教えてくれるのです。

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インタビュー最後に愛情たっぷりのハグとキス。このふたりが届ける愛の物語はまだはじまったばかり。

自分たちが幸せになることで、誰かの生きる力や希望、勇気を与えるきっかけになれたら嬉しいと話すふたり。

「お互いの過去は変えられないけど、これからの未来は一緒に作っていくことはできると思うんだ」
お互いが今いるのは、それぞれの過去があったから。その過去は変えることはできない。だが、その過去があったからこそ、今の彼がいる。だからお互いの過去を尊重し、新しい一歩をふたりで描けば良い。

そう彼らは最後に、これから生まれようとするたくさんの愛の形にメッセージを届けてくれた。

世界に輝きを散りばめるふたりの旅はまだ始まったばかり。これからどんなサプライズを仕掛けてくれるのか、見守っていきたいと願うーー。

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初めてのニューヨーク旅行中にスタジオで撮影したカップルファッションポートレート。仲むつまじいふたりの笑顔がとてもやさしく写っている。

今回のふたりのインタビューがNHK WORLD-JAPANでも放送!ぜひチェックしてみてください!!

NHK WORLD-JAPAN
2019年10月8日(火)~9日(水)にかけて4回放送

貧困・人種・セクシュアリティ…いくえものマイノリティーを抱えながらも、アジアを代表する写真家となったレスリー・キー。1枚のポートレートで、マイノリティーに対する社会の偏見をなくす活動を続けるレスリーの思いを聞きます。

・8日…16:15 – 16:30 / 20:40 – 20:55
・9日…1:15 – 1:30 / 5:15 – 5:30
※放送後番組HPで全編公開されます。

https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/tv/directtalk/20191008/2058550/

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レスリー・キー / Leslie Kee
シンガポール出身の世界的写真家。東京ビジュアルアーツ写真学科卒業。浜崎あゆみやレディー・ガガ、松任谷由実、安室奈美恵など多数の芸能人を撮影したことなどで知られる写真家で、アート、ファッション、ドキュメンタリー、広告、CDジャケット、PV映像監督などの撮影を中心に日本・ニューヨーク・アジア圏で活躍。

ジョシュア・ビンセント・オグ / Joshua Vincent Ogg
1988年生まれ、アメリカ・オハイオ州出身。日本でのインターンシップを経験後、2018年にアメリカの大学を卒業。現在は日本で日本語を学びながら英語講師として勤務する傍ら、アート・ファッションモデルとしても活躍。

Joshua & Leslie Instagram @ joshualeslieoggkee
Leslie Kee Instagram @ lesliekeesuper
Joshua Ogg Instagram @ momo_vincento

インタビュー・編集 / 村上ひろし(newTOKYO)
記事編集・構成 / みさおはるき
英語翻訳 / 田中幹也 KANYA TANAKA
写真 / EISUKE