【谷中銀座×よしぼー】 シティボーイと散策デート/歩きながら、他愛もない話をしよう。ちょっとそこまで。

ゲイ当事者のよしぼーのカミングアウト

空の色、風の匂い、街の温もり。
歩幅を合わせて話をすると、等身大の飾らない相手の生き方が感じられる。
シティボーイの好きな街で、ちょっとだけぶらぶらデート気分を味わうこの企画。今回は、自分らしくマイペースに歩むよしぼー君と「東京・谷中銀座」を散策しながら、他愛もない話をお届け。
――さぁ一緒にちょっとそこまで。

――幼少期の自分と暮らしてきた片田舎の風景。

北海道出身で地元は片田舎。海沿いの街だったので風が強く電車は一時間に一本来るか来ないかで。昔、住んでた家のすぐ近くに流れてる川には、冬になれば毎年白鳥が足を運ぶようなそんなのどかな風景のある場所でした。
当たり前の光景だったので、どこが好きってゆーのは特にないんですが、「生まれ育った街」なので、やっぱりたまに帰ると落ち着くし、とても愛おしい気持ちにはなるかな。
そんな街で育った僕ですが、小さい頃はとにかく内気な人見知りでした(笑)。今も人見知りが中々なおってはいないんですが、子供時代はもっと酷かった気がします。

ゲイ当事者のよしぼーのインタビュー

――ゲイの自覚。高校二年で見つけた掲示板。

ゲイだと自覚したのいつなんだろう? 恐らくなんだけど…高校に入ってからくらいかな。
僕、高校までケータイを持たせて貰えなかったんですよ。やっとこさ手に入れた一年生の時は、親がリミット機能をつけていて、すぐ上限額に達していつも止まってばかりで(笑)。それで、ようやく高校二年生に上がった頃にパケ放題プランに変えてもらうことができて、「ネットサーフィン」ばかりの毎日(笑)。そこで偶然ゲイの掲示板にたどり着いたのが最初だったんだよね。
そこから色々な知識を得ることが出来て、自分の性対象が女性ではないんだな、と自覚したり。元々男性を目で追っていた傾向があったりとかもしてたので再認識ってとこです。でも、ゲイってことに不安を覚えるとか、困惑するとかってゆーことはなくて、ぶっちゃけ言うと「男性同士の営み♡」を試してみたい気持ちのがめちゃくちゃ強かった(笑)。

――世の中面白い? 僕のカミングアウトエピソード集。

17か18歳の時に初めてカミングアウトしたかな。当時のバイト先の女性の先輩に。なんか凄く仲がよくてこの人になら言えるかもって。それで、カミングアウトしたら思いのほか、すんなり受け入れてくれてさ。でも、やっぱりカミングアウトするのは凄く勇気がいったし、怖かったのは本当。ドキドキした。その先輩とは今でも仲良しですねー。
ちなみにカミングアウトだともう一つエピソードが。また仲の良い女友達にゲイだと言ったら、「私も女性と付き合ったことあるわよ」と既婚者子持ち女性に逆カミングアウトされたこともあって、世の中面白いなーって思っちゃいますね(笑)。

ゲイ当事者のカミングアウトのインタビュー

――憧れの東京生活での実態と谷中銀座散策。

上京しようと思った理由か…。地元北海道は好きだけど、いつか東京で生活してみたいなっていう一種の憧れは持っていて。それで、たまたま転職をするのを機に、東京の会社での採用が決まって、もうそれは即決。何の迷いもなく、上京を決めたんです。
そんな東京暮らしなんだけど、普段は仕事してあとは家に帰るだけ。休みの日でも基本おうちの中にいるのが好きなので、予定がない限り極力家から出たくないという(笑)。誰かーー僕を連れ去って下さいーー(笑)。
あ、でも谷中銀座の下町な風景はどこか落ち着いていて、また行きたい場所。気にはなっていたのに初めて訪れて、もっと色々とこの街を見てみたいなと。んーやっぱりデートで行きたいね!

――どんな大人?どんな自分?この先はどう歩む?

今僕はどんな大人なんだろう。誰もが思うかもなんだけど、子どもの頃に思い描いていた理想像とは全然違う気がする。おっきな会社に入ってお金持ちになっていて…あとは…(笑)。要は理想と現実は違うんだなって成長して実感しました(笑)。
ただ、あまり人には流されず生きてるなぁーっては思います。属さず群がらずってゆーか、とにかく我が道な感じで。これが自分らしいっちゃらしいのかもしれないなって。
あと理想と現実は違うから、将来のことはあまり深く考えたりはしないんだけど、親孝行だけはしたいかなってのが本音。今は東京で生活するようになって、家族に会えることが減ったけど、いつかちゃんと両親に「ありがとう」って伝えられて、親孝行していくのが夢…というか、そんな人になりたいかな。

(散策デート×あとがき)
古き良き味わいの残る谷中銀座の商店街。
夕やけだんだんの階段付近の緑濃い景色が夏を感じさせてくれ、下町風情の中の散歩は、なぜだか胸の内をすーっと語らせてくれた。

セミの鳴き声はやまない。蒸し暑かった昼間は夕方前からポツリポツリと雨粒が振り出し、少しだけ道路を湿らせる。街の匂いは一気に食欲を誘うお惣菜の香ばしさに変わり、夕陽に照らされた通りに、よしぼー君は「お腹空きすぎました!!」とお腹の音を響かせた。

街を歩くだけで、新しい発見が広がる。
シティボーイと散策デート。歩きながら、他愛もない話をしよう。ちょっとそこまで。

ゲイ当事者のよしぼー

■ シティーボーイ#002/よしぼー
■ Twitter@yoshiko1019

聞き役(取材・インタビュー)/村上ひろし
写真/EISUKE
記事制作/newTOKYO