2002年12月31日のオープン以来、ゲイカルチャーの代名詞とも言える数々のゲイナイトが生まれてきた聖地「ageHa@新木場STUDIO COAST」。
2022年1月30日(日)の営業終了日が迫る中、一年半の延期を経て11月27日(土)に大型ゲイナイト『G-TOUR -DANCE MEETING-』が開催され、20年間という長い歴史の中にまた一つ大きな名を刻むこととなった。
“GAY×CLUB×DANCE×出会い 全てを網羅する夢のゲイナイトフェス”をコンセプトに掲げ、世代やジャンル問わず訪れた全ての人が楽しめるよう構成された今回、優勝賞金50万円をかけたダンスコンテストをはじめ、ドラァグクイーンによる濃厚パフォーマンスやK-POPパーティ、今年の夏に話題となったツイドルナイトなど、偏ることなく大盛況で幕を閉じた本イベントの模様を、徹底レポート!!
ーーイベントフロアが賑わうその前に、チェックしたかった出店ブース勢揃いの「MARKET」へ!
気温が10℃を下回る中、初参加に胸躍らす来場者の姿も目立ったSTUDIO COAST。開場時刻である23時となり、新型コロナウイルス感染予防対策が記されたアゲハガイドラインに従い消毒・検温を済ませた人たちが、飲み込まれるようにゆっくりと入場を済ませていく。
全長20m超えのメインバーがあるISLANDへと続く入場ゲートを抜けた先には、今年10周年を迎えたLGBT向けの出会い系アプリ『9monsters』から、YouTube「ナイモンチャンネル」の人気配信者たちからなるナイモンボーイズがお出迎え♡
アプリ内に登場したG-TOURスペシャルマッチングページでハウリングをしたユーザーのつぶやきがISLANDスクリーンに映し出されるという粋な演出と共に、ゲイナイトの雰囲気を一気に盛り立てる。
フロア全体が人で溢れんばかりになる前に訪れたのはMARKET AREA。ゲイビデオレーベル『G-BOT』をはじめ、オリジナルブランド『LAC』などを展開する大阪発のビッグサイズ専門メンズアパレルショップ『TENG STORE OSAKA』、日本のゲイマンガ文化を世界に発信するブランド『日本男児』、そして『Bears』の計4店が出店ブースに登場。
柔らかなタッチで描かれたイラストが癒されるBearsのアパレルアイテムは、誰のライフスタイルにも馴染むようなカラーとイラストが印象的(店員さんもゆるふわで癒され~♡)。デートはもちろん、一人街ブラ、ちょっと特別な部屋着としても重宝しそうな一着は、どれも可愛くて迷ってしまう…!
G-BOTでは11月26日に新作ビデオ『G-STARS 藤波敦士』(ちなみにキャッチコピーは“制御不能に漏れるトコロテン”。…やだもう、めちゃ覚えやすい!)がリリースされたばかりの藤波敦士(画像右)と、同じく26日に写真集『SHUKA』を発売したゴーゴーボーイ・SHO(画像左)が商品を購入してくれた方たちに直接お渡し&記念撮影♡
オフラインイベントといった直接の交流が少ないご時世柄もあり、ファンにとっては特別なひとときとなったことだろう。
TENG STORE OSAKAのオリジナルブランドLACでは、アパレルブランドはもちろん、洗顔、髭剃り、保湿など2本で5役を叶えてくれる40代向けスキンケアブランド『LAC HOME』から、ベルガモットが香る「シェーブ&ウォッシュジェル」と「モイストスキンケアセラム」もラインナップ。めんどくさいマインドに寄り添ったアイテムは、朝のルーティンを短縮してくれる心強い相棒となりそうだ。
また、トレンドのクラフトコーラ界隈の中でも最近話題となっている、和漢たっぷり『日々乃コーラ』も販売され、個性的なラベルデザインと、コーラなのに健康的というギャップに通りがかる人たちが足を止めていた。
新宿二丁目にあるバーEAGLE TOKYOグループが展開する、日本のゲイマンガ文化を世界に発信するブランド『日本男児』ブースでは、ゲイ漫画家・市川和秀さんによる新作アイテムがラインナップ。力強いタッチで描かれた筋骨隆々、武闘派ガチムチオヤジが大胆にプリントされたTシャツが目を引く。
ゲイカルチャーそのものをまとったかのような一枚で夜の街に繰り出す開放感といったら…きっと病みつきになること間違いなしだ。
ーーハイレベルなダンスコンテストにフロアのボルテージも最高潮!優勝賞金50万円手にしたのは…
じわじわとフロアが人で賑わいを見せ始める、午前1時。人気ゴーゴーボーイ10名がゲイ御用達のアンダーウェアブランド『GX3』のセクシーな衣装をまといフロアの熱気を高めていく。
