2022年1月7日(金)公開映画「ユンヒへ」で綴られる、母とその初恋の女性が閉じ込めた恋の記憶。

韓国で暮らすシングルマザーのユンヒが受け取った、一通の手紙。母の手紙を盗み見てしまった高校生の娘セボムは、自分の知らない母の姿をそこに見つけ、手紙の差出人であるジュンに合わせる決心をする。セボムに強引に誘われるかたちで、ジュンが暮らす小樽へ旅立つユンヒ。それは20年前の自分と向き合う心の旅でもあったーー。

主人公のユンヒをベテラン俳優のキム・ヒエ、日本人女性ジュンに『ストロベリーショートケイクス』の中村優子、ジュンの伯母役に木野花、ユンヒの元夫に『梨泰院クラス』などのユ・ジェミョンなど名実相伴うキャストに加え、韓国のオーディション番組『Produce101』発のアイドルグループ「I.O.I(アイオーアイ)」元メンバー、キム・ソへが娘セボムを演じる配役にも注目だ。

ーー東アジアに生きる中年女性たちの愛を描き、世界中で絶賛されたラブストーリー

現在35歳である新鋭イム・デヒョン監督が、岩井俊二監督の『Love Letter』にインスパイアされたと語る本作では、ロケ地を北海道・小樽に選び、二人の女性達が心の奥にしまってきた恋の記憶を描き出す。登場人物の心情に優しく寄り添うような小樽の美しい冬景色と、ミステリアスに紡がれるユンヒの恋。

二十年前に、一体何があったのか?控えめな言葉と降り積もる雪に隠されながらも、真実は物語が進むにつれて徐々に輪郭をあらわしていくーー。

2000年代初頭に惹かれ合ったユンヒとジュンは、セクシュアルマイノリティへの理解が乏しい社会からの抑圧もあり曖昧な関係性のまま、韓国、そして北海道小樽市でそれぞれ別の人生を歩むことになる。

今でこそLGBTQのキャラクターが登場する韓国ドラマをはじめとするエンタテイメント作品や、個が個と繋がれるSNSの発展を通して少しずつではあるが自分、そして他者への理解を深めやすい時代だが、20年前は目の前にあるものが全てだったであろう。

自分と同じような気持ちを抱えている人たちが可視化されることもなく、無い存在としてあり続けることが自分たちを守る手段だった時代の中で生きてきたユンヒ。彼女が、娘セボムとそのボーイフレンドの仲睦まじい様子に「もしも、この時代にジュンと出会っていたら」「もしも、こんな風にジュンと過ごせていたら」と憂いた眼差しを向けるシーンは、空白の20年へ募らせた想いの大きさを感じさせる。

2019年の釜山国際映画祭では「久しぶりに映画を見て、胸躍る経験をした。それが韓国で作られた女性たちの愛の物語を描いた映画だからなおさらだ」と絶賛されクィアカメリア賞を受賞。これまで韓国では正面から描かれることが少なかった中年女性の同性愛と彼女達が経験してきた抑圧を真摯に描き出し、韓国のLGBTQコミュニティや女性達から熱狂的な支持を受けた珠玉のラブストーリーがいよいよ日本上陸。

◆ ユンヒへ
2022年1月7日(金)シネマート新宿ほか全国ロードショー
https://transformer.co.jp/m/dearyunhee/
Twitter@dear__yunhee


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記事制作/newTOKYO