LGBTsカップルの2020年最新同棲事情も♡当事者視点のライフサポートが人気、IRISで「自分らしい」暮らしと働き方のヒントを見つけて!

全国的にLGBTsへの認知・理解が広がりつつあった2015年にパートナーシップ制度(各自治体が同性カップルを婚姻関係相当であると証明する「同性パートナーシップ証明」を交付するもの)をいち早く導入した世田谷区。多様な生き方を認め人権尊重を啓発する取り組みを続けている先進的な自治体に、主にLGBTs当事者の方を対象とした不動産仲介・ライフプラン支援などを行う株式会社IRIS(アイリス)がある。

「お客様と同じ目線でLGBTs当事者のライフプランのサポートがしたい」と話すのは代表・須藤あきひろさん。オフィスはLGBTsアライを示すレインボーフラッグや企業ロゴが大々的に装飾されていることもなく、クローズの当事者でも訪れやすいのも特徴だ。LGBTs当事者視点から考えられたプライバシーの保護、そしてスタッフが当事者もしくはアライという会社の体制を知ったLGBTsカップルを中心に相談件数が増えているそうだ。

昨年末からドラマ・映画などによって当事者のみならず世間からも注目されている、LGBTsの暮らし。今回はIRIS株式会社にしかできないLGBTsライフサポートを伺った。

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――自身の経験から、セクシュアリティに悩むLGBTs当事者、そして自身が「自分らしい」ライフを送るために 「IRIS」がスタート

IRISを立ち上げることになったきっかけは、セクシュアリティにより自分自身を偽って生活していた辛い時期があったことが大きく関わっていると思います。高校生までは女性を恋愛対象として見ていたのですが、18歳の上京したタイミングで性自認が「男性として男性が好き」なゲイだと気づいたのです。当時は自分がゲイであることに戸惑いや混乱はあったものの相談できる相手がいなかったので、自分が思ったことを素直に言葉にできないストレスをため込む日々が続きました。社会人になってからは彼女がいることを装ったり、好きな女性のタイプを予め設定しておいたり…周囲の人たちと同じであろうとするのに必死でしたね。

当時、仲良くなったゲイの友人にこの話をした時「僕もそんな時期があったよ」と共感して話を聞いてくれるトピックスが意外にも多くて、自分と同じような悩みを抱えて働く人も少なくないのだなとLGBTs当事者の生き方について考えさせられました。そんなある日、勤めていた金融会社の上司に自身のセクシュアリティがばれてしまい、それを他社員にアウティングされるということが起きたんです。普段話すことのない社員でさえ、私がゲイであることを知っている空間に居ざるを得ないことや取引先の方とお会いした際に同行した同僚が私のセクシュアリティに触れた話を振ってくるという労働環境に置かれたのが心労となって、最終的には辞職することを決意しました。

退職後に「自分らしく働く」ということを真剣に考えた時、自身の性に対する悩みをクリアにした上で私と同じようにセクシュアリティに関する悩みを抱えたLGBTs当事者の手助けをしたいと思うようになり、ファイナンシャルプランナーの資格保持者の視点を踏まえた生活に役立つ情報 を発信するウェブメディア「IRIS」をまず立ち上げました。それから株式会社IRISが任意団体として設立されてから今年で7年目、法人化してからはおよそ5年目になります。

法人化するタイミングで不動産業界へ進出したのも、私自身を含めてLGBTs当事者が「自分らしく」生きる暮らしのサポートをしたかったから。今から10年前のことになりますが、当時付き合っていた彼氏とワンちゃん1匹の同棲生活をスタートさせるためのお部屋探し本当に大変な経験をしました。その時は、「LGBT」という言葉が世間一般的にも少しずつ認知されはじめたぐらい。ただメディアなどをはじめ、昨今の様にドラマや映画といったコンテンツとして大きく取り上げられているという訳ではなかったので、LGBTに対する正しい理解が進んでいる社会とは言えませんでした。そのため2人で入居したいと考えていた物件も男女カップルばかり優先的に入居審査が通り、私たちのような入居前例がゼロに近い同性カップルは入居できず次の物件を探さないといけないということが何度かあったんです。また、たとえ審査が通りそうになったとしても、入居条件に加えてプラス1ヶ月分の礼金を支払ってくれと言われたことも。欧米では家賃を支払う経済力が最重視され、次に入居する人の人物評を見るのが一般的ですが日本は逆、不遇な対応を受けることが度々ありました。あと家賃が約12万以上で1人当たり支払う金額が一人暮らしの家賃に相当する場合、経済的に考えて同性2人で住む必要は無いと管理会社などに判断されてしまうことが多いんですよね。ただLGBTs当事者カップルはルームシェアではなく、あくまでも同棲というスタンスでいるわけであって、そこにお互いへの恋愛感情があるわけですよ。

