11歳の時に父親が女性になった経験を持つ、マルー・ライマン監督の自伝的作品でもある『パーフェクト・ノーマル・ファミリー』。
初の長編映画ながらもデンマーク・アカデミー賞で9部門にノミネートされ、メイクアップ賞、児童青少年映画賞を受賞した注目作が、2021年12月24日(金)に公開される。
日に日に女性らしくなるパパを受け入れられない娘のエマは苛立ちを爆発させ、ついにはーー
デンマークの郊外で暮らすエマは、地元のサッカークラブで活躍する 11 歳の女の子。幸せな家庭で充実した日々を送っていたがある日、両親から離婚を告げられたことで彼女の日常が一変する。離婚の理由は「パパが女性として生きていきたい」と母に告げたことだった。
ホルモン治療によって日に日に女性らしくなるパパのトマスが、やがて性別適合手術を受けるという現実をエマは受け入れられず、ついには「大嫌い。パパなんか死んじゃえ!」と感情に任せトマスへと当たってしまう。そう叫びながらも、本当はパパのことが大好きなエマが、幾多の葛藤の果てに気づいた自分の気持ちとは―――。
近年、世界中でセクシュアル・マイノリティの多様性や人権に光をあてた映画が盛んに作られているが、本作はトランスジェンダーをカミングアウトする当事者ではなく、 その娘である少女の視点で全編が語られる点が新鮮にしてユニーク。
監督は、トマス/アウネーテの役は男性でもあり女性でもあることを示したかったと言い、男性の身体から自身の女性性を見出すことができるような身体性を持った人を探すことが重要だったため、当初からトランスジェンダーの役者の起用は考えたことがなかったと語っている。
“今までのパパ”とは少し違うかもしれないけど、愛する気持ちは変わらない――。その大切な思いを確かめていくエマの成長を愛おしく紡ぐ、清々しい余韻をもたらす珠玉作をぜひ劇場でチェックしてみて。
◆ パーフェクト・ノーマル・ファミリー
2021年12月24日(金)新宿シネマカリテほか全国順次公開
配給・宣伝/エスパース・サロウ
©2019 NORDISK FILM PRODUCTION A/S
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