同性愛者を公言する俳優も、当事者役として出演。 安楽死を望む母と家族の映画「ブラックバード」が公開中!

主人公リリーに『デッドマン・ウォーキング』(95)でアカデミー賞®主演女優賞を受賞したスー ザン・サランドン、長女のジェニファーには『愛を読むひと』(08)でアカデミー賞®主演女優賞受賞を受賞したケイト・ウインスレットを迎え、二大オスカー女優が初共演となった本作。

 『ペレ』(87)などで知られるビレ・アウグスト監督による傑作デンマーク映画『サイレント・ハート』(14・未)を、同作の脚本家であるクリスチャン・トープが自身でアメリカ映画として脚色、『ブラックバード 家族が家族であるうちに』として、新たな物語として紡ぎ出された。

ーー安楽死を望む母の意思を尊重し、どこにでもある普通の週末を過ごそうとする家族だったが…

ある週末の朝、リリー(スーザン・サランドン)は夫のポール(サム・ニール)と暮らす静かな海辺の邸宅に、娘のジェニファー(ケイト・ウィンスレット)、アナ(ミア・ワシコウスカ)とその家族たち、そしてリリーの学生時代からの大親友で家族同然のリズを集める。

しかしそれはともに楽しい時を過ごすためのものではなく、病に身体を少しずつ蝕まれ、残された人生の過ごし方を悟ったリリーが、“家族が家族であるうちに”安楽死を選択した自らが用意した最後の時間だったーー。

ーー理想の死の迎え方を自ら形にした母・リリーを通して考えさせられる、自身の死生観

安楽死。病に犯され治療でも回復が見込めない、あるいは耐え難い苦痛を受けており著しく生活の質が低い患者に与えられた、人生の最期を自らの意思で迎えられる権利のこと。

ワイングラスを持てないほど握力が弱まり、階段を上るのも夫ポールの介助なしでは難しい。唾を飲み込むことすらできなくなり、体に穴を開けチューブで栄養を摂取する未来が数週間後に迫っているこの物語の主人公・リリーもまた、安楽死を望むうちの一人だ。自らの努力を積み重ねて建てたお気に入りのベイサイドに建つ豪邸で、そしてその州では違法と知りながらも、自身の意思を尊重してくれる愛する家族に囲まれながら。

子どもたちにとっては“母親の死”、夫にとっては“妻の死”、唯一招かれた家族以外の親友・ジルにとっては“親友の死”。それぞれの想いや過ごした時間は違えど、リリーが心穏やかに理想の死を迎えられるよう、豪華な晩餐会や砂浜を歩きながら昔の思い出話に話を咲かせていく。二度と訪れることのない時間が過ぎ去り、刻一刻とリリーの死が迫り来る。

リリーの死を目前に控えた時、母の気持ちを尊重するべきという考えの長女ジェニファーと、自ら死を選択して欲しくないという次女アナの意見がぶつかり、保たれていた均衡が崩れ始める。次々と明らかになっていく家族の秘密を前に、リリー、そして家族が下した決断はーー。

今作は、同性愛を主軸にした題材ではないものの、同性愛者を公言するベックス・テイラー・クラウス演じるクリスと次女アナの同性カップルが、ナチュラルに受け入れられている描写にも注目。

日常生活を送る上で、中々意識することのない“死”をすぐそばにあるものとして絶妙な温度感で描いた『ブラックバード 家族が家族であるうちに』、自身の死生観を改めて見直すきっかけとしてもおすすめしたい。

■ ブラックバード 家族が家族であるうちに
2021年6月11日(金)からTOHOシネマズシャンテほか、順次全国公開
https://blackbird.ayapro.ne.jp

配給/プレシディオ、彩プロ
©️2019 BLACK BIRD PRODUCTIONS, INC ALL RIGHTS RESERVED
記事制作/newTOKYO

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