恋愛や性交渉のことはいくらでも友達と話せるけど、プライベートゾーンに関係する性病や性機能となると、なかなか腹を割って話せる人って少なくない? MSM(男性間性交渉者) の場合、調べても中々求める答えに辿り着けない…ってこともあるし。
この連載では、プライベートケアクリニック東京 東京院 院長 小堀善友先生監修のもと、人に聞いてもパッと答えが分からないメンズの性のお悩みにフォーカス。第11回目はゴーゴーボーイのYuhiくんと一緒に「HIV検査キットって、どこまで信用していいの?」という疑問から、アレコレ掘り下げる。
ーーHIV検査キットって、大きく分けて2種類あるって知ってた?
コロナ渦以降「HIV検査キット」って、あちこちで耳にするようになったけど…検査結果はどれだけ信用していいものなんですか?
まず「検査キット」と一言で言っても、一般的には「自己検査キット」と「郵送検査キット」の2種類に分けられることを知っていますか?
それは知りませんでした…。どのような違いがあるんですか?
血液を自ら採取すること、病院に行かなくとも結果が分かることは共通していますが、検査を実施する場所が違んです。「自己検査キット」はその場で結果が判明しますよね。一方「郵送検査キット」は採取した血液を検査所へ送り、検査を行います(検査結果はWEBサイトで確認)。
そういえば…新型コロナウイルスが流行したときも、その場で結果が判明するものと検査所に送るものの2種類の検査キットがあったことを思い出しました!
ーー「自己検査キット」と「郵送検査キット」、精度の違いはどれぐらい?
検査結果がその場で分かるなら、そっちの方が便利な気がするけど…「自己検査キット」と「郵送検査キット」の精度に違いはあるんですか?
正直にお話しすると、HIVにおいて「自己検査キット」はおすすめしません。なぜなら、HIVの検査で承認された「自己検査キット」は無いんですよ。インターネットで販売されているHIVの「自己検査キット」は、医師や看護師が医療の現場で使うものを研究用として販売しているものや、海外製の精度不明のものなどです。
未承認のHIV検査キットが、なぜ豊富に流通しているんですか?
あくまで私個人の見解になりますが、「詳しいことを知らない人に売ってしまえ」ということではないでしょうか。コロナ禍のときも承認された自己検査キットがあるにも関わらず、未承認の自己検査キットもたくさん売られていましたからね…。だからこそ、検査キットを選ぶ上で何を基準にすべきか、皆さんに知っていただきたいです!
先生、もう一つの「郵送検査キット」の精度は信用できるものだと考えていいんですか?
そうですね。「郵送検査キット」は検査所で検査を実施するため、基本的に精度は問題ないと考えていいと思います。
ということは…保健所やクリニックでの検査と比べてほぼ変わらないということですか?
郵送検査キットの検査所はクリニックなどの検査も実施している機関なので、そういうことになります。精度についても厚労省の研究班で精度管理調査などが行われていますよ。
ーー郵送検査キットにも「匿名」と「完全匿名」があるから、プライバシーが気になる人はチェックしておこう!
ただ、郵送検査となるとプライバシー面が気になっちゃうんですけど…。
「匿名」の検査を行っているところであれば、プライバシーは問題ないと考えられます。注文情報と検査情報が紐づかないようにしている「完全匿名」なら、より安心ですね。
また、もう一つ選ぶ基準にしてほしいのが、サポート面です。キットを買うときはあまり気にしないかもしれませんが…もし陽性が出た場合、どうすればいいか想像できますか?
近くの病院に行くとか…そもそもHIVってどこでも診てもらえるんですか? だとしても、受付で「HIV陽性の結果が出て…」と話す勇気が出ないかもしれません。
だからこそ、フォローアップ体制が大切なんです。陽性が出た場合、受診先の医療機関を紹介してくれるところや、陰性でも様々な相談にのってくれるところを選ぶことをおすすめします。
なるほど! 最後に…オンラインPrEPでもHIVの検査キットが使われていると思いますが、どのような検査キットが使われているんですか?
医療機関によって様々です。一部、医師の責任のもとで医療用の検査キットを送っているクリニックもあります。また、PrEPの前には、HIV・B型肝炎・腎機能の検査が必須なのですが、腎機能の検査がセットになっていないところもあります。極力、「HIV・B型肝炎・腎機能」の検査がセットになっていて、郵送検査キットを使っている医療機関を選びましょう。
#12は1月下旬更新予定!
■性トーク
プライベートケアクリニック東京 東京院 院長 小堀善友医師監修のもと、「人に聞きにくい」「調べてもパッとしない」メンズの性のお悩みにフォーカスする月2回更新の連載企画。4回ごとに異なるモデルを迎え、トークルーム風にアレコレ掘り下げていく。
■プライベートケアクリニック東京 (東京院・新宿院)
性感染症の適切な診断・治療を行うクリニック。女性・男性・LGBTQ+の方・パートナー同士でも受診することが可能。男性不妊・メンズヘルス診療はこちらから。
https://pcct.jp/repro/
■小堀善友 医師
プライベートケアクリニック東京東京院院長。2001年、金沢大学医学部卒業。金沢大学泌尿器科、米・イリノイ大学シカゴ校泌尿器科、獨協医科大学埼玉医療センター泌尿器科准教授を経て、2021年より現職。日本泌尿器科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、日本性機能学会専門医、日本性感染症学会認定医、日本性科学会セックス・セラピスト。著書に『オトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)、『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)、『今日の診断指針第8版「男子性発育の異常」』(医学書院)など。
■郵送検査 情報提供「STD研究所」
https://www.std-lab.jp/
性感染症(STD)に関する情報提供と郵送検査サービスを行う専門機関。 HIV/エイズ、梅毒、クラミジアなど、様々なSTDの症状、感染経路、予防法など、性感染症についての正しい知識をわかりやすく解説。また、匿名でできる性感染症の郵送検査サービスを提供。専門カウンセラーによる手厚い受検者フォローが特徴。「正しい知識」と「検査」を通じて性に関する悩みを抱える方へのサポートを行う。
モデル/Yuhi
写真/JOE
デザイン/鈴木美結
企画・編集/芳賀たかし
記事制作/newTOKYO
タイアップ・監修/プライベートケアクリニック東京