11月下旬、HIVを事前に予防する「PrEP」を日本でも当たり前の選択肢にするために署名活動を行うSAP(Safe Access to PrEP)プロジェクトが記者会見を行った。
ーー「ツルバダ」が薬事承認されたものの、PrEP療法に利用するためには様々な障壁が
会見では「PrEPというとMSM(男性間性交渉者)が利用するものというイメージがあるようだが、「ツルバダ」を1日1回服用するデイリーPrEP療法は、ジェンダー問わず誰でも選択できるHIVの事前予防として有効的。それゆえ、HIV感染リスクに直面している人々に必要とされている現状がある」と訴えた。
「ツルバダ」は今年8月に薬事承認されたが、予防目的の使用は健康保険適用外のため高額になることがネックとされている(正規品を全額自己負担する場合は1錠2,442.4円、月7〜8万円かかると推計)。また、薬事承認の影響でジェネリック薬の流通が止まったことや、都市部と地方でPrEPへのアクセス体制に差が生じていることも挙げ、PrEPを当たり前の選択肢にするための環境整備が必要だと説明した。
ーーPrEPを普及するためには、国と製薬会社への要望が不可欠
署名プロジェクトの宛先は厚生労働省をはじめ、PrEPに使用する薬を取り扱う製薬メーカーとしている。求めたのは「PrEPへの安心・安全なアクセスの実現」「経済的に厳しくても入手できる価格への引き下げ」「医療従事者、支援者を含め、すべての人が正しいPrEPの知識を得られる啓発・情報発信」の3つ。
記者からの「PrEP利用のハードルが低くなれば、性感染症感染者数の増加に繋がるのではないか」という質問に対しては、「PrEPを利用するためにHIV検査と並行して、性感染症検査を受ける人も増える。長期的に考えれば適切な治療を受けるきっかけにもなる」と、海外の調査データをもとに性感染症感染者数の減少に繋がる可能性も大いにあるとした。
◆SAPプロジェクト
署名サイトはこちらから
呼びかけ団体:ぷれいす東京 生島嗣/akta 岩橋恒太/カラフル@はーと 翁長祐太/ピルコン 染矢明日香/#なんでないのプロジェクト 福田和子
記事制作/newTOKYO