大阪と京都で9月開催、「第15回関西クィア映画祭2022」14の国・地域から集まった全28作品を一挙紹介!

クィア(Queer)を切り口に、「性」をテーマにした映像作品を上映するお祭り『第15回関西クィア映画祭2022』が、今年9月2日(金)〜8日(木)に大阪(シネマート心斎橋)、9月23日(金)〜25日(日)に京都(ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川)で開催される。

今年のミニ特集のテーマは「ノンバイナリー」。スウェーデンとアメリカの2作品の上映&トークショーが開催予定。また、国内作品コンペティションでは5つの入選作品を上映し、観客の投票で最優秀観客賞が決まる。その他、フィリピンハーフの監督が自身の経験をもとにして作った作品や、フィリピンハーフの高校生が主人公の映画、ろう者と聴者の四角関係を描いた映画など、日本のセクマイの中のマイノリティを主役とした映画を上映することも今年の特徴の一つとなっている。

例年通り、女性同士の関係性を描いた映画も充実し、国内のセクマイ系映画祭では最多となる、14の国・地域から集まった合計28作品が揃う。

ーーミニ特集テーマ:ノンバイナリーで考える、性のあり方と生き方

アンバー、いつまでも
日本初上映|原題:Always Amber|監督:Lia Hietala、Hannah Reinikainen|74分|2020|スウェーデン|スウェーデン語・英語

ストーリー・解説/スウェーデンで暮らすアンバーは、17歳のノンバイナリー。コロコロ変わる外見、揺れ動く人間関係、胸オペしたいって気持ちも変わるのか!? 3年間に渡るドキュメンタリーは、若者の変化の連続を映し出す。

ここにある美しさ
日本初上映|原題:There’s Beauty Here.|監督:Leah Waring Byck|17分|2021|米国|英語

ストーリー・解説/「あなたを女/男とする所以は何か」自分らしいジェンダーのあり方を実践するミレニアル世代のノンバイナリー・トランスジェンダー当事者9名によるひとり語り。個々の語りから見えてくるのは、性のあり方は実に多様で、「正解」はないという、同世代へのメッセージ。

ーー投票で最優秀観客賞が決まる!国内作品コンペティション入選5作品

神谷、ゲイらしいよ?
世界初上映|英題:KAMIYA|監督:濱本真優|7分|2022|日本|日本語

ストーリー・解説/人気タレント・神谷泰斗の“ゲイ疑惑”報道。失踪した神谷本人。心配した交際相手の溝口が探し回るも、世間は、心無い言葉で笑い合う。親しい人のこともネットで確認し合う時代に生きる私たちを、淡々と描く群像劇。

少し未来のある部屋で
英題:Slightly future, in a room.|監督:柳澤公平|16分|2021|日本|日本語

ストーリー・解説/少子化対策の一環で人工子宮の技術が実用化された、近未来の日本。人工子宮の移植を受け、見ず知らずの夫婦の受精卵をお腹で育てている貴志。ある日、貴志のお腹の子の父親と名乗る人が、貴志のもとを訪ねてきて…。

手のひらのパズル
関西初上映|英題:Puzzle in the palm|監督:黒川鮎美|26分|2022|日本|日本語

ストーリー・解説/北陸金沢のローカル雑誌社で働く30代の梨沙。匠と同棲開始後、周囲からの結婚・出産の過度な期待感に心地悪さを感じ、「私にとっての幸せとは何か」と思い悩む。 親友の真子とのある出来事をきっかけに進むこの作品は、金沢の美しい街並みを背景に「私」を見つける物語。

いつかのいま。
世界初上映|英題:ITSUKA ; Someday, now|監督:山田瑛瑠|26分|2022|日本|日本語

ストーリー・解説/生後1週間で、同性夫夫・山田と佐藤のもとにやってきた「いつか」の目に映る世界。子の反応や成長に喜んだり、時には落ち込んだり悩んだり、初めての子育てに奮闘するふたりがつづる、大変だけど幸せな日々の記録。

私たちの、
世界初上映|英題:Ours|監督:伊藤梢|30分|2022|日本|日本語

ストーリー・解説/りょうは親友と2人暮らし。大切な人たちを写真に収め、ひっそりとした幸せの中で生きていた。ある日親友は恋人と暮らすため家を出ると告げた。そこから、りょうの小さくも幸せな世界は、不意に崩壊の時を迎える。

