性別適合手術が違法か合法かを争ったとされた1960年代の裁判から着想を得た映画「ブルーボーイ事件」が2025年秋公開。トランスジェンダー女性の中川未悠やドラァグクイーンのイズミ・セクシーらが出演

2025年秋に映画『ブルーボーイ事件』公開が決まった。映画化にあたって監督を務めたのは『世界は僕らに気づかない』(23)などの代表作を持つトランスジェンダー男性の飯塚花笑氏。

1960年代後期、東京オリンピックや大阪万博で沸く、高度経済成長期の日本では国際化に向け売春の取り締まりを強化していた。中でも検察は性別適合手術(*当時の呼称は性転換手術)を受けた通称ブルーボーイたちを一掃するために、手術を行った医師の逮捕に踏み切り、手術の違法性を問う裁判には実際に手術を受けた証人たちが出廷することとなった。この一件がブルーボーイ事件である。

ーー「この物語を描くには当事者によるキャスティングが絶対に必要」。トランスジェンダー 女性を対象としたオーディションを開催

監督は当時の社会状況と事件について徹底的に調査し、裁判での証言を決意したトランスジェンダー女性サチを主人公に物語を構想した。また主人公サチ役の起用にあたっては、「この物語を描くには当事者によるキャスティングが絶対に必要」という監督の強い意志のもと、様々な経歴を持つトランスジェンダー女性たちを集めたオーディションが行われた。

多くの候補者の中から主演に選ばれたのは、ドキュメンタリー映画『女になる』(2017、田中幸夫監督)への出演経験を持つ中川未悠。裁判の証人となるサチのかつての同僚たちを演じるのは、これが映画初出演となるドラァグクイーンのイズミ・セクシーと、連続テレビ小説『虎に翼』での演技が反響を呼んだシンガーソングライターで俳優の中村中。またブルーボーイ役として真田怜臣、六川裕史、泰平ら、注目の若手俳優たちが出演する。

ーー今以上に性的マイノリティの人々に対する激しい差別が横行していた1960年代の日本で、自らの尊厳と誇りをかけて司法と、そして世間と闘った女性たち。彼女たちの声と真摯に向き合いながら、見事な演出力で社会派エンターテインメントとしてまとめ上げた『ブルーボーイ事件』は、いまだ差別や偏見がはびこる現代社会にこそ見るべき映画だ。

ーー『ブルーボーイ事件』特報 2025年秋全国公開

◆ブルーボーイ事件 2025年 秋全国公開
https://blueboy-movie.jp/
ストーリー/1965年、オリンピック景気に沸く東京で、街の浄化を目指す警察は、街に立つセックスワーカーたちを厳しく取り締まっていた。ただし、ブルーボーイと呼ばれる性別適合手術(当時の呼称は性転換手術)を受け、身体の特徴を女性的に変えた人々たちの存在が警察の頭を悩ませていた。戸籍は男性のまま、女性として売春をする彼女たちは、現行の売春防止法では摘発対象にはならない。そこで彼らが目をつけたのが性別適合手術だった。警察は、生殖を不能にする手術は「優生保護法」(*現在は母体保護法に改正)に違反するとして、ブルーボーイたちに手術を行っていた医師の赤城(山中崇)を逮捕し、裁判にかける。同じ頃、東京の喫茶店でウェイトレスとして働くサチ(中川未悠)は、恋人の若村(前原滉)からプロポーズを受け、幸せを噛み締めていた。そんなある日、弁護士の狩野(錦戸亮)がサチのもとを訪れる。実はサチは、赤城のもとで性別適合手術を行った患者のひとり。赤城の弁護を引き受けた狩野は、証人としてサチに出廷してほしいと依頼する。

監督:飯塚花笑/キャスト:中川未悠 前原滉 中村中 イズミ・セクシー 渋川清彦/山中崇 安井順平/錦戸亮/脚本:三浦毎生 加藤結子 飯塚花笑/音楽:池永正二/製作:アミューズクリエイティブスタジオ KDDI 日活/制作:アミューズクリエイティブスタジオオフィス・シロウズ/配給:日活/KDDI ©2025『ブルーボーイ事件』製作委員会

記事制作/newTOKYO

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