映画ライターのよしひろまさみちが、
今だからこそ観て欲しい映像作品をご紹介するコラム
「まくのうちぃシネマ」第60回目
夏の終わりの……ハーモニー!(ここで反応する方はあたしと同世代ね)とはいえ、なんすかこの酷暑。残暑じゃないレベル。なので、夏の定番ホラーを紹介しましょう。それも、今年6月にアパレルブランド「GU」からコラボTシャツが発売されて話題となった、レジェンド・ホラー・キャラの一人。『チャイルド・プレイ』(88)の殺人ドール、チャッキーがタイトルロールのドラマシリーズ『チャッキー』。8月からシーズン3が配信開始されましたが、これ、観ている人たくさんいないと思うのでダメ押しです。というか、観て。おもしろいうえに、きっちりマイノリティネタ満載。
そもそもなんですが、今シリーズの製作総指揮・脚本を担当した、チャッキーの生みの親ドン・マンシーニは、オープンリーゲイなんですよ。だから、『チャイルド・プレイ』シリーズにはクイアのエッセンスがちょいちょい入っているのね。でも、シリーズが最高潮だった80〜90年代はそれをはっきり描くことが許さなかった時代だったから、このドラマシリーズでは思いっきり炸裂させてるの〜。
軽くストーリーを紹介すると、人形アートが趣味のゲイの少年がゲットしたヴィンテージ人形=チャッキーが街の人を殺しまくるのがシーズン1。教会の寄宿学校に逃れたチャッキーが新たな殺戮を繰り返すのがシーズン2。で、最新のシーズン3は大統領の息子の心の拠り所になったチャッキーがホワイトハウスのみならずワシントンDCで大暴れ。もうハチャメチャ。
このドラマシリーズで最高なのが、いわゆる死亡フラグが立ったキャラ(シーズン1だと保守的&暴力的な主人公の父親とか)が、容赦なく、そしてあっという間に消されること。不謹慎だけど観ていてスカッとしちゃうのよね……。おまけに、旧作のファン世代にも訴求することも。シーズン1からして『チャイルド・プレイ』でのチャッキー最初の持ち主だったアンディを演じたアレックス・ヴィンセントが、同じ役で登場するほか、懐かしのエピソードに尾ヒレ背ヒレをつけて描いていること。
さすが、やることがオリジナルのクリエイターよ。ほんっと見事なまでに虹色なストーリー&設定で血みどろなのよ〜。
『チャッキー』シーズン1〜3
製作総指揮・脚本:ドン・マンシーニ
出演:ザカリー・アーサー、ビョルグヴィン・アルナルソン、アリヴィア・アリン・リンド、ブラッド・ドゥーリフ、ジェニファー・ティリー ほか
配信:Huluにて独占配信中
文/よしひろまさみち X@hannysroom
イラスト/野原くろ X@nohara96
記事制作/newTOKYO