【26歳ゲイコラム】就活に悩むLGBTsはとりあえず「リアル」してみれば?ただしエッチして即解散はNG、話はそれからよ 。

ここ数年、新宿や渋谷を歩いていると性の多様性を認める「レインボーフラッグ」を多く見かけるようになった。街だけじゃなく、ウェブやSNSでもアライ企業の求人広告をよく目にする。特にプライドウィークなんて凄いよね。最近では大手企業なんかもダイバーシティ&インクルージョンを宣言しているし、私も日頃からお世話になっているハンドメイドコスメティックを販売するLUSH(最近で言うと「スパイシーラテ」っていうバスボムがお気に入りなの)、そして今年、惜しまれつつも原宿のフラッグシップストアを閉じたGAPもLGBTsフレンドリー企業の一つとして有名よね。どちらのお店にもLGBTs当事者は親近感を持って足を運んでいる人も多いんじゃないかしら。GAP前には芸能事務所のスカウトを待つ若い子なんかもいたらしく、まさに地方の若者が思う「原宿」を代表するスポットだったから、少し寂しい気持ちになったわ。

2015年に認定NPO法人グッド・エイジング・エールズが主催する「OUT IN JAPAN」のスポンサーになったGAPと写真家レスリー・キーが手掛けたプロジェクトはとても意味のあるものだったし、鮮明に記憶に残っている。原宿駅表参道口を出てすぐにあるフラッグシップストアのガラス壁面にはLGBTs当事者達の白黒のポートレートが埋め尽くすかのように貼られていたの。当時クローズだった私も「レスリーに撮影してもらいたい!ここのど真ん中に貼って!」と心の底から思ったんだよね。要するにすっごくカッコ良かった。LGBTsへの「ゲイ=オネエ」なんていう単純なイメージをクールなビジュアル一枚で一蹴した感じがした。きっとノンケの皆さんも私たちに対するイメージが変わったんじゃないかしら。「もしかしたらLGBTsを取り巻く社会環境が変わるかも…」と期待を持った瞬間だった。

前置きがすっごく長くなっちゃったけど、今回は「就活・キャリア」についての話ね。私が就活をしたのは2017年春新卒向けだったから2016年。こんだけLGBTsアライな企業があるみたいな話をしてしまってあれなんだけど、当時はそんなことなかったの。就きたい職業はあったけど、狭き門、かといって総合職採用なんていうくじ引きみたいな人生のレールの上を走らされるのはまっぴらごめんって感じだったし。私の友人の中には2月で内定をもらってる人もいたから、それを知った家族も就活の話ばかりするようになった。まぁ、そんなこともあって周囲の流れには逆らえず、4月1日に就職情報総合サイトに3つも登録したのを覚えてるわ。まぁ3社受けて3社落ちたから一ヶ月足らずでやめた。求人サイト内にフリーワード検索があったんだけど「LGBT」「ゲイ」といった単語で検索しても全く関連性のない会社ばっかり出てくるしね。LGBT求人サイトも見たのは見たけど、どれも「別に私がやんなくても…」なんて思えちゃうその人である必要性がないものばかりだった。最も、山手線の車窓に写った似合わない黒髪・短髪・ダークスーツに何も入ってないビジネスバッグを持った自分が気持ち悪かったのが就活を投げた決め手だったけど。コスプレみたいで若干エロい気持ちになるの(笑)。あと採用担当にイケメンリーマンがいなかったことも大きな要因だったね。

とまぁこんな感じで少なからず、私のように「就活」をする上で服装や髪型にルールがある社会に疑問を持ったことがあるんじゃないかな。トランスジェンダーの方からしたら自分の自認している性と不一致の容姿を「就活生の身だしなみ」なんていって半強制的に強要されるケースもあるはず。あと厄介なのが「面接時の服装について:自分らしい服装・髪型でお越しください」というパターン。フタを開けたら9割テンプレ就活生タイプよ。なんなのよその罠!ゲイを炙りだす気!?と逆切れしそうな時もあったわ(笑)。なんとか内定をもらったとしても、今度は年功序列の上下関係や飲み会に接待、なんていうホモソーシャルな付き合いも出てくる。もちろん、当事者の全員が全員そういうのが嫌いってことはないと思うし、ノンケだって嫌な人は嫌だからね。あくまで高校から帰宅部、大学ではサークルに所属もしていなかった私個人の見解。かといって、カムアしたところで環境が改善されるとは限らないし、入社して間もない関係地が築けていない段階でするとアウティングの可能性も無くはない。個人の為に動く会社なんてそうそうないことを大前提に、考えて行動することをオススメするわ。

