HIVの感染予防薬で知られるPrEPをはじめ、クラミジア・淋病・梅毒・HIV/エイズなどの性病検査・診察を行う、性感染症内科クリニック『プライベートケアクリニック東京』(東京院/新宿院)。
新宿二丁目に直結する「新宿三丁目駅」に、イメージモデルを務めるGOGO SASUKEさんを起用したサインボードを掲出したことでも認知は広がり、LGBTQ+向けの啓発メッセージにも力を注ぐ。
今月、東京・代々木で開催される“性”と“生”の多様性を祝福するイベント「東京レインボープライド2024(TRP)」では、4月19日〜21日のプライドフェスティバルへのブース出展も決定した。
今回はそんなクリニックが、性の問題に真摯に取り組み、ジェンダーに限らず一人ひとりの性の悩みに寄り添う姿勢について、GOGO SASUKEさんが新宿院に新しくできた4Fフロアで、小堀善友院長に話をうかがった。
ーーPrEPの知識。医療機関での適切な処方を推奨する理由。
ーー僕もPrEPを服用しているのですが、なぜ個人輸入ではなく、医療機関での処方が望ましいのですか?
昨年、国内のHIV感染者が7年ぶりに増加に転じ、同性間の性行為による感染が66%を占めました。コロナ後で検査数が戻ってきたことが増加の背景にありますが、いずれにしろ、定期的な検査や予防が大切なのは言うまでもありません。
最近ではPrEPを耳にすることが増えたかと思います。
性行為でのHIV感染リスクを99%下げてくれる薬ではあるのですが、「適切な方法で服用」することが大前提になります。当院では、HIV・B型肝炎・腎機能の事前検査を行なった上で、品質の保証が確認できたPrEPのみを処方しています。
ガイドラインに沿った診療が必要なのは、HIVの感染に気づかないままPrEPを服用し続けると、HIVの薬が効きづらくなってしまう恐れがあるためです。また、安価であるというだけで個人輸入をした場合、偽造品を買ってしまい、予防のために服用しているにも関わらず、健康を損なうことにも繋がりかねません。
非常に有効で副作用も少ない=あんしん・あんぜんなセックスに繋がるのがPrEP。だからこそ、大切な人や自分自身を守る選択肢のひとつとして、医療機関での適切なPrEP処方を推奨しております。
ーー正直、「PrEPを服用しているから、生でやろう」という人もいます。コンドームの使用も必要不可欠であったり、定期的な検診が必要な理由はなんですか?
PrEPはあくまでHIVの感染予防薬です。他の性感染症は防ぐことができませんし、相手が「適切な方法で服用」していなければ、薬が効いているのかは誰にもわかりませんよね。ですから、コンドームの使用は今まで通り必要不可欠なんです。
また、PrEPを服用したらHIVに感染しない=検査に行く手間が省けることでもありません。定期的な検査はセックスをする人なら誰にでも必要なのです。PrEPを服用開始1ヵ月後、その後3ヵ月おきにHIV検査をし、ごく稀に副作用で腎機能に問題が生じる場合があるため、腎機能検査は12ヵ月おきに検査します(腎機能の程度や年齢により推奨される検査の頻度は異なります) 。
よりよいセックスコミュニケーションを楽しみ、健康的な生活を送るためにも、「性の健康管理」を大切にしていきましょう。
ーーPrEPやSTI検査は、自分の性と向き合う・他者の性を尊重する、エチケット
ーープライベートケアクリニック東京が掲げる「一人ひとりの悩みに寄り添う」診療を具体的に教えてください。
当院はPrEPだけでなく、他の性感染症(STI)やワクチン予防も行っており、男性の勃起障害や早漏の治療も受けられます。プライベートな部分に踏み込んだ診療をするため、スタッフ全員が性の健康カウンセラーのセミナー受講と資格を得て、患者さん一人ひとりに寄り添う姿勢で取り組んでいます。
また、全国どこからでもご利用いただけるオンライン診療もできます。お近くの地域にPrEP診療がない場合や来院するのに抵抗がある方にご活用いただけますし、オンラインでも事前検査をさせていただいております。アフターフォローもしっかり対応し、ラインや電話、対面診療など、ご自身のライフスタイルにあわせてご利用いただけます。
とくにLGBTQ+当事者の方にあんしんして受診いただきたいポイントなのが、国立国際医療研究センターのエイズ治療・研究開発センター(ACC)や感染症内科(DCC)の医師、性感染症の専門医が対応いたしますので、セクシュアリティを気にすることなく、気軽にご来院いただけるところかと思います。
ーー今回は新宿駅からすぐでアクセス良好な新宿院に初来院しました。心地よい空間で通いやすそうですね!
有益な性感染症(STI)の医療情報はたくさんありますが、それを必要とする方々にいかに伝えていくかという課題があります。変化していく多様な社会の中で、どんな人も気持ちよく受診でき、「STI検査は恥ずかしい」という古い概念を脱ぎ去るタイミングであると感じています。
そこで、「伝える」と「没入」というテーマで、待合室は各席ごとに仕切りとモニターを設け、有益なSTI情報をお届けできる空間設計にしてあります。来院された患者さんの不安を取り除き、気兼ねなく「自分自身の健康と向き合えることに、心地よい」と感じてもらえたら、私たちはとても嬉しいです。
そして、STIは誰にも関わることであり、検査はエチケットです。自分の性に向き合う・他者の性を尊重することは大切なこと、決して恥ずかしいことではありません。私たちは、これからもより専門性を高めた医療と、患者さまに寄り添った医療のご提供に努めていきます。
ーー「誰でも、いつでも、どんなジェンダーにも」伝えたい想いを乗せて
ーー昨年初めて「東京レインボープライド2023」に協賛&ブースを出展しましたが、今年はどんなメッセージを発信するのでしょうか?
今年は4月19日〜21日の3日間、代々木公園にブースを出展し、「Anyone Anytime Anygender(誰でも、いつでも、どんなジェンダーにも)」をテーマに掲げ、PrEPや有益なSTI医療情報など、性の健康管理をより身近に感じてもらえる企画を届けたいと思っています。
そのひとつに、様々なジェンダーの方々の写真パネルの展示と「私の考えるジェンダー」に対するコメントの掲示をいたします。十人十色、いく通りもの考え方があること、性はグラデーションであるメッセージをぜひ受け取ってみてください。
ちなみに、人気ゴーゴーボーイやドラァグクイーンさんがブースを彩り、“映える”フォトスペースとしても楽しめるようになっています。モデルたちと一緒に写真を撮ることもできますので、記念写真を一緒に撮ってみてください。漫画家/イラストレーターの児雷也さんによる特大パネルは必見です!
パレードやイベントを楽しみながら、「プライベートケアクリニック東京」ブースで、ぜひ健康のことを考えていただくきっかけとしても足を運んでいただけたら幸いです。
■プライベートケアクリニック東京 (東京院・新宿院)
2024年4月19日〜21日/東京レインボープライド2024(プライドフェスティバル)にブース出展
https://pcct.jp
※インタビューは、「プライベートケアクリニック東京」のPrEP・STI診療に沿って記載しております。一部他施設とは異なりますのでご注意ください。
取材協力/プライベートケアクリニック東京 新宿院
撮影/新井雄大
記事制作/newTOKYO