若手アーティスト4人が描く、ゲイのリアリティ。展覧会「Behind the Closet」が11月18日〜23日に開催

様々な性の在り方が浸透してきた昨今、アートの世界でもジェンダーやセクシュアリティをテーマとしたクィアアートが注目を集めている。
多様な価値観で溢れる街・新宿で開催されるアート展『Behind the Closet』では、東京を拠点に活躍する若手のクィアアーティスト4人が集結。

ゲイの世界をテーマにした油彩画や日本画、版画、立体展示のほか、インスタレーションやペイントパフォーマンスといったバラエティに富んだ内容。多様化するジェンダー、多種多様なジャンル、多様性の街・新宿。
この3つの多様が交差する時、あなたの中に新たな価値観が生まれるかもしれない。

ーー私たちはゲイであり、ただの人間だから。アートとして昇華するゲイの本質と日常。

小さな頃から好きだった人形遊び。
女の子っぽいと周りから不思議な目で見られたり、隠れて遊んだり、一緒に遊んでくれる人がいなくて一人で何役も演じたりしていました。

大人になった今、その人形遊びというフィルターを通して自身の精神性や社会との関係を表現したいと思っています。(HEY2)

私にとってアートは人々を感動させ、新たな疑問を引き起こし、好奇心、興奮、怒りを引き起こすユニークな位置づけのものだと信じています。そのため、私はあえて「個人的な」コンテンツを露出させ、人々にそれを覗き見させるのです。

自分の作品をエンパシーを映し出す鏡として捉え、それがアーティストとオーディエンスの双方に新しい発見とつながりをもたらすことを願って制作をしています。(ネルソン・ホー)

「歳をとること」について制作することが多いのですが、それは私自身がゲイとして、ゲイカルチャーに触れ、ゲイの方々と交流をして形成された価値観に深く基づいています。若さを美徳とする考え方や、ルッキズム、老後の心配などが議題に挙りやすいこの界隈で、私の絵はそれらに対する抵抗の証でもあります。

また、そういった考えがアートを介することで様々な属性の方々の目に届きどう映るのか、とても興味があります。(武内雄大)

セクシュアルマイノリティが抱える孤独や人との距離感をテーマに、そこに垣間見る男性同士の触れ合いの”エモさ”を木版画で表現しています。LGBTQ+当事者が、いまだに自由な場所で手を握ることさえできない現代社会で、その感情を抑えきれないシチュエーションが多々存在します。それはクラブでメロウが流れた時であり、別れのホームであり、雑踏の街中かもしれません。

私はそれを目撃した時、「日常と地続きの、静かで心地いい感情の変化」、つまりエモいをアートとして表現せずにはいられないのです。(ナガシマカズタカ)

ーーゲイやゲイアートというと、どのようなイメージを持たれるでしょうか?
マッスルでムキムキなボンデージ姿の男性?化粧や煌びやかな衣装に着飾ったドラァグクイーン?

ゲイの世界はそれだけではありません(もちろん、それらは私たちの大切な文化ですが)。私たちは呼吸したり、眠ったり、愛をしたり、次は何を食べるのだろうと考えたり、泣いたり、笑ったりと他の人と同じように生きています。孤独や繊細を感じたり、他の人と同じように社会の一部を担う退屈な人生を送ることもあるのです。ゲイであることのリアリティは映画やドラマ、各メディアでどう映し出されるかということではありません。

このヘテロ社会では、私たちは常にクィアな人々がクローゼットから「カミングアウト」することを期待しています。そこで『Behind the Closet』では4人のゲイ当事者であるアーティストが、「クローゼットの中に入り、ゲイの世界のリアリティーを覗いてみよう」とあなたを誘うのです。
虹色のフィルターの向こう側には、私たちはただの人間なのだということを知ることができるかもしれません。(Behind the Closetコメントより)

■Queer Art Group Exhibition
Behind the Closet
アーティスト|HEY2、ネルソン・ホー、武内雄大、ナガシマカズタカ
期間|2022年11月18日(金)〜23日(水・祝日)
時間|12:00〜20:00 (最終日は17:00まで)
会場|新宿眼科画廊 スペースO(東京都新宿区新宿5-18-11)
https://www.gankagarou.com/

記事制作/newTOKYO