就活を辞めてお先真っ暗~なんて思ってたんだけど、案外そうでもないなと思ったのはマッチングアプリでこちら側の人と直接会って話をしたことかな。もちろんゲイ向けね。「9」に牙が生えたようなアイコンが特徴的なあのアプリ♡。「ふざけんな!」なんて言葉が飛んできそうだけど、まぁ聞いてよ。冗談抜きで本当にそう思ってるの。もちろん大学生だったからそれなりにやることはやったんだけど、よくよく考えてみるとあんなにゲイの方たちとお会いする機会が待っていたなんて思った事もなかったし、一夜だけだけど彼らの生き方に少しでも触れる時間があったのはとっても貴重だった。あまり詳しくは言えないんだけど、中には「そのキャリアでそんな素晴らしい仕事に就けているの!?」逆に「その年齢でその生き方どうなの?」みたいな感じで残り60年、いや今は人生100年時代と言われているから80年か。今後の人生を考える上で「何にウェイトを置くのか」の比較対象ができたことが今考えてみると大きかった。そのキャリアがたとえ嘘だったとしても、比較対象が出来ると決断ってすっごく早くなるし目標や将来像が明確になる。焦って、時間がもったいないって思うようになるの。

企業へのOBOGが訪問あると思うけど、彼らが左薬指にリングを通した手で異性の恋人や子供を待ち受け画像にしたスマートフォンをいじっていたらあんまり参考にしない方がいいかも。彼らは異性愛者として「普通」の生活を手に入れるための選択をして、その会社に身を置いてるからね。その時点であなたが自分らしく働ける就活アドバイスはもらえないはず。どうやったらその会社に入れるか、どうやったら内定がもらえるのか、それだけ。それ以前にOBOG訪問で準備する質問って「やりがい」とか「仕事内容」とか彼らの「いかに自分がやっている仕事が社会に役立っているか」をどや顔で聞かされるだけじゃない?逆に彼らのプライベートな部分が見えない限り、時間の無駄よ。そこにこそ何を重要視して生きているのか隠れてるんだから。さっき言った比較対象にできる要素ね。

マッチングアプリにどっぷりハマって一ヶ月間考えた結果、大学3年生の時にインターンをしていたとある小さな出版社で雑誌編集者として週5でアルバイトをすることにした。大学時代に唯一社会との繋がりを自ら作ろうと思えたのがこの会社だけだった。まぁ元々読んでいた雑誌だったしね。本当にやりたいことしかやりたくないわがままな性格。「大学4年生の6月に週5でアルバイトって…。」と今思うとすっごい賭けに出たなって思う。周りの友人が立派な社会人として働く一方、とりあえず来年までフリーターになってもいいやと思えたのは、やっぱりこちら側の人にたくさん会って自分自身の将来について明確に目標を決められたことね。当時は編集者としてキャリアを積むことに人生のウェイトを置くことにしたの。まぁそう決めた二ヶ月後に正社員のお話をいただけたからラッキーだったわ。

こんな偉そうなこと言ってるけれど、一番ゲイコミュニティが盛んなTwitterは2019年の10月になってから始めた。今思えば初めてリアルした2歳年上のK君に勧められるがままに、大学生3年の時に登録しておけば良かった…と強く後悔している。セクシュアルマイノリティという普遍的な共通項があるからこそ強く繋がれるのにその機会をみすみす逃していたなんて…。あんな大きなネットワークで自分のゲイアカウントが見つかるかもしれないなんて思っていた自分が自意識過剰で恥ずかしい。誰も興味ねぇよ!まぁ当時は、とにかくゲイだってばれないようにお気に入りのイケメンの写真もごみ箱に移動して、ウェブの検索結果と予測変換を毎朝消してたくらい心配性だったから無理もないわ(笑)。