こういったお部屋探しの経験を周囲のLGBTs当事者の友人に相談すると、やはり同棲をするに当たって部屋を借りることが難しいとの声をたくさん挙がりました。クローズの方は特にこういったことがネックになって同棲に踏み出せないことが多かった。真剣に付き合ってい2人が同性同士なだけで薄遇されるのはおかしいと感じ、性的指向に配慮した不動産仲介会社をリサーチしたのですが、見つからなくて。「だったら自分で設立してしまえばいいのでは?」と思い不動産事業をスタートさせ、現在のような事業形態になりました。

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――LGBTs当事者インサイトならではのお客様と同じ目線に立ったライフサポートとは? 

弊社に所属するスタッフがLGBTs当事者やアライであるのは特別意識したわけではなく、LGBTs当事者をはじめ皆が自分らしく生きられる社会づくりに貢献しようと取り組んだ結果、このような組織形態になったというのが正しいかもしれません。元々は私が周囲のゲイの友人に声をかけて設立された会社なので、当事者ばかりになるのは必然的ですよね(笑)。仮にLGBTs当事者を優先して雇用するというようなことがあったとしたら、ジェンダーで雇用の線引きをしているのと同じことで間違った行為だと思いますし、当事者だからといって何か特別な待遇を受けることができるということはありません。制度らしい制度といえば不動産プロフェッショナルになるためのスキルアップ研修や、性のあり方や当事者の気持ちを理解するための研修ぐらいですかね。

また、働き方の面では多様化に力を入れていて、私自身このオフィスに来るのは久しぶりです。普段は新宿のカフェなどで仕事をしており、スタッフに対してもリモートワークを推奨しています。オフィスへ出退勤することなくPC1台で業務に従事できるという面では一般的な企業の勤務形態と比べて融通が効きやすいのではないでしょうか。またパラレルキャリアを推奨していますので、ライフの選択肢を広げることもできます。

ただ、このように個に重きを置かれるワークスタイルの中でも「お客様と同じ視点に立って考える」ということは、スタッフ全員が共通して意識していることです。不動産業界って強気な営業マンばかりなイメージが先行してしまいますが、あくまでお客様が安心して住めるお住まいを提供することであって、契約ノルマを達成することではありませんよね。IRISが掲げているミッションを達成した上で、売り上げが後からついて来るという理想的な循環を目指して日々お仕事をしています。

株式会社IRIS代表の須藤あきひろさん(左)、2019年12月に株式会社IRISにジョインした岩井さん(右) 

では、お客様と同じ視点に立って考えるということは具体的にどういうことなのか。例えば LGBTs当事者カップルのお客様にも色々な考えを持つ方々がいて、「同棲」という形で入居したいという人もいれば、関係性を伏せて「ルームシェア」という形で入居を希望する方々もいます。前者の「同棲」という形で生活を希望するお客様の場合は、2人のセクシュアリティや関係性を管理会社及び大家さんに明確に伝えた上で、男女カップルと同じ条件で入居できるよう交渉します。一方、カミングアウトしていないLGBTs当事者カップルにとって重荷となるのが保証会社や連帯保証人が必要となる物件を希望するケース。場合によっては保証会社から連帯保証人に連絡が入ることがり、その際に同居している2人の情報を必要最低限なことだけを伝えていただけるよう保証会社に交渉するのですが、ほとんどの会社に交渉していただいた内容で連保証人へお伝えすることにご協力いただいています。マニュアルではなく、LGBTs当事者一人ひとりの声に耳を傾けて、当事者インサイトから各所に条件交渉をするということは、IRISだから出来ることだと考えています。担当したお客様が入居する物件が決まった瞬間の笑顔や「これからの生活が楽しみ」と言うお話しをしていただけるのも、現場で働いているからこそ。何事にも変えがたい最高の瞬間ですね。