ーー様々な切り口のクィアへの問い。フィリピンハーフやろう者、女性同士の関係性などを描いた国内8作品

世界は僕らに気づかない
英題:Angry Son|監督:飯塚花笑|112分|2022|日本|日本語・タガログ語

ストーリー・解説/群馬県太田市に住む高校生の純悟は、フィリピン人の母レイナと2人暮らし。滞納で電気が止まるなど現在の生活で精一杯で、「卒業後はパートナーシップ制度を利用しよう」と言う同級生の恋人・優助と次第にすれ違っていく…。

ジンジャーミルク
関西初上映|英題:Ginger & Honey Milk|監督:今井ミカ|60分|2021|日本|日本手話・日本語

ストーリー・解説/健斗は淳が好き。淳は玲衣が好き。でも玲衣はあすかとキスしてる。そして、あすかは健斗が好き!?この四角関係、一体どうなる!? 「KQFF2018」で上映した『虹色の朝が来るまで』の、ろう者の今井ミカ監督の最新作。

サラダは人生
世界初上映|英題:salad is life|監督:岡田麻李|34分|2021|日本|日本語

ストーリー・解説/ルームシェアをする女ふたりの物語。3話オムニバス形式で描かれるふたりの日常には、セクシュアリティにまつわる“あるある”も散りばめられている。そんな世の中に追従しない彼女たちの存在は清々しい。

片袖の魚
英題:The Fish with One Sleeve|監督:東海林毅|34分|2021|日本|日本語

ストーリー・解説/主人公のひかりは、好きな仕事につき、理解ある上司や親友と過ごす充実した毎日を送っている。対照的に描かれるのが、外側で会う人々の無知やマイクロアグレッション。その描写は絶妙で、観る側の立場を自然とあぶり出すだろう。

夫=夫
関西初上映|英題:FUFU|監督:山後勝英|16分|2021|日本|日本語

ストーリー・解説/海辺の街で辰紀と佑大は夫夫生活を送る。おはよう、いただきます、ただいま、おかえり、おやすみ。なんでもない言葉を誰より大切な人と交わし合う。ただそれだけ。ただそれだけの日々を送ることが、2人にとっての幸せ。

Veils
関西初上映|英題:Veils|監督:なかやまえりか|19分|2021|日本|日本語

ストーリー・解説/ブライダルフォトを撮ろう。あゆみと紗香は、写真の中だけでも2人の誓いを立てようと決めていた。しかし、指輪も届き、幸せ絶頂の2人に、LGBTQ対応可と謳う店から突きつけられたのは、シングルブライダル2名として対応するとの言葉だった。

自分が自分であるために
世界初上映|英題:to be myself|監督:簑手優|4分|2022|日本|日本語

ストーリー・解説/同性どうしの権利を求める運動や、結婚の平等を求める運動が、ある異性愛者の生き方や選択肢も増やし、結婚の内容や意味も変えていく。そんな、まさにいま日本で起きている時代の変化を、コンパクトに表現する作品。

愛達
英題:loves|監督:稲津勝友|18分|2019|日本|日本語

ストーリー・解説/フィリピンパブ嬢の母をもつ勝也は、黒服の黒田に恋をしていた。ゲイであることと、敬虔なクリスチャンの母から受け継いだ信仰とが、激しくぶつかり合う。フィリピンハーフである稲津監督が、自身の経験を元に、本人と家族の出演でつくった作品。「KQFF2019」最優秀観客賞受賞作。

ーー見逃した作品も再び。トランスジェンダー作品多数の海外長編作品

フリアの週末
日本初上映|原題:Ese fin de semana|英題:That Weekend|監督:Mara Pescio|67分|2021|アルゼンチン・ブラジル|スペイン語・ポルトガル語

ストーリー・解説/出稼ぎ先からアルゼンチンの小さな町に帰ったフリア。久々に会う娘とは小さい不協和音の連続。人生で選択したこと、しなかったこと、その先の光。カンヌ映画祭でも上映された、迷いと希望に満ちた南米発の秀作。

最初の花の香り
関西初上映|原題:第一次遇見花香的那刻|英題:Fragrance of the First Flower|監督:エンジェル・テン(鄧依涵)|103分|2021|台湾|北京語

ストーリー・解説/今は息子と暮らす平凡な主婦イーミン。友人の結婚式で、仲良しだった高校時代の後輩ティンティンと再会する。高校時代からのティンティンの変わらない思いと、そしてイーミンの逡巡。そのどちらをも、丁寧に描いた作品だ。

アグネスを語ること
原題:Framing Agnes|監督:チェイス・ジョイント|75分|2022|カナダ・米国|英語

ストーリー・解説/トランスジェンダーの存在が可視化され始めた、50年代のアメリカ。制作班が発見したのは、当時の当事者の未発表原稿!トランスをめぐる過去と現在を、再現映像とインタビューで語り尽くす思索的ドキュメンタリー。

