ドロドロなのは鶏肉ジュースだけ! (今のところ)清々しいほどに友情モードな「ボーイフレンド」が画期的!

LGBTQ映画を扱うゲイの映画ライターによるコラム連載

映画ライターのよしひろまさみちが、
今だからこそ観て欲しい映画をご紹介するコラム
「まくのうちぃシネマ」第59回目

もうご覧になったかしら? 日本初の男性同士による恋愛リアリティショー、Netflixシリーズ「ボーイフレンド」! キャスティングの発表からなかなかの反響だったし、7月9日の配信開始のときは「何時からよ!」というお声もSNSでちらほら。そして配信されてすぐに、賛否パックリ分かれておりますよね。映画じゃないけど、映像作品を大量に見てきたあたしから一言。これはエポックメイクよ!

これをあまり好きではない、という当事者は少ないと思うのね。だって、これまでゲイの恋愛リアリティショーはなかったわけだから。好きではない、ではなく「リアルじゃない」っていう批判を抱いている方が多いと思います。そりゃそうだ。だって、ゲイの出会い≒「エロ」だもん。それがごそっと抜け落ちてるんだから、そりゃリアルには見えなくて当然。ところがね。あたしのフィールドワーク上(主に世界中のゲイバーですが)、≒エロではない人も割と多いのよ。

ええ、キレイごとにしか聞こえませんよね。でも、恋愛って人それぞれ、千差万別。それに「ボーイフレンド」のように出会いのきっかけが、作られた環境だったらあれは当たり前のことではなかろうか、と。なので、あくまで「ショー」であり、「特殊な環境」であることを理解して観てほしいの。そうすることで、「出会った人との人間関係を育む」っていう行為は、じつはこれまでの恋愛リアリティショーで描かれてきた、駆け引きや足の引っ張り合いがキモではなく、「対話」こそ重要なのでは? と、恋愛の輪郭がくっきりしてくるはずなのよ。

まだご覧になってない方のために、序盤の見せ場でいうと、GoGoのユーサクさんね。ユーサクさん登場のシーンは、明らかに他のボーイズが色めき立ち、全員の目がハートになるのよ。それこそ「これはユーサクさんが台風の目で奪い合いのドロドロが!?」と思っちゃうほど。だがしかーし、対話をすればするほどユーサクさんはボーイズが抱いていたイメージの人じゃないことがわかり、むしろ清々しいほどに友情モード。ドロドロするのはユーサクさんの鶏肉ジュースだった、というオチでございます。

エロは皆無、というのは先に申し上げたとおりなので、むしろボーイズが挑むリアルな会話、対話を、お友達同士でキャアキャア言いながらご覧くださいね。ウォッチングパーリー推奨!

Netflixシリーズ『ボーイフレンド』
エグゼクティブ・プロデューサー:太田大
出演(スタジオ):徳井義実、MEGUMI、ホラン千秋、青山テルマ、ドリアン・ロロブリジーダ ほか
配信:Netflixにて独占配信中(毎週火曜全10話を4回に分けて配信)
© Netflix

文/よしひろまさみち X@hannysroom
イラスト/野原くろ X@nohara96
記事制作/newTOKYO

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