――2019年12月に株式会社IRISにジョインした岩井さん
以前は全く異なる職種でデスクワークが中心でした。そのためお客様と顔を合わせてお仕事をする機会がほとんどなかったのですが、今ではヒアリングからお家探し、入居審査手 続きなど一貫して行っています。須藤さんがお話ししたように、やはりお客様のお家が決まった瞬間に立ち会えた時は感慨深いものがありまして、時には嬉し涙が出るほど(笑))。ここまで感情が溢れそうになるのは、同棲して3年目になる彼氏とのお部屋探しが難航した経験があるためかもしれません。大学も違えば出身地も違う男2人のルームシェアに興味本位で入居する際に必要のないプライバシーのことを聞かれた上で、審査が通らないことも多々ありました。そのような経験をしたことを踏まえてIRISという会社を考えた時、LGBTs当事者にとってとても心強い存在だなと感じたと同時に、 僕自身も彼らにとって心強い存在でいられたらいいなと思っています。

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――「自分らしく暮らすことが当たり前の社会に」LGBTs当事者の最新暮らし事情、そしてIRIS の次なるミッションは?

ここまでの話を聞くと「LGBTs当事者同士の同棲は難しいもの」と思われてしまうかもしれませんが、直近1〜2年で不動産業界も大きく変わってきました。その一つがやはりパートナーシップ制度。施行されたばかりの頃は法的な効力がないという点で軽視されていましたが、最近は条件交渉をする際に有利に働く場合が多く、肌感ですがパートナーシップ 制度を利用した同性カップルの入居審査が通りやすくなってきたと思います。背景には、もしかするとLGBTsカップルを題材としたメディア作品が立て続けにヒットしていて、世間的に正しい理解と認知度が高まっているということもあるかもしれませんね。

このムーブメントはお部屋を借りる側のLGBTs当事者同士にも良い影響を与えているなと感じていて、現に年代問わずLGBTsカップルから同棲に関するお問い合わせ件数が増加傾向にあります。自分らしい暮らしへの憧れを現実にしたいと行動する人たちが多くなってきた証拠とも言えますね。好きな人と一緒に住めるということはもちろんですが、家賃や固定費の節約できますし、2人で目標を立てて貯金をするなど、生活の中で小さな幸せをたくさんシェアできるのも同棲ならでは。ただ恋人同士でも異なる環境で育ってきた2人でもあるので、どうしてもお互いの価値観がズレていると感じることもあるでしょう。それが発端となってケンカをしてしまったら…あくまで個人の見解ですが 「対話」から避けずにお互いの気持ちをきちんと伝えることが良好な関係を継続するヒケツだと思っています。また、お一人の方で「誰かがそばにいる暮らしがしたい」という方にはLGBTsフレンドリーシェアハウスというのも続々とできているのをご存知でしょうか? 普段はクローズの方でもお家に帰ったら、自分が思ったことをサラッと言える環境は精神的にため込むストレスも少なくなると思っています。ゲイである視点から考えた時にTVや雑誌に出ていた男の子を「可愛い!」と言えて、そのなんてことない一言が同居人との話題に繋がるのもLGBTs当事者にとっては嬉しいと感じるものだと思うんですよね。

このように日本において暮らしの面での多様化はとても良い方向に進んできていますが、働き方の面で言うとまだまだやれることがあるのじゃないかと思うことがあるんです。幸いなことに、現在IRISのスタッフ応募フォームから弊社で働きたいというメッセージをいただく機会が多くなってきたのですが、同時に自分らしく働けずに悩んでいる人がたくさんいることを改めて考えさせられたんです。社会的にはLGBTsへの理解が進んでいる過渡期であると言われていますが、個に焦点を当ててみるとまだまだ。彼らの思いを受け止めることができる大きな組織に成長して雇用を生むことが、IRISが目指すネクストステップです。

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株式会社IRIS
https://iris-lgbt.com
Twitter@Fp07672818

記事作成/芳賀たかし(newTOKYO)
撮影/新井雄大 Twitter@you591105

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