ジュリア・ロバーツといえば…諦めない女ですよね。
映画「プリティ・ウーマン」では純愛を諦めず、「エリン・ブロコビッチ」では正義を諦めず、「食べて、祈って、恋をして」では信念を諦めない。 そんな彼女が今回は、「息子への愛を諦めない」強い母親を演じます。
クリスマス・イブの朝、薬物治療施設から突然戻ってきた19歳のベン。
保守的で良識人の継父ニールと疑い深い性格の妹アイヴィーは、ベンがトラブルを起こすのではと不安を隠せないが、母親のホリーは素直に息子の帰宅を祝福する。
たった一晩だけ自宅で過ごすことを許されたベンだったが、その夜一家が教会から戻ると家が荒らされ愛犬がさらわれていた。
犯人が昔の仲間だと確信したベンは責任を感じ愛犬を取り戻すために家を飛び出し、ベンを追ったホリーは息子が隠し続けていた事実を目の当たりにする。
息子を救えるのは自分しかいないと確信したホリーだったが、その後ベンは姿を消してしまう…。
なぜ、ベンは若くして薬物依存になってしまったのか。
本来純粋なベンは、愛する人々を守るため嘘をつき、自分を守るために犯罪に手を染める。
この映画は白人社会を描いているため、所々に人種問題やレッテルという差別や偏見も描かれていて、我々LGBTにも痛いほど胸に刺さる。
一方のジュリア・ロバーツはとても真っ直ぐで愛情深い、典型的なアメリカの母親像。
だからこそ、その母親の愛が息子を追い詰めるという、切ない矛盾も描かれる。偏見とは悪意のある差別だけではなく、自分が信じたい理想の押し付けでもあるのよね。
それを踏まえて観ることで、ラストでジュリアが叫ぶセリフが妄信的な母の愛ではなく、人間としての大きな愛から絞り出された痛みを伴うものだと気付かされる。
今作でベンを演じるのは、監督ピーター・ヘッジズの息子、ルーカス・ヘッジズ。
なんだ、親の七光りかと思うなかれ。 ハリウッド映画は親のコネだけで主演を張れるほど甘くはなく、表情豊かな大女優ジュリア・ロバーツの存在感に遅れをとらないサラブレットの演技力を見せ付けてくれます。
映画:ベン・イズ・バック
全国ロードショー中
ストーリー / クリスマス・イヴの朝、19歳のベンは実家に突然戻り家族を驚かせる。薬物依存症の治療施設を抜け出し帰ってきたのだ。久しぶりの再会に母ホリーは喜び、温かく迎え入れた。一方、疑い深い妹アイヴィーと良識ある継父のニールは、過去の経緯から、ベンが何か問題を起こして自分たちの生活を脅かすのではと不安に駆られる。両親はベンに、24時間のホリーの監視を条件に、一日だけ家での滞在を認めた。その夜、一家が教会でのクリスマスの催しから戻ると、家の中が荒らされ、愛犬が消えていた。これはベンの過去の報いに違いない。誰か分からないが昔の仲間の仕業だ。凍てつくような夜、ベンは犬を取り戻しに飛び出すー。
監督・製作・脚本 / ピーター・ヘッジズ
キャスト / ジュリア・ロバーツ、ルーカス・ヘッジズ、キャスリン・ニュートン、コートニー・B・ヴァンス
上演時間 / 103分 製作国 / アメリカ 配給会社 / 東和ピクチャーズ
提供 / カルチュア・パブリッシャーズ、東宝東和、テレビ東京
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記事作成 / みさおはるき
(イラストレーター / 漫画家 / コラムニスト / たまに通販番組の出演者)
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