電通グループが2023年6月に全国20~59歳の計57,500人を対象として、LGBTを含む性的マイノリティーに関するインターネット調査を実施。その結果、LGBTQ+層の割合は9.7%という結果を公表した。
この調査は、2012年、2015年、2018年、2020年と4回にわたり、性自認や性的指向に関わらず、誰もが生きやすい社会づくりに向けて、LGBTQ+をめぐる現状の把握・課題発見を目的とした「LGBTQ+調査」として実施されてきたもの。そして今回の2023年の調査では、LGBTQ+当事者層の意識や経験に加え、LGBTQ+非当事者層(異性愛者であり、生まれた時に割り当てられた性と性自認が一致する)の意識や知識、行動についても詳細な分析を行ったという。
LGBTQ+調査では、性のあり方を「性自認」、「生まれた時に割り当てられた性」、「性的指向(恋愛・性愛感情を抱く相手の性)」の3つの組み合せで分類。
その結果、57,500人を対象としたスクリーニング調査の全回答者に占めるLGBTQ+層の割合は9.7%と2020年調査の8.9%から微増となった。LGBTQ+に関する情報の増加により、自分自身の性自認や性的指向への気づきが進展したことが増加の要因の一つであると推測される。しかし、匿名のアンケートであっても性自認や性的指向を表明することが難しい回答者もいることや、ジェンダーやセクシュアリティの認識は個々人の中でも流動的なことを鑑みつつ、今後もスコアの動向を注視してくべきだと言える。
回答者のうちLGBTQ+など性的マイノリティーの子どもを持つ親を対象に、「性的マイノリティーとしての困難はあるかもしれないが、子どもの人生を精一杯応援してあげたいと思う」かどうか聞いた質問では、「そう思う」もしくは「ややそう思う」と答えた回答者を合わせると、67.4%となった。
また、「自分の住んでいる地域では、性的マイノリティーの家族がいる家庭は暮らしにくいと感じる」と答えた人は56.5%となり、LGBTQ+の子を持つ親が地域での生活において不便を感じたり、課題に直面している可能性を示唆する結果となった。
自分が住んでいる「地域が住みやすいと感じるか」について尋ねたところ、性的マイノリティーのカップルを結婚に相当する関係とする証明書を自治体が発行する「パートナーシップ制度」のある自治体に住む当事者層の方が、制度のない自治体に住む当事者層よりも、住みやすさを感じていることが明らかになった。
一方で、パートナーシップ制度の認知にはまだ低く、パートナーシップ制度のある自治体に住む回答者のうち68.5%(当事者層58.4%、非当事者層69.4%)が制度の存在を知らないという結果になった。もちろん導入されてからの期間が短い自治体も多く含まれるという事情は考慮すべきではあるが、パートナーシップ制度のある自治体では住民や企業などでの理解促進も期待されるため、周知が望まれる。
今回の調査の詳細は『電通グループ/LGBTQ+調査2023』にて公開。
またデジタルブック『実はずっと聞いてみたかったこと』では、「カミングアウト」「コミュニケーション」「生活・暮らし」「恋愛」の4つのテーマから当事者層と非当事者層の意識をデータで可視化。双方の対話のきっかけとなり、LGBTQ+当事者が安心して自分らしく生活できる環境づくりの一助となることを目指している。
■電通グループ/LGBTQ+調査2023
https://www.group.dentsu.com/jp/news/release/001046.html
記事制作/newTOKYO