世界的に大ヒットした伝説的ドラマ『Lの世界』待望の続編がオンライン動画配信サービスHuluにて8月28日より配信スタート。前作シリーズも8月1日から配信するのでおさらいもできちゃいます。
今作では、前作の10年後を描き、トランスジェンダー男性で性的指向はゲイというアジア系の新キャラクターも登場。さらに多様性や新たな価値観を提示するドラマになっているので、レズビアン当事者はもちろん、ゲイやストレートの人にも楽しめる名作をこの機会にぜひ!
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皆さんは、2004年から2009年にかけて全6シーズン(全70話)が制作され、アメリカのロサンゼルスで暮らすレズビアンたちの日常を描き、世界中で大ヒットしたアメリカのテレビドラマ 『Lの世界』をご存じでしょうか。日本では当時地上波放映がなく、海外ドラマは主にレンタルDVDというのが一般的だったので、レズビアン当事者の方々には話題になっていたものの、ゲイの方々は観たことがない人が多いかもしれません。
スタイリッシュな映像や音楽に加え、純粋なレズビアンを「金の卵」、相手がレズビアンかどうかを確かめる「シェーン・テスト」、相手が同性愛者かどうかを見抜く直観力「ゲイダー」、仲間内の肉体関係を相関化した「チャート」など、ドラマ内に登場したゲームや用語もブームに。また、主要脚本家の10人中9人がレズビアンということもあり、カミングアウトや同性婚、養子縁組、性転換、乳がんなど、ドラマ内で描かれるエピソードの大半は実話を基にしているのが最大の特徴。
当時は今ほど世間一般が同性愛を受け入れているとは言えない状況ながら、様々なドラマに「善意の偏見」で描かれる同性愛者が登場するようになった時期。『セックス・アンド・ザ・シティ』のスタンフォードや『アグリー・ベティ』のマークのようなオシャレでモテない毒舌のオネエだったり、男言葉で粗野な態度の中性的なパンクファッションのレズビアンだったり。
実は 『Lの世界』より先行して、1999年にイギリスで放映されたゲイを描いたドラマ『クィア・アズ・フォーク』が大ヒットし、2000年から2005年までアメリカのトロントを舞台にしたリブート版が制作され世界的にヒットしている(日本未上陸)。こちらも制作や出演者にゲイ当事者を多く起用し、友情と恋愛、セックス、性病、差別、売春、政治や宗教など、当時のゲイの社会問題を取り扱ったものだが、取り込んだテーマが多すぎたことと、実際には身近に存在するオネエなどを排除することで若干リアリティという点では共感しにくかった印象がある。
『Lの世界』は『クィア・アズ・フォーク』よりテーマを絞り、同性愛に対する「善意の偏見」を否定せず取り入れ、その上で情報を正しく更新し、新たな価値観とリアルを一般に伝えることに成功したドラマだったと思う。
さて、その「Lの世界」の続編がいよいよ、日本に上陸する。ロサンゼルスのウェスト・ハリウッドからシルバーレイクに舞台を移し、前シリーズから10年経った主要キャラクターのその後と共に、新世代の日常がメインに描かれる。難しいことはさておき、キュンキュンしたり共感できたりするドラマなので、あまり考えずに観ても楽しめちゃいます! 今年に入って、アメリカでは政治的な理由で同性愛者や人種を取り巻く環境が揺れ動いていますが、シーズン2の制作も決定している『Lの世界 ジェネレーションQ』の世界をぜひ、体験してください。
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■ドラマ:Lの世界 ジェネレーションQ
8月28日(金)よりHuluにて独占配信/毎週1話ずつ追加(字・吹)/全8話
※前作は8月1日(土)より全話配信/全6シーズン(全70話)
©2019 “The L Word:Generation Q” Showtime Networks Inc. All Rights Reserved.
■ https://www.hulu.jp
記事制作/みさおはるき(newTOKYO)