性トーク~聞きにくいことは小堀先生に聞けばイイ!~ vol.15 肺炎とは全く別物! 性病としての「マイコプラズマ・ウレアプラズマ」って、なに? #プライベートケアクリニック東京

恋愛や性交渉のことはいくらでも友達と話せるけど、プライベートゾーンに関係する性病や性機能となると、なかなか腹を割って話せる人って少なくない? MSM(男性間性交渉者)の場合、調べても中々求める答えに辿り着けない…ってこともあるし。

この連載では、プライベートケアクリニック東京 東京院 院長 小堀善友先生監修のもと、人に聞いてもパッと答えが分からないメンズの性のお悩みにフォーカス。第15回目はゴーゴーボーイの千葉優人くんと一緒に、肺炎とは全く別物の性感染症における「マイコプラズマ・ウレアプラズマ」について、アレコレ掘り下げる。

ーー「マイコプラズマ」って、肺炎を引き起こす菌じゃないの?

先生、「マイコプラズマ」って肺炎を引き起こすことで知られてますけど、性感染症とどんな関係があるんですか?

そもそも、肺炎を引き起こすマイコプラズマ・ニューモニエと性感染症のマイコプラズマ・ジェニタリウムでは原因菌が別物なんです。肺炎のものは飛沫感染ですが、性感染症のものは性行為を介した感染となり、男性においては排尿痛や尿道から膿が出るなど、尿道炎の症状として現れます。淋菌でもクラミジアでもない尿道炎としては、一番多い尿道炎の原因となる微生物です。

それじゃ、飛沫感染するものではないんですね。

その通りです。アナルセックスにおける正確な感染確率は分かっていないのですが、MSM男性の直腸の10~20%の感染しているというデータがあります。特徴的なのは「無症状感染が多い」ということ。男女ともに約50%以上が無症状と報告されていて、知らない間に保菌&パートナーに感染させるケースも多いんです。

ーー「マイコプラズマ」に加えて、「ウレアプラズマ」にも気を付けて!

マイコプラズマに加えて、注意が必要なのがウレアプラズマ(ウレアリチカム、パルバム)。男性においては、まれに慢性尿道炎や精巣上体炎を引き起こすことがあり、進行すると精管閉塞や精路障害となり、精子の輸送が妨げられることもあるんです。ただし、何も問題が起きない場合も多く、ウレアプラズマ・パルバムは女性の膣では常在菌に近いという考え方もあります。

ということは不妊症にも繋がるということですか?

そういうことになります。精子の運動率が低下したり、奇形率上昇がみられるケース(精子のDNA損傷が進むとも言われている)があったりします。これらが、精子無力症や受精障害の原因となる可能性も。ただ、ウレアプラズマの病原性は決して高くないので、症状がなければ必ずしも治療は必要はないです。問題となるのは、マイコプラズマ・ジェニタリウムです。

炎症を引き起こすだけでなく、その後の人生にも影響する病気の引き金になりかねないんですね。でも、無症状だと感染に気付きにくいし…治療をしなくても自然と菌が消えることってないんですか?

マイコプラズマ・ジェニタリウムに関して言うと、免疫状態が良好で他の性感染症の合併や粘膜損傷がない場合は、感染から半年~1年で自然消失する人も一定数いますが…ほとんどの場合は数ヶ月~数年以上の期間で持続感染します。

それじゃ、治療を受けないと症状を引き起こす可能性がどんどん上がっていくということですね。

それだけでなく、現在、抗菌薬であるアジスロマイシンへの耐性を持つ耐性株が50%以上、日本でも報告されており、ミノサイクリンやシタフロキサシンなど他の抗菌薬でも治療失敗する耐性株が出現しています。これが「治療しても治らない→長期化」の流れを作り、問題視されています。

ーーマイコプラズマの検査方法と治療方法は?

思ったよりも厄介なマイコプラズマ、ウレアプラズマですが…検査方法を教えてください。

最も一般的で正確な方法として、PCR検査が標準となっています。尿や咽頭スワブなどから検体を採取し、DNA検出する方法ですね。マイコプラズマ・ジェニタリウム、マイコプラズマ・ホミニス、ウレアプラズマ・ウレアリチカム/パルバムまで個別に検出可能です。

治療方法はマイコプラズマ、ウレアプラズマで異なるのでしょうか。

マイコプラズマ・ジェニタリウムの場合は、第一選択薬としてシタフロキサシンを7日間投与することが国内の治療として一般的です。ただ、耐性株の出現があり、シタフロキサシン単剤では2割ほど効果がない場合があるので、世界的には1週間目にテトラサイクリン系、2週間目にキノロン系の抗菌薬を使う「逐次療法」が推奨されています。

マイコプラズマ・ホミニスや、ウレアプラズマ・ウレアリチカム/パルバムの場合は、 第一選択薬として、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、アジスロマイシン(ウレアプラズマの場合)の投与が一般的となります。ただし、症状がなければ必ずしも治療の対象とはなりません。また、マイコプラズマ・ジェニタリウム以外は保険診療では検査治療ができませんので、注意が必要です。

何かと誤解しがちなマイコプラズマについて、色々と知れてよかったです!

今回はゲイ ・バイ男性に特化した内容となりましたが、女性にとっても情報共有が必要な性感染症なので、周囲の人たちにシェアしてくれたら嬉しいです。感染予防のためにも、コンドームを適切に使用した性行為を心がけましょう。

■性トーク
プライベートケアクリニック東京 東京院 院長 小堀善友医師監修のもと、「人に聞きにくい」「調べてもパッとしない」メンズの性のお悩みにフォーカスする月2回更新の連載企画。4回ごとに異なるモデルを迎え、トークルーム風にアレコレ掘り下げていく。

■プライベートケアクリニック東京 (東京院・新宿院)
性感染症の適切な診断・治療を行うクリニック。皆さまを温かくお迎えし、PrEP/PEP・性感染症(性病)の適切な診断・治療を行います。女性・男性・LGBTQ+の方・パートナー同士でも受診することが可能です。
https://pcct.jp/

■小堀善友 医師
プライベートケアクリニック東京東京院院長。2001年、金沢大学医学部卒業。金沢大学泌尿器科、米・イリノイ大学シカゴ校泌尿器科、獨協医科大学埼玉医療センター泌尿器科准教授を経て、2021年より現職。日本泌尿器科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、日本性機能学会専門医、日本性感染症学会認定医、日本性科学会セックス・セラピスト。著書に『オトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)、『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)、『今日の診断指針第8版「男子性発育の異常」』(医学書院)など。

モデル/千葉優人
写真/JOE
デザイン/鈴木美結
企画・編集/芳賀たかし
記事制作/newTOKYO
タイアップ・監修/プライベートケアクリニック東京

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