株式会社TENGAヘルスケアはセクシュアルウェルネスをサポートするプロダクト展開をはじめ、中高生向け性教育メディア「セイシル」の運営など、「性を楽しむ」前段階として一人ひとりの性にまつわる悩みや問題の解消に取り組んでいる。
その中で、より多くの人たちの手にプロダクトや情報が行き届くよう、国内外の医療関係者や研究者と連携を取る業務を担っているのがコミュニケーションマネージャーのガブリエルさん。
学生時代から性に関わる分野で働きたいという志を持っていたというガブリエルさんが、仕事を通して世の中へどのような影響を与えていきたいのかを伺った。
ーー「ペニスの模型がボンッと出てきて…」。ブラジルで受けた性教育がきっかけで性に強い関心を抱き、TENGAヘルスケアへ。
私が一番最初に「性」に興味を抱き始めたのは、小学5年生から中学1年生にかけて通っていたブラジルの学校で受けた性教育でした。
決して充実した内容とは言えませんでしたが、先生がペニスの模型をおもむろに取り出し、コンドームを装着するまでの流れや意味を説明するという光景は、私の脳裏に焼き付き強烈なインパクトを残しました。
当時、小中学校といった義務教育課程においても留年制度が設けられていたため、教室には様々な年齢の子どもたちがいて、中には14、15歳ほどの年齢で望まない妊娠をしている学生も数人いました。
きっと、そんなバックグラウンドも考慮して、よりストレートに伝えることに重きを置いたのかなと今では思っています。
それに自身のセクシュアリティについてよく分からなかった時期だったことも相まって、以来自ら進んで「性」に関することを調べるようになっていきましたね。
大学卒業後の進路を考えるタイミングになっても性に関する関心は薄れることがなかったので、そういった分野で活躍できる新卒求人を探したものの、見つからなかったため地方の医療機器メーカーで丸4年ほど働いた後、2020年にTENGAヘルスケアへ中途入社しました。
入社当初からセクシュアリティやジェンダーについて干渉しないさっぱりとした雰囲気を感じていたので、あえて自らのSOGIを伝えることはありませんでした。
定例会やミーティングで性の悩みについて話し合う際、その場の流れでパートナーの存在を伝えたり、一人のLGBTQ+当事者としての立場で発言したりするうちに、自然と伝わっていった感覚があります。
ーーあらゆる人のセクシュアルウェルネスを、包括的にサポートするブランドへ成長していきたい。
TENGAヘルスケアでは遅漏や早漏、膣内射精障害の改善に向けたメンズトレーニングカップや性交時の炎症を抑えるモイストケアジェル、膣内環境をケアするサプリメントといったプロダクトで性機能改善や妊活のサポートを行ったり、複数の専門家が一つの質問に対して様々な回答をする10代の“性のモヤモヤ”に答える性教育オウンドメディア「セイシル」にて多様かつ信頼性の高い情報を発信したりすることで、ソリューションを提供しています。
中でも私はコミュニケーションマネージャーとして、性に悩みを抱える方達の手元に弊社のプロダクトが届く機会を創出するために、医療機関で働く国内外のドクターと関係を構築する業務に携わっています。
また、「セイシル」で扱う記事やプロダクトの開発、マーケティングにおいても国内外のドクターとのコネクションが必要とされる場合が多いので、学会に出席して気になるドクターや研究者がいた場合は積極的にコンタクトを取ることを心がけています。
海外出張の際にお会いするドクターには、トレーニングカップを作る技術力の高さや素材へのこだわりなどクオリティの高さに驚かれることも多く、強い興味を示してくれることがほとんどです。
逆にドクターや研究者の方たちから教えてもらったセクシュアルデバイス(=アダルトグッズの換言)を試す機会もあり、そういった経験もとても大切にしています。
現在はアグレッシブな性格やLGBTQ+当事者としての経験を活かせるポジションかつ「性」に関する知識量が豊富な方たちに囲まれて働けていることに充実感を感じています。
一方、学会で話されているようなセクシュアルウェルネスにまつわる最新情報を噛み砕き、より皆さんに分かりやすく発信するにはどうすべきかという課題と日々向き合っていますね。でも、そういった点も含めてチャレンジできる機会があるのは嬉しいことです。
これからのTENGAヘルスケアについては、先ほどもチラッとお話したような課題と向き合い、クリアしながら、あらゆる人のセクシュアルウェルネスにまつわる不安や悩みを包括的に解消できるブランドへ育てていきたいと思っています。
特に医療機関においてはTENGAヘルスケアのプロダクトを用いたサポートをより広げていき、受診した方達が「性を楽しむ」という選択肢も選べるような未来に寄与していきたいです。
■株式会社TENGAヘルスケア
TENGAヘルスケア|https://tengahealthcare.com
セイシル|https://seicil.com
取材・文/山崎穂花、芳賀たかし(newTOKYO)
撮影/新井雄大
記事制作/newTOKYO