性トーク〜聞きにくいことは小堀先生に聞けばイイ!〜 vol.12「約100種類あるHPV(ヒトパピローマウイルス)。ワクチンでどれほど予防できる?」#プライベートケアクリニック東京

恋愛や性交渉のことはいくらでも友達と話せるけど、プライベートゾーンに関係する性病や性機能となると、なかなか腹を割って話せる人って少なくない? MSM(男性間性交渉者) の場合、調べても中々求める答えに辿り着けない…ってこともあるし。

この連載では、プライベートケアクリニック東京 東京院 院長 小堀善友先生監修のもと、人に聞いてもパッと答えが分からないメンズの性のお悩みにフォーカス。第12回目はゴーゴーボーイのYuhiくんと一緒に「約100種類あるHPVは、ワクチンでどれほど予防できる?」という疑問から、アレコレ掘り下げる。

ーー性感染症の中で最も一般的と言われているHPVは、どんな病気の原因になる?

「女性はHPVワクチンの予防接種を受けましょう」みたいな啓発を見聞きしますけど、そもそもHPVってどんな悪さをするウイルスなんですか?

簡単に言うと「イボ」をつくるウイルスですね。普通に体にできるイボや、性器にできる尖圭コンジローマを引き起こす低リスク型と、女性の子宮頸がんや男性の陰茎がん、肛門がん、中咽頭がんの原因となる高リスク型に大きく分けられます。

型によって感染症を引き起こす病状やリスクが異なるんですね。というか、女性だけじゃなくて男性も気をつけないといけないウイルスだと思いました。

Yuhiさんの言う通り、HPVは性別関わらず性交渉によって生じる細かな粘膜の傷から感染します。そのため尿道や肛門、咽頭も感染する可能性があります。男性の感染経路としては肛門や口内を用いた性交渉、そして性器の皮膚部分同士による接触が挙げられます。

接触しただけでも感染するんですね! ちなみに低リスク型が引き起こす尖圭コンジローマって、どんな病気ですか?

陰茎にたくさんのイボができる病気です。痛みは伴わないものの、見栄えも悪く他者に感染させる恐れがあるため治療が必要です。コンジローマの主な治療法は塗り薬(ベセルナクリーム)や、液体窒素による凍結療法、電気メスやレーザーによる焼灼術となります。

なんか聞いてるだけでも、股間がヒリヒリしてくる治療法ですね…。

数や部位、大きさなどによって治療法は異なります。ただ、治療を行ったとしても皮膚にウイルスが残っている場合、再発する可能性があるので注意しましょう。

ーー話は戻って、HPVワクチンについて。もしも予防接種を受けたら、どれほどの効果があるの?

HPVについてさらっと調べたとき、HPVの型は約100種類あると書かれていたのですが、ワクチンで予防できるのは何種類ほどなのでしょう?

男性に打つことができるHPVワクチンは、4種類のHPVを予防できるガーダシルという薬です。4種類と聞くと少ないと思われるかもしれませんが、HPVによる病気を7割予防できると考えられています。

それだけの効果が期待できるなら、ワクチンでの予防を真剣に考える人も多いと思うのですが…お金の面や効果の持続性についてもお聞きしたいです!

半年間に3回接種する必要があり、当院では1回17,000円(税込18,700円)となっています。また予防効果については、とあるモデルのシミュレーションによると、20~30年間に渡る抗体価の持続が推定されており、3回接種すればほぼ一生効果が続くと考えられます。

そんなに予防効果が持続するとは思ってなかったです! 

特に男性の罹患数が多い中咽頭がんにHPVが関わっていると言われているので、男性にとってもHPVワクチンの接種は重要なのです。 ちなみにアメリカやオーストラリアでは男性も公費でワクチンの接種ができますが、日本では保険適用外となっている現状があります。

そういった背景があるから、どうしても金額が高くなってしまうのですね…。今回もいろいろと勉強になりました!

金額に関しては様々な考えがあると思いますが、個人的にはがんやコンジローマに対する長期的な予防に繋がると思えば、決して高くはないと考えています。また、特に大きな副作用はなく、なにより私もHPVワクチンを接種しているうちの一人です! そのほか、HPVやワクチンについて少しでも気になることがあれば、プライベートケアクリニック東京へお越しください!

#13は2月下旬更新予定!

■性トーク
プライベートケアクリニック東京 東京院 院長 小堀善友医師監修のもと、「人に聞きにくい」「調べてもパッとしない」メンズの性のお悩みにフォーカスする月2回更新の連載企画。4回ごとに異なるモデルを迎え、トークルーム風にアレコレ掘り下げていく。

■プライベートケアクリニック東京 (東京院・新宿院)
性感染症の適切な診断・治療を行うクリニック。皆さまを温かくお迎えし、PrEP/PEP・性感染症(性病)の適切な診断・治療を行います。女性・男性・LGBTQ+の方・パートナー同士でも受診することが可能です。
https://pcct.jp/

■小堀善友 医師
プライベートケアクリニック東京東京院院長。2001年、金沢大学医学部卒業。金沢大学泌尿器科、米・イリノイ大学シカゴ校泌尿器科、獨協医科大学埼玉医療センター泌尿器科准教授を経て、2021年より現職。日本泌尿器科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、日本性機能学会専門医、日本性感染症学会認定医、日本性科学会セックス・セラピスト。著書に『オトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)、『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)、『今日の診断指針第8版「男子性発育の異常」』(医学書院)など。

モデル/Yuhi
写真/JOE
デザイン/鈴木美結
企画・編集/芳賀たかし
記事制作/newTOKYO
タイアップ・監修/プライベートケアクリニック東京

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