詩人・文月悠光の詩を原案とした2021年7月10日公開の映画『片袖の魚』。監督はLGBTQをテーマとした他監督作品でも評価されている東海林毅、主役のトランスジェンダー女性・新谷ひかりを演じたのはトランスジェンダー女性を公表しファッションモデルとして活躍するイシヅカユウだ。
自分を不完全な存在だと思い込み、自信を持てないまま社会生活を送るひとりのトランス女性がささやかながらも確かな一歩を踏み出そうとする瞬間を切り取った34分間の中で、あなたは何を思うだろうかーー。
ーー凪いだ水面のように穏やかな日々を送る新谷ひかるは、故郷への出張を機に過去の記憶が蘇り…
トランスジェンダー女性の新谷ひかり(イシヅカユウ)は、ときに周囲の人々とのあいだに言いようのない壁を感じながらも、友人で同じくトランス女性の千秋(広畑りか)をはじめ、上司である中山(原日出子)や同僚の辻(猪狩ともか)ら理解者に恵まれ、会社員として働きながら東京で一人暮らしをしている。
ある日、出張で故郷の街へと出向くことが決まる。ふとよぎる過去の記憶。ひかりは、高校時代に同級生だった久田敬(黒住尚生)に、いまの自分の姿を見てほしいと考え、勇気をふり絞って連絡をするのだが――。
制作開始にあたっては、日本で初めてとなるトランスジェンダー女性当事者の俳優オーディションを開催。多数の応募者の中から主役に選ばれたイシヅカユウは今作が映画初主演となる。
音楽は蓮沼執太フィルでドラマーを務める尾嶋優(Jimanica)がオリジナル楽曲を提供。主題歌『RED FISH』の歌詞は原案の文月悠光が映画のために書き下ろした。また、全編にわたりスマートフォン1台で撮影されているというのにも注目したい。
今回の作品に対して、東海林監督は「映画の中でイシヅカユウさんが『演じて』いるのは彼女とは生い立ちも考え方も違う、全く別人の一人のトランスジェンダー女性です。『トランスジェンダー当事者が演じるトランスジェンダー』というフィルターを超えて届く光を見届けて欲しいです」とコメント。
制作決定後、長らく公開日のアナウンスを待ち遠しにしていた方も多いであろう本作は新宿K’s cinemaほか、全国順次公開予定となっている。
■ 映画:片袖の魚
2021年7月10日(金)より新宿K’s cinemaほか、全国順次公開予定
https://redfish.jp
Twitter@katasodefish
配給協力・宣伝/contrail
製作・配給:みのむしフィルム
記事制作/newTOKYO