2002年12月29日に「PARADISE BALL」としてスタートしたageHaのゲイナイト。その後、「Shangri-La(桃源郷)」と名を変え、2017年12月16日(土)に15周年と同時に、ファイナルを迎えた。そして、2022年1月末をもって、ageHa / Studio Coastは、20年の歴史に幕を閉じる。
2022年1月22日(土)開催、ageHa最後のゲイナイトとなる「GLITTER BALL」は、ゲイピープルの夢と希望を、音楽とエンタテインメントに乗せて、Shangri-Laの吉田利信さんがプロデュースする。
ーーMUSIC,FASHION AND SOUL…
そのすべてがひとつに昇華するプレミアムな夜の全貌をご紹介する前に、今回はこれまでの大型ゲイナイトの歩みをご紹介いたします。
ーーアジアのゲイシーンを変え続けてきた「Shangri-La」。日本で大型ゲイナイトが誕生するまで。
ageHaの誕生と共に産声をあげ、日本のゲイシーンを牽引してきたゲイナイト「Shangri-La」。
そのプロモーターを務めてきたのが吉田利信さん。アジア最大級の集客を誇るモンスターパーティに育て上げるまでのバックグラウンドはどのようなものだったのだろうか。
ーーageHaというのは世界的にも珍しい、大小合わせて5フロアで構成されている巨大規模のベニュー(施設)で、つまり5つの異なるサウンド(イベント)を同時にフィーチャーできるわけです。
それがまさに一度に複数のゲイナイトを体験できる「大人の夜の遊園地」なんです。ニューヨークで僕が体験した臨場感を最大限に活かせる設備が整っている最高のステージでもありました。
26歳の頃からジュリアナなど一般のマネージメントの仕事に携わっていた吉田さんは、ニューヨークに出張する機会が多く、ゲイナイトの本場で様々なゲイクラブに通っては、下半身を刺激するようなパワーと楽しさを目の当たりにし、日本でもガタイ系のゲイナイトができたらと常々思っていたそうだ。
そこで最初に開催したゲイナイトが、日比谷のラジオシティでのイベント。今では定番になっているガタイ系が脱ぐ日本の野郎系ゲイナイトの元祖となり、その後、新木場に日本最大級のエンターテインメント・スペースageHaがオープンしたのにあわせ、大型ゲイナイト「Paradaise Ball」をスタートさせた。
Paradaise Ballは共同オーガナイザーたちの方向性の違いから、2年近くで終了となった。
だが吉田さんは、週末になると3000人のガタイ系やマッチョが集まるゲイナイト[ROXY]やDJジュニア・ヴァスケスの箱[SOUND FACTORY]に感化され、ダンスフロアの奥にタイプ別のマッチョたちが集まる複数のエリアが存在するニューヨークのテイストと臨場感を再現すべく、2005年に「Shangri-La」を誕生させたのだった。
Shangri-Laの勢いは止まることがなかった。
2016年開催の[MUSCLE BEACH]では集客が5000人に達し、駅までお客さんが並んだ。心と体を解放して、日頃のストレスを発散するための驚きと感動の空間が散りばめられていた。
ゴーゴーボーイがアリーナのステージに立つことが憧れとなり、各界のトップDJたちの織りなす「音楽の旅」に、思い描いていた理想の空間と音楽を提供する夢を叶え続けていった吉田さん。気づけばそれは、ニューヨークの真似ではなく、日本独自のイベントとして成長していったのだ。
だが、2017年12月、15周年開催を区切りに吉田さんはファイナルを決意する。
ーー次世代への期待と願いを込めた終了。そして再び、伝説が未来へとスタートする日。
なぜ、年々集客も増えていた大型イベント「Shangri-La」を終了させるのか。
吉田さんは、このまま続けることは可能だったが、ただ時代と共にトレンドは変わり、世代交代が必要だと言う。いつまでも居座り続けるのでは次の世代が育たない。別の新しいものが生まれるチャンスのために、そう決めたのだった。
ーー日本にゲイナイトが誕生した頃は、僕らオーガナイザーはみんな当時30歳そこそこの年齢で、ニューヨークで本場のゲイナイトを体験して刺激を受けて、「GOLD」「ミロスガレージ」「YELLOW」「日比谷 ラジオシティ」などでそれぞれの感性でやりたかったゲイナイトを誕生させてきました。
そして長い時間をかけて、わざわざ海外に行かなくてもクオリティの高いゲイナイトを体験できるようになりました。もちろん、今でもニューヨークのゲイナイトはさらに進化を遂げていて素晴らしい空間を提供し続けているし、人種差別やゲイ差別の歴史を踏まえた上で誕生したソウルミュージックをルーツに成り立つ本場のゲイクラブは本質が日本とは違っているので、経験できるなら足を運んでもらいたいと思っています。
また、クラブの楽しみ方も一晩中踊り続けるものからステージ・ショーを観に行くものに変わりつつあったり、クラブ文化を支えてきた団塊の世代がすでに40代後半に突入して人口も減少してきて、現実問題としてクラブに足を運ぶのを卒業する人も増えました。
これまでの「大箱で開催するゲイナイト」を無理に続けていくのではなく、今の「出会いはクラブではなくSNS」という20代でも心から楽しめて足を運びたくなるような、時代のニーズに合った形へとクラブも変化しなければならない変革期を迎えたのだ思います。
だけど、人間はステップアップしたいと思う生き物なので、今の「なんでもスマホで間に合う」時代はやがて「眺めているだけで満足していたけれど、実は何も得られていない」ことに気がついて飽きがくる。
再び「自分から欲しないと手に入らないもの、刺激を求めて自ら出向く」時代が戻ってくると信じています。
そして、Shangri-Laの終了から約4年。
吉田さんのバイタリティーを支えてきた生涯のテーマ「思い出づくり」は変わることなく、復活を果たす。
Shangri-Laプロデュース「GLITTER BALL」と題したageHa最後のゲイナイトは間違いなく、伝説の一夜となることだろう。
ーー今回の「GLITTER BALL」は、私の30年に及ぶゲイパーティ・イベントをオーガナイズしてきた人生の総決算になるでしょう。
この日は、MUSIC, FASHION AND SOUL…ゲイピープルの夢と希望を、音楽とエンタテイメントに乗せてお届けします。
そして、驚きと感動の夢の空間で、大人の夜のWONDERLANDを存分にご堪能くださいませ。
◆ GLITTER BALL
日時:2022年1月22日(土)21:00~6:00
会場:ageHa|東京都江東区新木場2-2-10
料金:一般 4000円 / 9monsters Discount 3000円 / U29割 2500円(要証明)
※入場の際全ての方のIDチェックがございます。顔写真付きの身分証明書(生年月日記載)をお持ち下さい(コピー不可)※各VIPエリアは事前予約制なので、詳細は公式サイトをご確認ください。※新宿二丁目から無料シャトルバスも運行。詳細は公式ツイッターをご確認ください。
Twitter@Shangri_La_agH
http://www.ageha.com
※新型コロナ感染対策の一環として、政府、都より要請され、連絡先の登録をお願いしております。前売り券購入以外の方は、スムーズなご入場のために、事前に登録をお済ませください。
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取材/みさおはるき
写真/EISUKE
文・編集/村上ひろし(newTOKYO)
記事協力/Badi©️TERRA PUBLICATIONS INC.
※このインタビューは、月刊バディ2017年1月号に掲載されたインタビューを再編集・再収録してお届けしております。