
アジアで生まれる多様なクィアの物語を日本に届けてきた「アジアンクィア映画祭(AQFF)」が、13年ぶりに帰ってくる。2007年にスタートし、日本国内で唯一、アジアのクィア映画に特化した映画祭として続いてきた本映画祭は、第4回(2013年)開催以降、長らく休止していたが、今年、待望の復活上映が決定した。
今回のテーマは、「韓国フォーカス〜共振する色彩、輝くソウル〜」。 最新作から話題作まで、韓国クィア映画6作品を厳選し、日本初上映・海外初上映を含むラインナップが揃った。
──地方の村で偏見に立ち向かうレズビアン女性の選挙戦、森林火災の被災地で交差する若者たちの静かな痛み、脱北者として生きるゲイ男性の孤独と出会い。また、カメラをきっかけに始まる一日のロマンスや、初恋と喪失を繊細に描く青春映画、さらには長年連れ添ってきたレズビアンカップルの人生を追うドキュメンタリーまで。
恋愛やアイデンティティだけにとどまらず、世代、地域、歴史、社会構造と交差しながら紡がれる“生のリアリティ”が、いまの韓国クィア映画の現在地を映し出している。13年の時を経て再び開かれるこの場は、作品を鑑賞するだけでなく、アジアのクィア文化と向き合い、対話するための場所でもある。それぞれ異なる温度と色彩をもった6つの物語を、ぜひ劇場で体感してほしい。


●イバンリのチャン・マノク!
オープニング作品|日本初上映|2024年|監督:イ・ユジン|108分
ストーリー・解説/ソウルでレズビアンバー〈レインボー〉を営むマノクは、母の訃報をきっかけに故郷イバンリに戻る。村長である元夫の妨害や地域に根強い偏見の中、彼女は自ら村長選に立候補するが。2025年の富川国際ファンタスティック映画祭で〈観客賞〉を受賞し、主演のヤン・マルボクがSpecial Mentionを受けた本作。韓国の地方を舞台に、ジェンダーと世代を超えて生きる力を描いた、ハートフルなヒューマン・コメディ。


●ソラスタルジア
クロージング作品|海外初上映|2024年|監督:イ= ソン・ヒイ|95分
ストーリー・解説/2022年、韓国東海市で発生した大規模森林火災。ドキュメンタリー制作のため現地に残った学生2人は、長い時間を共有する中で互いの痛みに触れていく。韓国クィア映画の旗手イ=ソン・ヒイル監督(「後悔なんてしない」)による、10年ぶりのクィア映画復帰作であり、最新作。気候危機を背景に、「喪失と再生」を真摯に描き出した、静かな余韻を残す作品。


●3 6 7 0
日本初上映|2025年|監督:パク・ジュンホ|124分
ストーリー・解説/脱北者として生きる青年チョルジュンは、仲間との絆に支えられながらも、ゲイである自分を隠し孤独を抱えていた。ソウルのゲイコミュニティで出会ったヨンジュンとの関係は、彼の人生を大きく変えていく。2025年の青龍映画賞で最優秀新人監督賞にノミネートされた本作は、同年9月に韓国で劇場公開され、インディ/アート系部門で興行ランキング首位を記録した話題作。


●夢を見たと言って
日本初上映|2025年|監督:キム= ジョ・グァンス|73分
ストーリー・解説/中古カメラの取引で出会ったキョンイルとキョンホ。強い愛着で手放したくないカメラを巡る一悶着をきっかけに、二人の奇妙で愛おしい一日が始まる。日本でも配信されたイ・ホンネ主演の「Made in Rooftop」や、BLドラマ「新入社員」などを手がけ、“BLの名手”として確固たる人気を築いた監督が贈る、軽やかで愛おしいロマンティック・コメディ。


●夏の日のカメラ
2025年|監督:ソン・ディヴァイン|82分
ストーリー・解説/父が遺した未現像フィルムに触れられない高校生サマー。サッカー部のスター選手、ヨヌを撮り始めたことで、彼女の世界は少しずつ変わり始める。シアトル国際映画祭 FutureWave部門で最優秀長編賞を受賞。映画「虐待の証明」(2018)でデビューし、複数の子役賞を受賞してきたキム・シアが、本作で初主演を務める。初恋と喪失を繊細に描いた青春映画。


●二人〜リハーサルのない人生〜
日本初上映|22022年|監督:バン・パク・ジウン|80分
ストーリー・解説/20代で言葉も通じない異国の地・ドイツに渡り、看護師として働いた二人。30年間にわたり、人生の苦楽を共に歩んできた二人を追ったドキュメンタリー。監督は語る。「韓国では特に年配のレズビアンが可視化されていない。メディアに登場しないため、存在しないかのように消去されてしまう。この映画はだからこそ、レズビアンや他の周縁化された人々と肩を並べて世界に立ち向かう映画だ」
■第5回アジアンクィア映画祭(AQFF)
会期|2026年2月21日(土)&22日(日)
会場|ユーロライブ(東京都渋谷区)
https://5th.aqff.jp/
素材提供/AQFF運営事務局
記事制作/newTOKYO









