ドラァグクイーンを夢見る高校生ジェイミーの強く突き進む姿を描いた、イギリス発大ヒットミュージカル『ジェイミー』が、ついに日本上陸!
今回は、Wキャストでジェイミーを演じる俳優・森崎ウィンさん(左)とアーティストとしても活躍する髙橋颯さん(WATWING、右)にジェイミー役を演じるということ、そして多様性をテーマの一つとしても掲げている本作品を通して伝えたいことを伺った。
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誰もがマジョリティでマイノリティな一面を持っている。そのメッセージが観た人の意識を変えるきっかけになれば。
ーードラァグクイーンを目指す高校生役ということで、お話があった時はどう思いましたか?
森崎ウィン:役どころを聞いただけですごいワクワクしましたし、本当にやりがいのある作品になるだろうなと感じました。普段の生活ではなかなか経験できないことを経験できるというのが役者という生き方の醍醐味でもありますので、キャスティングが決まった時は純粋に嬉しさがこみ上げてきました。
衣装合わせでドラァグクーンの衣装を身にまとったのですが、それだけでも無敵な気持ちになるというか。あとは、鏡を見た時に「結構似合ってるじゃん、自分」って思いましたね(笑)。
髙橋颯:ドラァグクイーンというパフォーマーの存在自体は知っていたのですが、まさか自分が演じることになるとは思ってもいませんでした(笑)。
稽古では15cmのピンヒールを履いている時間が長く大変ではありますが、足を通したその瞬間から髙橋颯からジェイミーへとスイッチが切り替わったかのように役に入り込めるので、そう言った意味では大切なアイテムの一つでもあります。
ーー本作では「多様性」「自分らしさ」がキーワードになっていますが、役や作品を通して改めて感じたことはありましたか?
森崎ウィン:多様性の溢れた社会を目指し様々な取り組みが始められている一方で、世界各国で人種や宗教、性別などに対して差別問題が起こっているのが現状としてあります。そういった中でどこまで一人ひとりがお互いを認め合える社会の実現を目指して行動できているのか、それは僕も含めてのことですが、稽古や芝居を通してすごく考えさせられています。
人は家族や会社、地域、学校など何かしらにコミュニティに属しているわけですが、それらはあくまで個人の集まりなだけであって、他者をマイノリティあるいはマジョリティとジャッジする権利は誰にもないし、誰もがマイノリティでありマジョリティでもあるんですよね。変えることのできない“その人”のアイデンティティや決めた道を認め合える社会に少しでも貢献できる作品になればいいと思っていますし、お客さんには作品で取り上げたテーマについて考えるきっかけを届けたいです。
髙橋颯:今、こうしてウィンくんの話を聞いたり一緒にいることが、一番刺激を受けている瞬間かもしれません。マイノリティな一面というのは僕を含めて誰もが持っているもので、そのことで社会から抑圧を感じている人も多いはず。
もし機会があるのならば、一度『ジェイミー』で描かれた現代社会の各テーマについて、ディスカッションを通して気持ちを理解し合いたいという考えが湧いてきたのも、この作品を通してウィンくんのそばにいられる環境があってこそだと思います。
ーー最後に公演を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。
髙橋颯:いろいろな気持ちが行き交う中、本番に向け試行錯誤しながら稽古に励んでいます。本番では、それぞれの思いが繋がりいい舞台を届けられると思いますので、楽しみに待っていてください。
森崎ウィン:このようなご時世ではございますが、お客さんを含めてこの作品を作りあげられたらいいなと思っています。ぜひ、劇場に足を運んでいただいて『ジェイミー』という世界にどっぷり浸かってもらえたら嬉しいです。「可愛い!」「綺麗!」だけで終わらない舞台を目指しています。
◆ ミュージカル/ジェイミー
主人公は16歳の高校生ジェイミー・ニュー。彼には一つの夢があった。それはドラァグクイーンになること。そして高校のプロムに本来の“自分らしい”服装で参加すること。母親から真っ赤なヒールをプレゼントされたことをきっかけに夢に向かって強く突き進む思いを抱いたジェイミーだが、学校や周囲の保護者たちは猛反対。ジェイミーの夢を理解できない父との確執や周囲からの差別など、多くの困難を乗り越えながら、自分らしさを貫くジェイミーの姿に勇気と感動、そして幸せをもらえる、最高にハッピーなミュージカル!
ホリプロステージ公式サイト/チケット
>東京公演
期間:2021年8月8日(日)~29日(日)
会場:東京建物Brillia HALL
お問い合わせ:ホリプロチケットセンター
>大阪公演
期間:2021年9月4日(土)~12日(日)
会場:新歌舞伎座
お問い合わせ:新歌舞伎座
>愛知公演
期間:2021年9月25日(土)18:00/26日(日)13:00
会場:愛知県芸術劇場 大ホール
お問い合わせ:キョードー東海
取材・インタビュー/芳賀たかし
写真/新井雄大
記事制作/newTOKYO