晴天のもと響き渡った16,000人の「HAPPY PRIDE!」。今年で10回目を迎えた「九州レインボープライド」をレポート

今年で10回目を迎える九州レインボープライド(QRP)に行ってきた。あいにく、開催を予定していた1日目は大雨の影響で中止になったが、2日目は晴天に恵まれた。

公式のレポートによると、参加者数は16,000人。会場では「HAPPY PRIDE!」と祝福の声が響き渡り、活気のある凝縮した1日となった。そんな虹色に染まった九州レインボープライドの様子をレポートする。

参加者16,000人、企業や団体によって60ブースもの出展があった
九州レインボープライド2024

会場に向かう途中、陽気な音楽が聞こえてきた。音に導かれるようにして開催地の冷泉公園に到着すると、そこにはハレの場でクールにドレスアップした人、レインボーカラーのグッズを身につけた人、ペットやパートナーと一緒に来た人など、たくさんの来場者で賑わっていた。

ステージ上では、ノンバイナリーを公表したシンガーソングライターの響子-hibiko-やQRPテーマソングを歌ったthe soul、ゲイアイドルサークルの虹色ファイツ、ドラァグクイーンのフェアリーなど、福岡のLGBTQ+コミュニティで活躍するアーティストたちが登場。QRP開催中は、常にステージ上でのパフォーマンスやトークショーが繰り広げられ、お客さんが絶えず足を運んでいた。

MarriageForAllJapanブース

QRPが開催された約1ヶ月後の12月13日、福岡高裁が同性婚を認めないのは憲法13条に違反するとした、初の判決が出たとのニュースを目にした人はいるのではないだろうか。この判決に至るまでにも声を上げ続けた「MarriageForAllJapan」。

QRPにもブースを出展しており、国会議員宛にハガキを書くコーナー、戸籍上同性であるため法律上の結婚ができないLGBTQ+カップルの想いを乗せた「私たちだって“いいふうふ”になりたい展」が展開されていた。

PIAMYブース

レズビアン・セクマイの出会いを育てるアプリ「PIAMY」では、当事者同士が交流できるオフ会スペース兼休憩所を設置。オフ会スペースは外からは見えないよう、テントで覆われているため、プライバシーが確保されている点も安心できる。九州各地の当事者が足を運び、安心空間で楽しく話をする中で「なかなか当事者と出会うきっかけがない」と地方ならではの課題を口にする人も。

Aro/Ace休憩所ブース

Aro/Aceとは、アロマティック・アセクシュアルスペクトラムのことを指し、他者に恋愛的もしくは(かつ)性的な感情を抱かない、あるいは滅多に抱くことがないセクシュアリティ 。日本におけるアロマンティックもしくはアセクシュアルの数は約1%弱といわれており、日常で当事者に出会うことは難しいのではないだろうか。

Aro/Ace休憩所ブースに置かれた書籍

そんな中、Aro/Ace休憩所のようなAro/Aceコミュニティの居場所づくりを行う団体がいることは心強い。ブースには、Aro/Aceについての関連書籍がいくつか置かれており、当事者・非当事者に関わらず、気軽にAro/Aceについて知る間口を広げてくれているようだ。

筑紫女学園大学のみなさん

午後に行われた毎年恒例のプライドパレードには、5グループ1,200人が参加したという。なかでも筑紫女学園大学は2019年にダイバーシティ推進宣言を発表したとのことで、パレードを一緒に歩くことに。ホームページには建学の精神としている仏陀の教えと、それに基づく多様性を包括する社会の実現について触れているのが大変興味深い。

九州レインボープライド2024 パレードの様子

フロートを先頭にブラスバンドの奏でる音とともに「ハッピープライド!」という言葉を発し、沿道にいる人たちが手を振り返してくれた。かつて蔑称として使われていた「クィア」という言葉を取り戻すため、「We are here. We are queer.(私たちはここにいる。私たちはクィアだ)」と当事者たちが言って回っていた話を思い出す。パレードに参加すること自体、紛れもなく「私たちはここにいる」というメッセージを発信しているのだと気づいた瞬間だった。

九州レインボープライド2024 パレードの様子

福岡に本店を構える「一蘭」では、12階建てのビルいっぱいに「WELCOME! KYUSYU RAINBOW PRIDE」と書かれた横断幕が。さらに、LGBTQ+を象徴するレインボーフラッグに加え、トランスフラッグも掲げられていた。沿道から「あと少し!がんばれ〜」と声をかけてくれた人、手を振ってくれた家族連れなどもいて、確実に私たちの声が届いていることを実感。冷泉公園に戻ると、たくさんの人たちが列をなして出迎えてくれた。その一人ひとりとハイタッチをして、達成感で胸がいっぱいになった。

九州レインボープライド2024 パレードの様子

LGBTQ+であるがゆえに直面する悲しい出来事もあるが、QRPに参加し一人じゃないことを実感できたことは、未来への希望につながった気がする。QRPのスローガン「みんなで彩る あなたの未来」とあるように、みんなで声を上げることで、未来は変わるのかもしれない。

取材・文/Honoka Yamasaki
画像/九州レインボープライド
記事制作/newTOKYO

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