オリヴィエ賞4部門、トニー賞4部門受賞、ブロードウェイとウエストエンドを感動に包んだ話題作。舞台『インヘリタンス-継承-』が2024年2月11日(日・祝)の東京上演を皮切りに、大阪・福岡にて日本初演となる。
物語は2015~2018年のNYが舞台。
1980年代のエイズ流行初期を知る60代と、若い30代・20代の3世代の3世代のゲイ・コミュニティの人々の愛情、人生、尊厳やHIVをめぐる闘いを描いたもので、差別や抑圧を受けながらも真実の自分に出会い、愛を貫くさまを描く中で、LGBTQ+など多様な個性の人々がそれぞれ自分らしく幸せに共生できる社会とは何かを問いかける、前後篇6時間半で綴る感動の叙事詩(エピックドラマ)。
ゲイの劇作家・脚本家として知られるマシュー・ロペスは、本作でラテン系の作家として初めてトニー賞ベストプレイ賞を受賞。E・M・フォースターの小説『ハワーズ・エンド』に着想を得て作り上げた作品であり、その想いを引き継ぐ日本初演を、気鋭の演出家・熊林弘高が担う。自ら上演を切望した作品に熊林は、“いま語られなくてはならない物語”を見出すと言う。
ーー演出家・熊林弘高によるコメント(一部抜粋)
今まで自分は人の暗部や闇、社会の記憶などを描き、それに向き合っていく作品に惹かれてきました。
“過去は死なない 過ぎ去りさえしない” W.フォークナー
「私とは何者なのか」…人は何らか自分自身を演出しています。が、自分の本質を理解しない限り、本当の意味で人と人は結びつくことは出来ないと思います。『インヘリタンス-継承-』に「癒すか、燃やすか」という台詞が出てきます。自分を成り立たせているもの、つまり自分の過去に(例え痛みが伴おうとも)向き合うこと。そうしなければ、次の一歩に踏み出せない、人と人が互いに理解しあうことは出来ない…本作の最後で語られる「過去、現在、未来が一つに繋がる」という大きなテーマにつながる一言です。
もう一つの魅力は、一義的な視点ではなく、多様な視点で語られていることです。本作で描かれているたくさんの会話は、加害者や被害者、白人や黒人、リベラルと保守、さまざまな背景をもつ人々の言葉で紡がれます。次の世代に「継承」されるものも「正」とされることだけではありません。“良い芸術作品は、質問を与えるだけだ”というピーター・ブルックの言葉があります。古びない作品は質問を投げかけるだけで、答えを与えてくれるものではない。この作品でも様々な視点を投げかけてくれる。それがすごく面白いと思います。
今につながる果てしない営みに思いを馳せ、未来にバトンを託す希望と勇気をくれる舞台『インヘリタンス-継承-』。ぜひこの機会に、スケールの大きな演劇作品を堪能してみてはいかがだろうか。
■舞台/インヘリタンス-継承-(※R-15指定)
東京公演|2024年2月11日(日・祝)〜2月24日(土)
大阪公演|2024年3月2日(土)
北九州公演|2024年3月9日(土)
公式サイト|https://www.inheritance-stage.jp
素材提供/東京芸術劇場
記事制作/newTOKYO