映画ライターのよしひろまさみちが、
今だからこそ観て欲しい映画をご紹介するコラム
「まくのうちぃシネマ」第38回目
続編ができるってことは、前作が好評だったってこと。
だけど、難しいのはストーリーなのよね。続編を作るつもりで作った映画だったらまだしも、きっちり完結してしまった話だったとしたら、続編はとってつけた感が出ちゃうもの。
今月28日(金)より公開中の『シャイニー・シュリンプス!世界に羽ばたけ』も、観る前は実はその不安があったの。だって、前作『〜愉快で愛しい仲間たち』は、主人公のコーチ・マチアスが持つ偏見は解け、水球チームのリーダー、ジャンが亡くなり、と、ほぼ大団円の終幕だったから。こんなきれいに終わった話を、どう続けるのよ! って思ったわけです。
ところがどっこい、すっごいよくできてるの、この続編。前作のマチアスよりもこじれたゲイに偏見を持つキャラが登場したり、ホモ狩りやセクシュアリティの矯正施設など前時代の差別的なものが残る国の問題とか。あぁ、まだまだシャイニー・シュリンプスのメンバーを使えば描けることは山程あったのね、と思える納得の続編。おまけに、水球チームの話なのに、水球シーンがほとんどなし。どんなオチよ! と、べっくらこいた。
舞台になっている国は、ロシア語を使っているけど「どこ」って名指しはしていないのもいいのよね。どこそこって名指ししないことによって、こういう差別が残る国はまだまだたくさんあるから、自分の胸に手を当てて考えておくれ、って言われてるようなの。
ここまでのことはないけど、いや……日本にもこれはある、とか意識できる親切設計。
だってさー、ゲイゲームズが日本開催っていう設定、そもそも無理があるもの。同性婚はおろか、夫婦別姓すらもめてるわが国よ……(泣)。あ、唯一の日本キャスト、ブリアナ・ギガンテさんが冒頭から登場いたしますので、ブリアナさんファンの方もぜひですよ〜。
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■シャイニー・シュリンプス!世界に羽ばたけ
ストーリー/東京で行われるゲイゲームズのため、飛行機に乗り込んだシャイニー・シュリンプスの面々。ところが、経由地の極北の国で、とんでもない騒動に巻き込まれ………。
監督:セドリック・ル・ギャロ、マキシム・ゴヴァール
出演:ニコラス・ゴブ、ミカエル・アビブル、ブリアナ・ギガンテ ほか
配給:フラッグ
公開:2022年10月28日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
文/よしひろまさみち Twitter@hannysroom
イラスト/野原くろ Twitter@nohara96