そんな中、いよいよ今回のメインイベントとも言える、優勝賞金50万円をかけたダンスコンテストがスタート。
SNS選考を勝ち抜いてきた全5組によるパフォーマンスの審査をするのは、東ちづる、IMALU、MIKEY(東京ゲゲゲイ)、レモンスカッシュ・枝豆順子、レモンスカッシュ・中野上順子、小原たかきの6名。
最初に登場したのは3人組ユニット・凸(トツ)。
ぽっちゃり体型もなんのその!クラブイベントのバックダンサーとしても度々圧巻させてくれているDOARA・KUNI・SATORUの3人。
今回のageHaの大ステージでも培ってきたダンススキルを余すことなく披露し、体全体で表現する息の揃ったヒップホップとそれぞれの個性が光るスピーディなフリースタイルに釘付けに(なんで息切れないのかな)。まさに1組目にふさわしいパフォーマンスとなり、ダンスコンテストのスタートを大いに盛り上げた。
続いてステージに登場したのは、全身ブラックの衣装を身にまとったoi&RYOS。
世界的ダンスコンテスト「World Of Dance Finals 2017」で優勝を果たした、WREIKO率いる「WREIKO FAMILY」にも所属している2人だ。
他のチームとは一線を画す力強さとフェミニンっぽい妖艶さが入り混じったJAZZ FUNKを披露。静と動を感じさせるキレと指先まで神経が行き届いたしなやかさ、何より寸分の狂いなく息の合った動きで会場を魅了した。
チーム名がアナウンスされ一層大きな歓声が上がったのは、韓国のオーディション番組「PRODUCE48」発グローバルガールズグループ・IZ*ONEのダンスカバーを中心に活動を行うIZ*MAN。
東名阪から集結した20~40代からなる16名のフォーメーションダンスは、お互い離れた地で練習をしていることや年齢差を感じさせない正確さ。
IZ*ONEのデビュー曲『La Vie en Rose』からヴォーグ、ヒップホップなど目まぐるしく展開され、最後は同じくIZ*ONE『Panorama』で締めくくる。オリジナル振り付けもアレンジし、期待を大きく上回るパフォーマンスを披露した。
IZ*MANのパフォーマンスの熱気が尾を引く中、現れたのはHOT&COOL。
70~80年代アメリカのトレンドを彷彿とさせるボリュミーなカーリーヘアと大胆なビキニで登場し視線を奪うと(これだけでも面白いインパクト)、ヒップホップのビートに合わせたセクシーかつエネルギッシュなダンスで独特な世界観にオーディエンスを引き込んだ。
それにしても彼らの爽快感。激しい腰使いとキレがものすごくパワフルで見ていて気持ちよかったのは言うまでもない。
そして、ダンスコンテスト本戦最終組として登場したのは、BOYZ*ONE from HOMOLAND。韓国ガールズグループ・MOMOLANDの世界的ヒット曲『BBoom BBoom』のサビダンスに合わせたキュートな笑顔で会場を鷲掴みにした勢いそのままに、IZ*ONE『FIESTA』へと繋ぐ。
鮮やかなスーツに身を包み披露されたオリジナル構成でのフォーメーションダンスはもちろん、弾けんばかりの笑顔を浮かべて踊る彼らの姿は観ている人を幸せな気持ちにさせてくれる、まさにアイドルの鑑のようなステージングにフロアでは彼らのスローガンが数多く掲げられた。
全5組のパフォーマンスが終わり、審査員は審査のために一旦離席。
その間、一般社団法人Get in touchから「東京パラリンピック2020」開会式にも出演した大前光市&だうんしょーず、司会のドリアン・ロロブリジーダを交えたスペシャルなステージが繰り広げられた。
“ちがい”をハンディにするのではなく、特性としてアドバンテージにできる、“ちがい”をおもしろがる社会がいい。そんな「まぜこぜ」なメッセージが込められたダンスステージには、力強さがありながらも優しい雰囲気が漂い、拍手喝采を浴びた。
ダンスコンテストの審査を終えた審査員が再び入場すると、いよいよダンスコンテストの結果発表へ。それぞれのチームの個性が光る甲乙付け難いパフォーマンスとなった中で、審査員の心と優勝賞金50万円を掴んだのは…「IZ*MAN」!
メンバーやイベント運営スタッフ、応援してくれたオーディエンスに感謝の気持ちを伝えた上で優勝した喜びを全員で分かち合った後、ステージ裏で優勝賞金50万円の使い道を聞かれたメンバーは「交通費です♡」と満面の笑みを浮かべながら、答えてくれた。
ーーオールナイトイベントって、やっぱりアゲ♡ 王道、個性派、新世代が一挙集結したパーティフロア!
