映画界はいかにして、同性愛表現の自由を勝ち取ってきたか。120作品から紐解くドキュメンタリー「セルロイド・クローゼット」を今こそ、観てほしいの

LGBTQ映画を扱うゲイの映画ライターによるコラム連載

映画ライターのよしひろまさみちが、
今だからこそ観て欲しい映像作品をご紹介するコラム
「まくのうちぃシネマ」第69回目

2020年、コロナ禍でおこもり期間真っ只中、Netflixで配信開始して話題になったドキュメンタリー『トランスジェンダーとハリウッド:過去、現在、そして』。ハリウッドで製作された映像作品でトランスジェンダーがどのように扱われてきたか、当事者とクリエイターが分析・証言した傑作でございます。そのはるか四半世紀前に製作された『セルロイド・クローゼット』っていうドキュメンタリーがあったから『~そして』ができたといっても過言ではないのよね。

こちらはさらに広義に、ハリウッドの歴史上、ゲイ・レズビアンを主としたクィアがどのように扱われ、表現の自由を勝ち取っていったかを検証した作品。じつは超名作なのにDVDはすでに廃盤&中古プレミア価格(日本語字幕なしならYouTubeに全編アップされてますが)、日本ではもう観られない……と思ってたら、30年越しのデジタル・リマスター版が上映になるんすよ! 

当事者ならびにクィア映画をお好きなら見逃すべからず!  見れば一発で理解できるよう、めちゃくちゃわかりやすく、そして大量の証拠映像と証言で綴られているので多くは申しません。が、入れておいたほうがいい情報は、同性愛が有罪の時代があったってこと。いわゆる50年代の「赤狩り」を背景に、同性愛者も差別と弾圧を受け、その反動から60~70年代のゲイリベレーション運動につながった、ということを頭に入れておいてください。

時の政治が基本的人権に介入する危うさ、それが表現・芸術にも影響を与えて偏見を生み出す構造の一部になってしまう恐ろしさってのを、今一度見つめ直してほしいのです。プライド月間に合わせての上映、一食抜いてでもぜひぜひ!

◆『セルロイド・クローゼット』デジタル・リマスター版 6月14日(土)より、渋谷ユーロスペースにて公開
http://www.pan-dora.co.jp/celluloid/
監督:ロブ・エプスタイン、ジェフリー・フリードマン/出演:トム・ハンクス、ウーピー・ゴールドバーグ、ハーヴェイ・ファイアスタイン、シャーリー・マクレーン、スーザン・サランドン ほか/配給:パンドラ

文/よしひろまさみち X@hannysroom
イラスト/野原くろ X@nohara96

記事制作/newTOKYO

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