LGBT向け求人サイトを運営する『株式会社JobRainbow』と、セクシュアルウェルネスをサポートする『株式会社TENGA』がタッグを組んだ、日本初のLGBT向けオンラインキャリアアップスクール『PRIDE SCHOOL』が開講した。95名の応募者から選ばれた24名が3クラスに分かれ、およそ一ヶ月間「自分らしくはたらく」をテーマに、様々なプログラムを受講する。クラスにはJobRainbowの社員が各クラスの担任として着任することで、オンラインではあるものの“学校”さながらの距離感を感じることができるのも魅力的だ。
主催者企業を代表して星賢人さん(株式会社JobRainbow)と西野芙美さん(株式会社TENGA)、ゲスト講師のみたらし加奈さん、西原さつきさん、平山裕三さんに『PRIDE SCHOOL』に対する想いを伺った。
――ただ講義を受ける場所ではなく、新たな出会いをヒントに「自分らしさ」を磨きあげる一ヶ月を。「PRIDE SCHOOL」を通して伝えたいメッセージ
画像左から/株式会社TENGA・西野芙美さん、株式会社JobRainbow代表・星賢人さん、株式会社JobRainbow最高執行責任者・星真梨子さん
星さん:『PRIDE SCHOOL』を開講するにあたり、講師と受講生のインタラクティブな関係構築を大切にしていきたいという想いがありました。というのも、3時間という決して短かくはない時間の中でただ話を聞いている、ただ黙々と課題をこなすだけではリアルタイムで皆さんが集まる意味がないと感じたからです。
講師やクラスメイトと他愛もない話を挟みつつ質問や意見などがあれば適宜できる、そんな環境づくりのためには“クラス制”を採用するのが一番だなと。それに僕自身、中学生時代はいじめに遭い3年間の半分くらいは不登校でしたので“学校”や“クラス“というものに憧れる気持ちもなくはないんです。実際に受講生の中には僕と同じような思いをした方もいらっしゃったので、そういう方たちにはオンライン上ではありますが、少しでも青春時代を取り戻していただけたら嬉しいですね。一ヶ月間という期間にはなりますが、この『PRIDE SCHOOL』を通して互いに刺激し合える継続的な関係を築いていけることを楽しみにしています。
西野さん:『PRIDE SCHOOL』のプロジェクトをスタートする際、特段メディア掲載などをすることなくSNSでの発信をメインに受講生を募ったため、正直に言うと募集定員のおよそ4倍にあたる皆さんにご応募いただけるとは思ってもいませんでした。ただ、同時に「自分らしくはたらく」ことが、今の時代に強く求められているのだなと再認識する瞬間でもありました。
受講生は、皆キャリアアップへの意識やチャレンジ精神が強く熱量の高い方ばかり。そんな仲間たちと学ぶ時間を大切にしつつ、この場所自体が彼ら彼女らのセカンドプレイスあるいはサードプレイスのような形として育って行くことを心から願っています。
画像左から/株式会社はぐくむ プロフェッショナルコーチ/ファシリテーター・平山裕三さん、臨床心理士・みたらし加奈さん、女優・西原さつきさん
平山さん:『PRIDE SCHOOL』では働き方というのが大きなキーワードになっていますが、それと同じくらい自分自身を構成する“ハッシュタグ”のようなものにどれだけ気付けるか、そして創造できるのかも大切だと思っているんです。
僕自身#ゲイというセクシュアリティの部分だけを大きく見てしまって、生き方や将来像を具体的に描けない時期がありました。このような経験をした人はLGBTの中でも少なくないと思っていて。
ただ、そうではなくセクシュアリティというのは、あくまで自分自身の一要素でしかないんですよね。視野を大きく持って全体的に自分を見た時に気づいた要素を一つひとつ紐解くことで「自分らしくはたらく」、そして将来のビジョンというのも明確に描けるようになってくるのはではないでしょうか。受講生の方たちと共に、自分自身では気付けなかったような新たな要素を一緒に探していけたらと思っています。
みたらしさん:普段は臨床心理士の資格を有する心理カウンセラーとしてたくさんの方達と接してきたものの、講師として講義をすることは初めてのことでしたので、お話をいただいた時は自分に務まるかどうか、不安な気持ちはありました。ただ、今のご時世を考えると、他者との繋がりを感じられずに孤独感に苛まれている人たちっていっぱいいるかもしれないなと。こんな環境下だからこそ『PRIDE SCHOOL』のような場所は必要なのではないかなと考え、「私にできることがあれば」とお引き受けいたしました。
受講生の皆さまの「学びたい」という意欲に寄り添い、メンタルヘルスや自分自身との向き合い方をテーマに柔軟性のある講義ができたらと思っています。
西原さん:自分らしさを見つける場所や時間というのを人生を遡って考えた時、明確に「この瞬間!」と言えるような出来事がないことに気づいて。改めて、セクシュアリティ然り自分自身を知る機会というのは、人としてステップアップする上で大切なことだなと思ったんです。
そんな一機会とも捉えられるこのプロジェクトでは、トランスジェンダーとして生きている私自身の体験やお仕事として携わっている映画をはじめとするエンターテイメントや表現の世界を通して、本来の自分の発信方法あるいは自分自身を表現する上で身近なSNSとの向き合い方などをお伝えできたらと思っています。
受講生の皆さんの“個性”が第三者により輝いて届くよう、少しでもお力になれたら嬉しいです。
――この他に現役サッカー選手の下山田志帆さんも迎え、多種多様なゲスト講師と共に進められる『PRIDE SCHOOL』。一ヶ月後に行われる受講生らによる成果報告会にも注目したい。
■ PRIDE SCHOOL公式サイト
■ 株式会社JobRainbow
■ 株式会社TENGA
取材・写真/芳賀たかし
記事制作/newTOKYO