LGBTの方が大好き♡ミコちゃんこと弘田三枝子の「生きる伝説」とゲイとの共通点インタビュー!

デビューから半世紀以上経った今もゲイの心を掴んで離さない歌姫の弘田三枝子さん。日本歌謡界に数多くのヒット曲を持ち、現在も新しいことにチャレンジし続けている「生きる伝説」とゲイとの共通点とは…? また、あの不朽の名曲「人形の家」の秘話とは…。ミコちゃんこと弘田三枝子さんの秘密に迫るスペシャルインタビュー!

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ゲイフレンドリーの歌手の弘田三枝子

――昔からゲイのお友達がいらっしゃったと伺ったのですが…。

以前、お花を華やかにあしらったり、それは見事な日本で最高の舞台レビュー衣装を作られている中村さんという衣装屋さんがあって。私の衣装をお願いしているんです。ニューハーフのお店の方々もこちらでよく衣装を作られていらっしゃったので、ご縁でゲイやニューハーフの皆さんのショーをよく拝見させていただいてました。
お会いするゲイの方が皆さん口をそろえて「ミコちゃん、あなたもゲイよ」っておっしゃるの。まあ、私ゲイだったのね、自覚を持たなくちゃって(笑)。

それで私は歌い手ですけど、衣装で気持ちも高揚しますし、イメージも広がるのでとても気を使います。中村さんのお父様はすでにお亡くなりになっていらっしゃるんだけど、今でも中村さんのお母様とお嬢さんが私の衣装を作ってくださっているの。日本にはない生地を海外から買い付けておられるので毎回どんな衣装を作ろうか、ワクワクしながらお話をさせていただくのですが、いつも期待以上の衣装に仕上げてくださるのでとても感謝しています。

――ドラァグクイーンの方がPVに出演されたことがあるんですよね。

10年ほど前に『恋のクンビア21』のPVにいろんなドラァグクイーンさんの方に出ていただいたの。特に覚えているのは別件でインタビューをしてくださったり、イベントの司会をしてくださったマーガレットさんね。とても背の高い方なのにさらにヒールを履いていらっしゃって、他の方と比べても一際大きな方よね。
ドラァグクイーンさんの方々は皆さん変わったお名前の方が多くて、ゲイ達者でトークも面白くて、メイクもすごいので私負けそう(笑)。もちろん影では努力もされていらっしゃるのでしょうけど、様々な才能を持たれていらっしゃる方ばかりで、でもいつも明るくて、わーっと楽しく騒ぐ皆さんの感じが私はとても大好きなんですよ。

ドラァグクイーンと歌手の弘田三枝子

2016年6月に新宿二丁目で開催した『弘田三枝子ナイト(ミコナイト)』。「今は自分が一番ドラァグクイーンらしい」と自負する弘田三枝子さんと大好きなドラァグクィーンたち(左から/マーガレット、釈麗子、ダイアナ・エクストラバガンザ、肉乃小路ニクヨ、ドリアン・ロロブリジーダ)

――弘田さんのご自宅では歌を聴くと猫が寝てしまうというお話を伺ったのですが…。

『ひいふうみいよう』という、これまでの私の歌とは少し違う、切なくてほっこりした癒しの叙情歌を家で稽古していたのね。イントロが始まるとどこからともなくうちの猫が現れて足元や膝の上で寝てしまうの。最初は偶然かしら?と思っていたんだけど、不思議なことに毎回、この曲を聴くと寝てしまうの。音楽って猫にもわかるものなのね。
(インタビュアー:じゃあ、ゲイの人が聞いたら皆寝てしまうかもしれないですね。)あら、ゲイの方々は皆さん猫科なのかしら。(ゲイの「ネコ」について説明されて)あらいやだわ、そういう意味じゃなかったのね(笑)。もう、意地悪ねぇ。

――やはり弘田さんのイメージと言えば「人形の家」ですが、その時の裏話を教えてください。

なかにし礼先生に曲をいただいた時、挨拶をしようとしたら歌詞の内容の説明もなくいきなり、「ミコ!お前はこれで女になる!(女の株が上がる)」っておっしゃったの。当時のレコーディングは一発録りで今のようにつなぎ合わせることができなかったのね。
私、収録時には気づかなかったんだけど、「私は、あなたに」のフレーズを無意識に「私は、はなたに」って発音していたの。通常は作詞家の先生は言葉をとても大切にされて、発音にも細かい指示を出されるんだけど、歌い方も何もかもを自由にさせてくださったの。
この頃のヒット曲は明るい歌が主流だったので、最初「人形の家」は「暗すぎて流せない」ってラジオでも拒否されてしまったの。でも、なかにし先生は「大丈夫、ヒットする!!」とおっしゃって。おかげさまで、1年後にヒットしました!!

歌手の弘田三枝子

――今の日本の音楽についてはどう思われますか?

もちろん大好きでよく聴いてます。今の音楽には、私の若い頃にはなかったテクニックや個性を持つ天才が多いので聴いていてすごく勉強になります。この歳になっても若い方の音楽から刺激を受けて、これからも様々なジャンルの音楽に挑戦していきたいなってワクワクさせていただいています。
私のポリシーは「いただいた曲はすべて自分の歌にする」ことなのね。何度も練習して、自分なりの表現を重ねて、世界を作り上げる。だから毎回、レコーディングの時は最初のフレーズを歌う時が一番緊張するの。

――LGBTの方々にメッセージをお願いします。

若い頃から私の真似をしてくださるゲイの方々に勇気を頂きましたし「ミコはゲイよ」って言われるのも実はとても嬉しいの。LGBTの方と一緒にいる時が一番、私らしく自然体でいられて好きなんです。私は、皆さんの「仲間」だと思っています。

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LGBTフレンドリーの歌手の弘田三枝子

プロフィール/弘田三枝子
1961年11月に東芝レコードから『子供ぢゃないの』でデビューし、『ヴァケーション』などのカバーポップでブレイク。1964年に日本コロムビアへ移籍。1969年リリースの『人形の家』で日本レコード大賞歌唱賞を受賞。以降、日本歌謡界の歌姫として様々なヒット曲をリリース。
https://columbia.jp/artist-info/mico/

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写真/EISUKE
提供写真/日本コロムビア
取材協力/リキティ
取材・インタビュー/みさおはるき
記事制作/newTOKYO

※この記事は、「自分らしく生きるプロジェクト」の一環によって制作されました。「自分らしく生きるプロジェクト」は、テレビでの番組放送やYouTubeでのライブ配信、インタビュー記事などを通じてLGBTへの理解を深め、すべての人が当たり前に自然体で生きていけるような社会創生に向けた活動を行っております。
https://jibun-rashiku.jp

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