ダンスコンテストの熱気冷めやらぬARENA AREAでは、間を空けることなくナイモンボーイズ、ゴーゴークイーンズ、ゴーゴーボーイが立て続けにフロア一体を盛り上げる!
ナイモンボーイズは、9monstersの属性さながら様々な体型や顔立ちをした人気を集めるモデルらが大きなフラッグを振りかざし、それぞれの良さが引き立つGX3のエロかわいい衣装に身を包み登場。ゴーゴーボーイとはまた違う愛嬌溢れるステージングを彩った。
イベント終了まで残り2時間と迫った4時過ぎには、ダイアナ・エクストラ・バカンザやバビ江ノビッチ、阿武虎といった豪華クイーンらが白を基調としたファビュラスな衣装に身を包み、艶やかなパフォーマンスで見るもの全てを魅了。会場一帯が煌びやかでゴージャスな妖気に飲み込まれた。
ARENAでの最後を締めくくったのは、ゴーゴーボーイたちによるタオルパフォーマンス! 衣装はタオル一枚という露出度MAX、ムラムラ最高潮となった空間ではチップが飛び交う光景が多く見られ、全ステージがゲイナイトの真髄を極めた内容であった。
K-POPの元祖的パーティ「新宿二丁目K-POP NIGHT(通称:ニチョK)」が開催されたWATER AREAは、TWICEやBLACKPINK、IZ*ONEといったガールズグループのキャッチーな楽曲に誘われて、超満員!
ダンスコンテストに出場したHOMOLANDも、T-ara『SEXY LOVE 』と KARA『Mr.』の2曲を披露し、長年のK-POPファンを喜ばせた。BoAの『メリクリ』がかかるとオーディエンスがスマホを取り出し、ライトを点灯させる一幕も。幻想的かつ一体感が心地良い雰囲気に心が酔いしれた人も多かったのではないだろうか。
WATER AREAから程近くのSTAR BARは、今年の夏からスタートした「ツイドルナイト」がジャック。約6時間を2人のDJで回すハードなタイムテーブルの中でも、堂々としたマイクパフォーマンスと往年のEDM選曲で、バーを目的に訪れた人たちをも巻き込み、ノンケ向けクラブイベントでいう音楽箱のような盛り上がりを見せた。
平成10年生まれのフレッシュなオーガナイザー・えいだいが、新宿二丁目におけるクラブイベントのあり方に新しい風を吹かせた結果となり、今後の開催に大きな期待が寄せられそうだ。それにしても朝焼けと共に聴かせる『Pretender』、なんともエモーショナルなラストだった。
イベント終了ギリギリまで盛り上がりを見せていたのは、ISLANDで行われたドラァグクイーンたちが主役のXOだ。
ドラァグクイーンが一堂に会したフィナーレでは、Lady Gaga, Ariana Grande 『Rain On Me』に合わせ、思い思いにドラァグクイーンが体を揺らし、最後はオーディエンスからのアンコールに答えすぎてしまったせいか、穴野をしる子が「これ以上やると、大人の人に怒られるから終わり!」と締め、笑いに包まれる中すべてのフロアがクローズした。
ーー約2年ぶりの開催となった大型ゲイナイト『G-TOUR-DANCE MEETING-』。
長年ageHaに通い続けてきた人にとっては、思い出を振り返る瞬間もあったことだろう。初めてゲイナイトに訪れた人は、これを機にリアルでの交流を大切にするきっかけになってくれたら幸いだ。運営スタッフやキャスト、そしてフロアを埋め尽くすオーディエンスなど関わったすべての人の思いが一夜にして昇華された本イベント。
……これでageHaでのゲイナイトの歴史が幕を閉じると思いきや、なんとビッグニュース! 2022年1月22日(土)にゲイナイト『GLITTER BALL』が開催されることがアナウンスされた。アジアのゲイシーンを変え続け、2017年に終了した『Shangri-La』がプロデュースって本当にスゴイ!!
もう、ここまでの大箱でのゲイナイト&ボリューミーな内容での開催は今後ないってくらいなので、絶対要チェック&見逃さないでほしい!!
なお本イベントの様子はTwitterにてハッシュタグ #GTOUR1127 で振り返ることができる。自らもこのハッシュタグをつけて思い出をシェアしてみるのもいいかもしれない。
◆ GLITTER BALL
日時|2022年1月22日(土)21:00 OPEN
場所|ageHa@新木場STUDIO COAST
※詳細は随時公式ツイッターにて公表されます。
Twitter@Shangri_La_agH
取材/芳賀たかし
撮影/EISUKE
写真提供/一般社団法人 Get in touch、G-TOUR -Dance Meeting-公式、XO
記事制作/newTOKYO