人生は面白い。ジューシィー!25周年の歩みと、ピンクベア長谷川さんへの追悼イベントレポート。

オープンマインドな交歓のオールミックスパーティーとして、1997年7月30日にスタートした「ジューシィー!」。クラブだけに留まらず、美術館、東大安田講堂前、温泉など様々な場所を舞台にサーキットしてきた。

そんなイベントが、7月24日(日)に『ジューシィー!25th Anniversary feat.Pink Bear長谷川 le nouveau monde amoureux 愛の新世界』を開催し、久々の顔ぶれに話に花を咲かせたり、乾杯する人々の姿があった。
25周年のお祝いとピンクベア長谷川さんのメモリアル、どこか同窓会のような雰囲気が立ち込めていたのはいう間でもない。

当日のラウンジは、長谷川さんのフォトブース、ジューシィー!やピンクベアカフェの映像などが振り返れるスペースになっており、25年間の歩みがアルバム写真でもめくることができた。
タイムスリップでもしたかのような無数の写真からは、当時の貴重な光景だけでなく、懐かしい面々の笑顔も垣間見れるコーナーだった。

壁一面には、長谷川さんのインパクト大なスナップが大きく貼られ、来場者が思い思いのメッセージが綴れるメモリアルに。記念撮影をしつつ、長谷川さんのアルバム写真を見つめ、思い出を語る。そんな来場者の姿が目立った。(ちなみに、若かりし頃の長谷川さんの写真はびっくりするほどプレイボーイ感満載!)

この日のショーステージでは、ジューシィー!でお馴染みのメロディアスやオナン・スペルマーメイドをはじめ、この日のために再結成されたOTA CREWによるライブパフォーマンスが繰り広げられた。

一部のショーでは、ピンクベア長谷川さんにちなんだプログラムが開催。
GO Revolutionは、長谷川さんのために自身のゲイパフォーマンスに火をつけた、フレディ・マーキュリーの「We Are The Champions」ショーを行った。“最後まで闘おう!僕らがチャンピオンなんだ!”というメッセージが、HIV/AIDSの最前線で闘ってきた長谷川さんに届くように。

その後、「あなたはご存知ないかもしれませんが、私の血にはあのエイズを引きこすHIVが混ざっておりますの」と胸をつくワードを朗読する長谷川さんの映像(映画「私はワタシover the rainbow」より/一般社団法人 Get in touch提供)が流れ、ずっとゲイコミュニテイのために生きて闘い続けてきた長谷川さんの姿勢に、熱いものが込み上げた。

日本で初めてゲイであることをカミングアウトして牧師となった平良愛香さん(通称エロ牧師/長谷川さん命名)は、二人のエピソードを交えつつ感謝を込めて聖書の一節を贈った。
そして、「長谷川さんと出逢わせてくれてありがとうございます。長谷川さんとの出会いの中で私たちが得たものを今度は私たちが多くの人に広げていくことができますように」と一言添えた。

最後はオーガナイザーであり、長谷川さんの盟友でもあったマダム ボンジュール・ジャンジがフライヤービジュアルと同じ出立で追悼の意を込めたパフォーマンスショーを届けた。
ジューシィー!をきっかけに長谷川さんが女装するベアリーヌ・ド・ピンクが誕生し、HIV陽性者を公表した唯一のドラァグクイーンとのお別れにはどうのような想いがあったのだろうか。その答えは今後も“歓びは伝染する”ジューシィー!で、分かっていくことだろう。

ーー四半世紀を経ていろんな垣根を越えて開催されてきたイベント「ジューシィー!」。
“ジューシィー!は終わらない。ここで、お会いしましょう。(マダム ボンジュール・ジャンジ/映画「JUICY!(2005)」より)”の通り、この先も未来に向かって走り続けていくイベントであり続けてほしいと願う。そして、こうした継続的なイベントや長谷川さんを通して、「今の当たり前」が実は当たり前ではなく、先人たちが築き上げてきた歴史の上になりたっていることも心のどこかに留めてほしいと。

動画/25周年の『ジューシィー!』ってなに?

■ジューシィー!25th Anniversary feat.Pink Bear長谷川 le nouveau monde amoureux 愛の新世界
>Facebook@ジューシィー!
>島崎ろでぃーによるジューシィー!25周年
ジャーナル
※当日の様子は写真家・島崎ろでぃーさんのサイトよりご覧いただくことができます

写真/新井雄大
記事制作/newTOKYO