“人生の選択に正解はない”。なんてことをたま~に見聞きするけれど、自分の選択が100%合っている、と胸を張って言える人は…そうそういないはず。ただ、正解・不正解は置いといて、今を楽しんで生きている人ってやっぱり素敵!「ジブンヒストリー」は、そんなエネルギッシュに生きる彼らの日常や歴史にフォーカスして、自分らしく生きるヒントを見つける企画♪
今回は京都・中京区鍋屋町にあるゲイバー『AZURE』のママでもあり、ドラァグクイーンとしても舞台に立つアオさんのジブンヒストリー。忙しなく過ぎる毎日だけどちょっと立ち止まり、彼の生き方を通して“これまでのジブン”を整理すれば、ワクワクするような“これからのジブン”像に出会えるかも。
――「あ、男が好きでもいいんだ」自分のセクシュアリティを受け入れられた、アメリカでの体験。
生まれは京都、と言っても伝統的な建物という感じではなく、ごくごく普通の家が立ち並ぶ住宅街。父親が職人で頻繁に大人が出入りするような家でしたので、幼いながらに要領の良い子だったと思います。
初めて人を好きになった日のことは…正直あまり覚えていません(笑)。ただ、大学入学ぐらいまでは自分がゲイであることを心のどこかで感じながらも、女の子と付き合っていたことは覚えています。
そのモヤモヤが晴れたのは、19歳で訪れた大学の海外研修旅行。その際に訪れたアメリカのゲイタウンの光景を目の当たりにして、なんというか肩の力が抜けたというか「あ、別に男が好きでもいいんだ」と変に納得した気持ちになりました。
――後悔しない生き方。両親の生きられなかった分まで、自分が幸せになることが親孝行。
初めて自身のセクシュアリティをオープンにした友達は、親友の女の子。なんでも話せる仲であるがゆえに小さな嘘を積み重ねていくことが次第に辛くなってきて、手紙を書きました。彼女は最初は戸惑ったそうですが「これからもよろしく」といった内容の手紙を返信してくれました。
両親は、僕が26歳の時に他界しました。いつかカミングアウトできたらいいなと思っていたのですが、あまりにも突然のことだったので話すチャンスすら与えられずという感じで…。母は僕がゲイだということを勘付いていたと思うのですが、最期まで聞いてくることはありませんでした。
結婚や孫の顔を見せるといった形での親孝行は叶えられないと思い悩むことはあったし、カミングアウトできなかったことも含めて色々後悔ばかりをしていましたが、今は両親の生きられなかった分まで楽しんで生きようという心持ちでいます。それが何よりの親孝行なのかなと。
――何でも楽しんだもん勝ち!自分自身を楽しむあおさんが築いた居場所と、これからの夢?
ゲイバー『AZURE』をオープンしたのはそれから数年経った2003年4月、27歳の時でした。気づけば18年目でびっくりしています(笑)。ゲイとしての居場所が欲しいという心の奥底にあった寂しさから始めたお店だったと思うんですけど、そんな場所がお客様の心地のよい居場所として在れることがすごく幸せですし、逆にこっちがパワーをもらっています。
これからも今と同じようにゲイバーのママとして、時にはドラァグクイーンとして舞台に立ち、ゲイとしての色々な自分を楽しめる人生を歩めればいいかな。あ、そうそう。もう長いこと彼氏がいないので、そろそろ良い出会いに巡り会えたら幸せですね(笑)。
■ プロフィール
名前:あお/年齢:45歳/誕生日:12月9日/職業:AZUREママ/身長:163cm/体重:78kg/出身地:京都/最近ハマっていること:料理、ジム/好きな食べ物:茶碗蒸し/好きな場所:美味しいご飯屋/一度は訪れたい場所:ドバイ
■ Twitter@aouniuni
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企画・取材・撮影/天野ヒカリ
編集/芳賀たかし
記事制作/newTOKYO