ノー・オーディナリー・マン
原題:No Ordinary Man|監督:アシュリン・チンイー、チェイス・ジョイント|83分|2020|カナダ|英語

ストーリー・解説/20世紀半ばに、米国で活躍したジャズ音楽家、ビリー・ティプトン。死後に「実は女性だった」とアウティングされた彼を、きちんと「男性」として歴史に刻み直したいと、多くのトランスジェンダー当事者が今集まる。

リトル・ガール
原題:Petite fille|英題:Little Girl|監督:セバスチャン・リフシッツ|85分|2020|フランス|フランス語

ストーリー・解説/男の子として出生登録された7歳のサシャ。願いは、スカートで学校に行き、今を女の子として生きること。でも学校はそれを認めない。子どもの「性と生」を守る為、懸命に向き合う家族をカメラにおさめた貴重な映像。

未来は私たちのもの
原題:Futur Drei|英題:NO HARD FEELINGS|監督:ファラズ・シャリアット|93分|2020|ドイツ|ペルシア語・ドイツ語

ストーリー・解説/ゲイのパーヴィスは、イランにルーツもつミレニアル世代。難民施設で暮らすバナとアモンに出会い、物語が始まる。『セーラームーン』が好きだという、自身もイラン系移民の若手監督の作品。「KQFF2021」上映作品。

ーーユニークな初上映作品が多数揃う、海外短編集!

昼下がりの疑惑
原題:Dudillas|英題:Doubts|監督:Pedro Rudolphi|6分|2019|スペイン|スペイン京語

ストーリー・解説/友人のマリ・カルメンが知人と一線を越えたと言ってきた。「女とヤリたい訳じゃない!」と言いながらまんざらでもない様子。すると彼女、私にあるお願いをしてきて…。「KQFF2021」上映作品。

魔法のガス屋さん
関西初上映|原題:桶妝仙女|英題:Tank Fairy|監督:Erich Rettstadt|10分|2021|台湾・米国|中国語

ストーリー・解説/昔々あるところに、おうちにプロパンガスを届ける妖精さんがいました。密かにドラァグクイーンを夢見る幼いジョジョの元に届けられたのは、クィアになれる魔法のガス!? 台湾が舞台のコメディ・ミュージカル。

それいけ!アレクサ
日本初上映|原題:Sina Alexa, Xander at ang Universe|英題:Alexa, Xander and the Universe|監督:Vahn Leinard C. Pascual|11分|2020|フィリピン|フィリピン語

ストーリー・解説/学校から帰ったアレクサンダーは、クローゼットからドレスを引っ張り出す。カラフルな布を広げ、ウィッグにメイクもばっちり。テレビから聞こえる「ミス・ユニバース」の歓声に乗せてベッド上のスピーチが始まる…。

抱き合うとき
日本初上映|原題:Hold|監督:Marit Östberg|14分|2021|ドイツ|英語

ストーリー・解説/この作品は、BDSMにおける親密さの力学について描いている。私たちの憧れ、痛み、そして完全な静寂の中で一緒にいることについての映画だ。ベルリン・ポルノ映画祭におけるフェティッシュ映画コンペでの受賞作。

秘密の授業
日本初上映|原題:The Note|監督:Jen Nee Lim|16分|2021|シンガポール|英語

ストーリー・解説/新人の高校教師が、クラスの親睦を深めようと、匿名で秘密を共有し合う、という授業を思いつく。でも、一人の生徒が「私はHIV陽性です」と告白したことで、クラスがパニックに陥る。さあ先生、どうする!?

ボーイ・クィーン
日本初上映|原題:Boy Queen|監督:Sai Nyi Min Htut|19分|2021|ミャンマー|ミャンマー語

ストーリー・解説/ミャンマーはヤンゴンの田舎町。親元で暮らすアチッは、ダンスを生業とするドラァグクイーン。定職につき家族を支えることを望む両親に、そして社会に、必死に抗うアチッ。世界の片隅に生きるクィアからのメッセージ。

神の娘ダンス
関西初上映|原題:God’s Daughter Dances|監督:BYUN SUNGBIN|24分|2020|韓国|韓国語

ストーリー・解説/トランス女性のプロダンサー、シンミは徴兵検査の知らせを受け取る。彼女は性別適合手術済みと証明された書類を携えて検査に向かうが、そこで抑圧を受ける。苦境に置かれたシンミは――。

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■第15回関西クィア映画祭2022
[大阪]2022年9月2日(金)〜8日(木)@シネマート心斎橋
[京都]2022年9月23日(金・祝)〜25日(日)@ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川
https://kansai-qff.org
Twitter@kqff_official

記事制作/newTOKYO