同性愛&女性差別に屈しない。バリキャリ人生の裏に隠し続けた、同性パートナーとの27年に及ぶ暮らしに迫る「サリー:私の愛した宇宙飛行士」

LGBTQ映画を扱うゲイの映画ライターによるコラム連載

映画ライターのよしひろまさみちが、
今だからこそ観て欲しい映像作品をご紹介するコラム
「まくのうちぃシネマ」第71回目

何でも「初めて」に取り組んだ方のエピソードは映画やドラマ、ドキュメンタリーとなって多く語られてきました。ゲイで初めてアメリカ政界に出たハーヴェイ・ミルクを描いた『ミルク』(ドキュメンタリーの『ハーヴェイ・ミルク』もあります)とか、トランスウーマンのカルチャーをメジャーシーンに押し上げた人々を描いたドラマ『POSE/ポーズ』とか。今回紹介する女性初の宇宙飛行士サリー・ライドのパーソナルに迫る『サリー:私の愛した宇宙飛行士』。今では条件さえクリアすれば誰でも選出される宇宙飛行士ですが、彼女がスペースシャトルで飛んだのは1983年。日本じゃまだ男女雇用機会均等法施行前だし、なんならサリーさん、レズビアン!

『セサミストリート』に出演した彼女のフッテージから始まるこのドキュメンタリー。彼女が封建的な男社会&人種格差のある社会で、どのように自分を隠しながらも冷静にキャリアに邁進したか。また、同性愛や女性を含む抑圧された人々をめぐる社会の変動は、彼女の生活にどう影響を与えていたのか。2012年に彼女は亡くなっているので、本人の語りは生前のものなりますが、すごいのは、語り部が彼女の元パートナーや恋人!

アメリカに限らず、活躍する女性=ヒロイン、とステレオタイプなイメージ作りをしがちですが、そこも違うよ、というメッセージは痛快。だって、NASAでのインタビューで聞かれるの「1週間の任務でタンポンは何個必要?」とか、ひどいのよ! ありえない。

彼女が同性愛者だったことは、亡くなるまで公には伏せられてきたこと(ガンで他界前にパートナーがオショーネシーさんであること、死後に彼女が語ることをを認めた)。というのも、彼女が活躍した時代は、同性愛はおろか、女性への差別もバッキバキ。キャリアのためにずっと伏せてきたことだったんですね。それがどれほどの差別だったかは、この作品の中で痛烈に語られています。

◆『サリー:私の愛した宇宙飛行士』 Disney+にて配信中
https://natgeotv.jp/tv/lineup/prgmtop/index/prgm_cd/3420
監督:クリスティーナ・コスタンティーニ/出演:サリー・ライド、タム・オショーネシー、モリー・タイソン ほか

文/よしひろまさみち X@hannysroom
イラスト/野原くろ X@nohara96

記事制作/newTOKYO

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