時代と性別を超越したクロスドレッシング・カルチャー展「装いの力-異性装の日本史」9月3日より開催!

日本には古くは「古事記」に登場するヤマトタケルをはじめ、江戸時代のファンタジー小説「南総里見八犬伝」の毛野だったり、どの時代にも異性装で活躍するキャラクターが登場する。また、能や歌舞伎、近代では宝塚歌劇団など、異性装による物語や芸能が民衆に親しまれ、日常で目にするカルチャーのアニメや漫画にも多くのキャラクターが登場している。

そんな日本の異性装の貴重な歴史的資料に触れることができる『装いの力-異性装の日本史』が、2022年9月3日(土)〜10月30日(日)までの期間「渋谷区立松濤美術館」で開催される。歴史を追う形で8章に分かれた展覧会構成で、日本人のDNAに根付いた異性装の軌跡をたどる。

《振袖 白縮緬地梅樹衝立鷹模様》江戸時代(18世紀)重要文化財 東京国立博物館【後期展示】Image:TNM Image Archives
落合芳幾(画)《東京日々新聞 969号 》明治8(1875)年3月 東京都江戸東京博物館【前期展示】

ーー異性装は古代において現代でいう「尊い」「萌え」の感性であったかもしれないし、性別を超越した美というカリスマの表現であったかもしれない。異性装というフィルターで洗練され形式化されたセクシュアリティの表現でもあるし、より風俗的なジェンダーの追及であったこともあるだろう。

本展では、絵画、衣裳、写真、映像、漫画など様々な作品を通して各時代の異性装の様相を通覧し、性の越境を可能とする「装いの力」について考察。特に現代では森村泰昌の作品やダムタイプのパフォーマンス記録映像の展示のほか、1989年12月に始まったドラァグクイーンによるエンターテインメントダンスパーティー「DIAMONDS ARE FOREVER」メンバーによる、特別インスタレーションも展開。

森村泰昌《光るセルフポートレイト(女優)/白いマリリン》1996年 作家蔵(豊田市美術館寄託)
シモーヌ深雪&D.K.ウラヂ《DIAMONDS ARE FOREVER ROYALWIG》2018年 DIAMONDS ARE FOREVER

この他、会期中には様々な無料イベントも予定されている。

室町時代や桃山時代から近代まで、東京国立博物館所蔵の重要文化財や重要美術品、普段は公開される機会のない個人所蔵品など、貴重な展示品の数々が全国から一堂に会し、美術展としての魅力も兼ねた「装いの力-異性装の日本史」。歴史の中であまたの人々を虜にしてきた「異性装」の歴史を、ぜひ体感してみてはいかがだろうか。

篠山紀信《森村泰昌 『デジャ=ヴュ』の眼》1990年 作家蔵
濱谷 浩《東京浅草 国際劇場 男装の麗人ターキー リハーサルの夜》1938年 東京都写真美術館

■装いの力-異性装の日本史
日時|2022年9月3日(土)~10月30日(日)午前10:00~18:00 (金曜日は20:00まで)
場所|渋谷区立松濤美術館
※会期中、A期間/B期間/C期間/ D期間に分けて一部展示替えがあります。
※土・日・祝日および会期最終週は事前予約制となります。
https://shoto-museum.jp

記事制作/みさおはるき(newTOKYO)