話を戻すけどTwitterに登録したのも先の人生キャリアを見据えてのこと。まぁ、もうゲイバレしてもいいやって思えるほど本当の自分を知ってくれている友達(ほとんどノンケだけど)ができて、少しだけ自信が持てたからってのもあるんだけど、一番は出版社でアルバイトをしていた時に決めた目標の姿に限りなく近付けているから。その時決めた目標っていうのが25歳までにLGBTsに関われるフリーライター兼編集者兼カメラマンになること、生意気でしょ? でも今、限りなく近い状態にいるの。もちろん、会社に内緒でこっそり面接しに行ったり、憧れの編集者が勤めている会社にメールをしたり、それなりの行動はしたけど。とにかく「目標を明確にする」って本当に大切。私の次の目標はTwitterでたくさんのゲイの方と関わりを持って、仲間内で仕事ができる環境を作ること。そのことも視野に入れてTwitterを始めておけば良かったわー、詰めが甘かった。そうしたら絶対楽しいじゃん。まぁフォローするのが恥ずかしくて、一日に1人ずつぐらいフォローしてフォローが返ってこないと落ち込む日々なんだけど…。

大分回りくどくなってしまったんだけど、学生や時間に余裕がある時期に自分と同じ境遇、私たちの場合にとってはLGBTsの方達ね。そういう方々とSNSやマッチングアプリ、新宿二丁目でも手段はなんでもいいからとりあえず繋がりを持つきっかけを始められると良いよね。当時の私みたいにゲイ友を作らず、狭い世界で生きていた人は特にね。自分と同じ境遇にいる人がどんな選択をしているのかを知ることが、自分が就きたい職に就く上で一番の参考書になると思うの。マナー講座やキャリアデザイン、就活支援センターに時間を割くのも良いけど、リアルすることも有益。エッチ終わったら即解散じゃ意味ないけどね。ある程度メッセージを積み重ねてから会えば話しやすいはず。

最後に、2021年卒業見込みの学生からいわゆる新卒の一括採用が廃止になるそうね。いきなりルールが変わってスーツでの就活はありません!みたいなことにはならないだろうけど、少しずつでもその辺りの風潮も変わっていくと良いよね。スーツイケメンが見られなくなるのは嫌だけど…ほんとわがままよね。どちらにしても、LGBTsもノンケも自分らしい外見じゃないと、内に秘めている気持ちを伝えられないんじゃないかな。「ライアーゲーム」みたいな就活はこりごり。

よーいドン!で就活が始まる訳ではない分、一年生から自分のキャリア形成を考えなくてはいけない状況はつらいだろうけど、自分がなりたい将来像について深く考える時間を設けざるを得ない環境に身を置けることはとっても幸せなことだと思うのよね。

私も今年中にフォロワーが200人になるように努力するから、これを読んでる方々も何かを努力するきっかけを見つけてくれたら嬉しいわ。ちなみにオネェ言葉で今まで書いてきたけど、私は服装も髪型も男、ただ男として男が好きなゲイなの。ただ見てきたものや読んできたものがどれも女性向け、好きな作家は加藤千恵さん、好きな映画は「食べて、祈って、恋をして」。書く時だけはオネェ言葉の方がすんなり書けるの。不思議よね。これも多様性ってやつかしら。

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記事作成/芳賀たかし(newTOKYO)
イラスト/あさなさくま

あさなさくま
漫画家・イラストレーター。ゲイである自身の日常を描いたコミックエッセイ「あさな君はノンケじゃない!」が、第2回「ピクシブエッセイ新人賞」を受賞。セクシュアリティを問わず共感を呼ぶ作風と、アパレル企業勤務の経験を生かしたファッション描写に注目が集まっている。著書に「あさな君はノンケじゃない!」(KADOKAWA)、共著に「cawaiiコーデ絵日記 from cawaii_gram」(星海社)がある。

Twitter@sakuma_asana Instagram@fashionaholic_girls