任意団体「プライドハウス東京」コンソーシアムは、日本のLGBTQコミュニティによる活動や文化の記録を収集・保存し、国内外に向けて広くシェアするプロジェクト『LGBTQコミュニティ・アーカイブ』を立ち上げた。今後、LGBTQ関連の分野で活躍されてきた研究者、専門家、活動家の方々、そしてアライも含めたコミュニティの方々との、様々な形での協働を視野に入れたアーカイブ運営を検討しているとのこと。
書籍、雑誌、学術論文、記録資料、パンフレット、フライヤー、写真資料、映像資料、音声資料、絵画等の作品資料、記念物等(衣装など)だけでなく、個人の「語り」などもアーカイブの対象にしていく予定。
これまで様々な形で歴史を紡ぎ、文化を築いてきた日本のLGBTQコミュニティ。それらに関する資料は、個々の当事者や活動団体、研究者や専門家によって積み上げられてきたが、LGBTQ全体を見通す形での、横断的・恒常的なアーカイブや一般の方が気軽にアクセスできる形でのアーカイブは、日本においてはまだ整備されていないのが現状。
そのような背景のなか、国家の歴史や公的なアーカイブなどといったマジョリティ主体のものから、無視され、誤解され、周縁化されてしまう可能性の高いマイノリティ・グループの歴史、さらに形として残っていない、見えにくく置き去りにされてきた活動や文化について、収集・記録・保存・イベント実施等を積極的に行い、量だけではなく質を高め紡いでいくことを視野に入れているとのこと。
<参考>オーストリアの首都ウィーンにあるクィア歴史センター(Zentrum für queere Geschichte )『QWIEN』には、LGBTQ関連の歴史・文化資料が集められ、来訪者は閲覧できるようになっている。
新型コロナウイルスの世界的流行により、様々なイベントやバー文化など、LGBTQコミュニティがこれまで培ってきた活動や街の姿が、劇的に変わってしまう現実。「コロナ断捨離」によって関連資料のさらなる散逸が懸念される状況の今。さらに、戦後のLGBTQコミュニティの形成史を間近で見てきた当事者の方々がいよいよ高齢化している現在。貴重な文化と歴史を未来へとつないでいくコミュニティ・アーカイブの整備は喫緊の課題となりそうだ。
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■ LGBTQコミュニティ・アーカイブプロジェクト
プライドハウス東京「文化・歴史・アーカイブ」チームによる、「コミュニティ・アーカイブ」(コミュニティ当事者自らが、その地域やコミュニティの出来事や歴史を記録し、アーカイブとして継承しようとする活動)という考え方に基づいたプロジェクト。
※LGBTQコミュニティの方々との協働を目指す呼びかけのために、まずはクラウドファンディングでプロジェクトページを公開し、多様な方々からの応援メッセージを更新していく。
■ 参照記事(プライドハウス東京)