「夢なら覚めないでっ……」マスターべーションとはまた違う形容し難い快感の後、下着にべっとりとついた粘液の不快感で目が覚める…夢精である。多くの男性が思春期にパンツだけを洗濯機に入れ、ノーパンパジャマで朝ごはんを食べる経験をしたことがあるのでは?
思春期を終えると性的欲求を満たす方法を覚えて縁がなくなりそうなイメージだけど、大人になってもなぜか夢精することはあるし、できるのであれば定期的にしたい。
そこで今回は、不思議と夢と疑問がつまった夢精について、泌尿器科の今井伸先生にイロエロお伺いしました。
適度な運動、適度な射精。エッチな夢を見る方法は、ある?ない?
ーー思春期と成年、年齢によって夢精のメカニズムは異なるのでしょうか?
今井先生:年齢による違いはありません。夢精は、睡眠中に性的な夢を見ることなどにより射精が起こります。思春期前後に起こりやすい生理的な現象ですが、精通(初めての射精)をマスターベーションで経験する男子も多く、夢精を経験したことがない男性も少なくありません。
思春期であれ、成人してからであれ、長期間マスターベーションをしていない際にも夢精が生じることがあります。
ーー定期的に射精をしないと「新鮮な精子が作られない」「身体に悪い」などの噂は本当なのでしょうか?
今井先生:射精をすることは、排尿や排便と同様に生理的な現象であり、思春期以降、精子は精巣で毎日生産されています。生産された精子は精巣上体に貯蔵され、射精の時には1回分が押し出されるように精管を通って尿道の方へ送られていきます。
射精をしなければ精巣上体に貯蔵される精子がどんどん増え、古い精子の割合が増えていきます。イメージでいうと、毎日中身が補充されるポンプ式のシャンプーのような感じ。ちなみに、古くなり死んだ精子は体内で吸収されて無くなります。
ーーなるほど!!
要するに射精の回数が少ないと「新鮮な精子が作られない」のではなく、「精液中の新鮮な精子の割合が少なくなる」のです。そのため子どもを作ろうと考えている場合は、デメリットになることがあります。一方、射精の回数が多い人は前立腺癌になりにくいという報告はあります。
心身の健康と射精との関係は、心身の健康と運動の関係に近いものがあります。適度な運動と同様に、適度な射精は健康に良いとは思いますが、しなければならないものでもないと思います。
夢精やマスターベーションなど射精方法の違いによって心身へ与える影響が異なる事はないので、好きな時に好きなような射精をすればよいのではないでしょうか。
ーー最後に編集長から預かった質問なのですが…エッチな夢を見る方法を教えてください。
今井先生:ありません。
newTOKYO編集部:…ありがとうございます!
ーー先生曰く、性欲が高まっている時に性的な夢を見やすくなることはあるそうだが、再現性は低いとのこと…要は“夢精は運任せ”。
それにしても、「好きな時に好きなように射精すればいい」、名言すぎる。
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協力/日本性科学会
臨床的な研究や診療を通じて性の健康(セクシュアル・ヘルス)の推進をはかる専門家団体。性の健康とは、セクシュアリティ(人間の性の多面性をすべて包含する言葉)の身体的、心理的、社会的な幸福(well-being)のことです。
https://sexology.jp/
聖隷浜松病院リプロダクションセンター・今井伸先生
イラスト/だーやまぽんぴぃ
Instagram@ponpii_official
取材・インタビュー/芳賀たかし
記事制作/newTOKYO